
産業廃棄物許可の欠格要件って何?
欠格要件に該当する場合の対処法は?
産業廃棄物の許可をこれから申請する方や、すでに許可を取得して事業を行っている方にとって、欠格要件の確認は欠かせません。
ただし、法律の表現が難しく、自分や会社が該当するのか判断しにくいと感じる方も少なくありません。
欠格要件に一つでも当てはまると、許可は取得できず、すでに持っている許可も取り消されてしまう可能性があります。
そのため、申請前だけでなく、許可取得後も役員や株主に変更があった場合には、改めて確認が必要です。
この記事では、産業廃棄物許可に関する欠格要件を分かりやすく解説します。
また、欠格事由に該当した場合の対応法について、解説しているので是非参考にしてください。
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産業廃棄物許可における「欠格要件」とは

欠格要件とは、廃棄物処理法において産業廃棄物を適正に扱う能力や信用が欠けていると判断される基準のことです。
一つでも該当すれば、許可は絶対に取得できず、既に許可を持っている場合には取り消し対象となります。
たとえば、過去に廃棄物処理法や刑法などの特定法令で罰金以上の刑を受けた場合、事業実績や財務状況がどれだけ良くても許可を受けられません。
また、暴力団員に該当する役員が在籍している場合も、組織としての適格性が認められないため許可の取得できません。
欠格要件は許可を取得する資格がないと判断される基準であり、該当すると絶対に許可は取得できないため、事前の確認が欠かせません。
許可の種類によって欠格要件が異なる
産業廃棄物の許可には、収集運搬業、処分業、施設設置許可など複数の種類があり、許可の種類ごとに根拠となる条文は異なりますが、欠格要件は共通です。
それぞれの許可は、廃棄物処理法に基づき以下の条文で規定されています。
- 産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可:廃棄物処理法第14条
- 産業廃棄物処理施設の設置許可:廃棄物処理法第15条の2
産業廃棄物の収集運搬業、処分業、施設設置許可は、都道府県または政令市が審査・交付を行います。
自治体によっては、条例や運用基準を独自に設けている場合があるため、申請にあたっては各自治体が公開している最新の許可基準を事前に確認するようにしましょう。
欠格要件の確認が必要な人・法人の範囲

欠格要件の審査対象は、申請者本人だけではありません。
法人であれば役員、一定割合以上の株主、さらには政令で定める使用人まで、経営や業務執行に影響力を持つすべての関係者が含まれます。
具体的には、審査の対象となるのは以下の通りです。
これらのいずれかに該当する人物に欠格要件がある場合、たとえ申請書類が形式的に整っていても許可は下りません。
申請前に、必ず該当者に欠格事由に該当しないかを事前に確認してください。
産業棄物許可等で確認すべき具体的な欠格要件

産業廃棄物処理業の許可における欠格要件は、いろいろな種類があるのですが、主に以下の7つに分けられます。
以下、全ての要件をわかりやすく解説します。
①心身の故障により業務を適切に行うことができない者
精神疾患や身体の障害があり、廃棄物処理業務を適切に行えないと判断される場合が該当します。
ただし、医師の診断書などにより業務を問題なく遂行できることが確認できれば、欠格要件には当たりません。
また、鬱などの精神疾患を患っていた場合でも、この項目には該当せず産業廃棄物許可を取得できるので安心して下さい。
②破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
破産手続き開始の決定を受けた人は、復権を得ていない限り産業廃棄物許可を取得できません。
ただし、過去に破産した経歴があっても、すでに復権を得ていれば産業廃棄物許可の取得は可能です。
復権とは、破産によって一時的に制限される資格や権利が回復されることを意味します。これにより、産業廃棄物許可が申請もできるようになります。
復権を得られる主なケースには以下のようなものがあります。
実際には、破産者の9割以上が、破産開始から3〜6カ月ほどで免責許可が確定し、復権を得ています。そのため、多くの人が産業廃棄物許可を取得できる状態になります。
ただし、財産を隠したり、不適切な借入れをしたり、浪費やギャンブルによる借金がある場合などは免責が認められず、復権も得られない可能性があります。その場合、産業廃棄物許可の取得はできません。
③拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者
拘禁刑以上の刑を受けた場合、どのような犯罪でも5年間は欠格要件に該当します。
拘禁刑とは刑務所に入って服役する刑罰で、2025年の刑法改正により従来の懲役刑と禁錮刑が統一されたものです。
刑罰には重い順に「死刑→拘禁→罰金→拘留及び科料」があり、罰金以下の刑では欠格要件に該当しません。
許可が取れない期間は5年で、拘禁刑2年の判決で2024年6月1日に出所した場合、2029年5月31日まで許可を取得できません。
なお、執行猶予付き判決の場合、執行猶予期間中は欠格事由に該当しますが、期間満了後は直ちに許可の申請が可能です。
④特定の犯罪で罰金刑以上の刑を受けて5年を経過しない者
原則として罰金刑では欠格要件に該当しませんが、特定の犯罪で罰金刑を受けた場合は5年間は許可を取得できません。
これは廃棄物処理業が環境保全と密接に関わるため、関連法令違反や暴力的な犯罪歴がある者を排除する必要があるためです。
対象となるのは、廃棄物処理法、浄化槽法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、騒音規制法、悪臭防止法など環境関連法令の違反です。
また、暴力団対策法違反や、刑法の傷害罪、暴行罪、脅迫罪、背任罪などで罰金刑を受けた場合も該当します。
なお、交通違反の罰金など、これら以外の犯罪による罰金刑は欠格要件に該当しません。
⑤廃棄物関連の許可を取り消されてから5年が経過していない者
廃棄物関連の許可を違反により取り消された場合、取消しの日から5年間は新たな許可を取得できません。
これは、過去に不適正な業務を行った者が再び廃棄物処理業に参入することを防ぎ、業界全体の信頼性と適正な廃棄物処理を確保するためです。
対象となる許可は以下の通りです。
- 一般廃棄物収集運搬業・処分業の許可
- 産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可
- 特別管理産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可
- 浄化槽法に基づく事業の許可
注意が必要なのは、許可を取り消された会社の役員も欠格対象となる点です。
新たに役員を迎え入れる際は、その人が過去にどのような会社で役員をしていたか確認が必要です。
取消処分を受けた会社の役員だった場合、その人自身も5年間は許可を取れません。
ただし違反ではなく、事業をやめるために自主的に許可を返納した場合は、5年を待つ必要はなく、いつでも新たな許可申請が可能です。
⑥許可取消処分に係る聴聞通知後、廃止届を提出し、その届出の日から5年を経過しない者
許可取消処分の聴聞通知を受けたあとに事業廃止届を提出した場合、届出の日から5年間は新たな許可を取得できません。
許可取消を避けるために廃業届を出し、欠格要件を免れようとする行為を防ぐ目的があります。
行政が重大な違反を確認した場合でも、直ちに許可を取り消すわけではありません。
まず事業者に対して聴聞通知が送付され、意見を述べる機会が与えられます。通知から実際に取消処分が決まるまでには、ある程度の期間が生じます。
この間に、取消処分を受ける前に事業をやめる事業者もいます。
なぜなら、自主的な廃止であれば、通常は5年間の欠格期間が生じないため、処分の記録を残さず、あらためて許可を取り直そうと考えるからです。
そのような対応を認めてしまうと、違反に対する欠格要件をを事実上回避できてしまいます。
そのため、聴聞通知を受けたあとに提出された廃止届については、取消処分と同様に5年間の欠格期間が適用されます。
⑦暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
現在暴力団員である場合、または暴力団から抜けてもまだ5年が経過していない場合は欠格要件に該当します。
これは暴力団の資金源となることを防ぎ、不適正な廃棄物処理や不法投棄などの違法行為を防止するためです。
また、本人が暴力団員でなくても、実質的に暴力団の支配下にある場合も許可されません。
例えば、会社の社長や役員に暴力団員の名前がなくても、実際には暴力団員が経営の意思決定をしていたり、事業の運営をコントロールしていたりする場合です。
株主名簿に暴力団員が載っていなくても、裏で会社を動かしているような状況があれば欠格となります。
【ケース別】欠格要件に該当する場合の対処法

欠格要件に該当する場合に、意図的に隠したまま申請を進めると、法令違反となります。
また、新しく許可を申請する場合だけでなく、すでに許可を受けて営業している場合でも同様です。虚偽や不正が判明すれば、許可の取消や罰則を受ける可能性があります。
そのため、欠格要件に該当する場合には適切な対応を取る必要があります。
以下では、それぞれの状況における具体的な対処法について解説します。
新規取得前に欠格要件に該当する場合
許可の新規取得を予定している段階で欠格要件に該当する者がいる場合、該当者を組織から外すか、欠格期間の終了を待ってから申請する必要があります。
たとえば、株主に欠格要件該当者がいる場合は、株式を第三者に譲渡して保有割合を5%未満に引き下げるといった対応が必要です。
また、政令で定める使用人(支店長など)が該当する場合は、その地位から外すか退職してもらったり、欠格期間の残りが少ない場合は、満了後に申請するという選択もあります。
許可取得後に欠格要件に該当する場合
許可取得後に役員や株主が欠格要件に該当する事由が発生した場合、欠格事由の発生を知った日から2週間以内に行政庁への届出が法律で義務付けられています。
ただし、該当者を速やかに辞任させるなどの対応を行い、欠格状態を解消すれば、許可の取消しを防げる可能性があります。
一方で、廃棄物処理法第14条の3の2では、欠格状態が継続している場合には、行政庁は許可を取り消さなければならないとされています。
つまり、状況を見て判断する余地はなく、欠格要件に該当する状態が解消されなければ、許可は確実に取り消されます。
たとえば、役員の一人が交通事故で拘禁刑を受け、その判決が確定した場合、その時点で法人は欠格要件に該当します。
この時点で法人全体が欠格要件に該当するため、即座にその役員を辞任させ、登記変更を完了させなければなりません。
対応が遅れると、会社全体の許可が取り消され、取消し処分から5年間は再取得できなくなります。
対応が遅れると事業が継続できなくなる可能性があるため、欠格事由が発生した際はすぐに対応しましょう。
欠格要件の判断に迷ったら行政書士に相談

欠格要件に当てはまるかどうかの判断は、とてもわかりにくく、専門的な知識が必要です。
たとえば、罰金を受けたことがある人が許可を取れるかどうかは、その罰金が廃棄物処理法などの特定の法律違反によるものかを確認する必要があります。
また、執行猶予は欠格要件に当てはまるのかといった判断も難しいです。
もし、欠格要件に該当する状態で申請すると許可が取れないだけでなく、申請手数料の81,000円は返金されません。
こうしたリスクを避けるためにも、申請の前に行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
まとめ
- 産業廃棄物許可の欠格要件とは該当すると許可が取れない要件のこと
- 主に7種類の欠格要件ある
- 欠格要件に1つでも該当すると許可は産業廃棄物許可は取れない
- 欠格要件は申請者だけでなく役員や株主も該当してはいけない
長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所