産廃許可の基礎知識

産業廃棄物収集運搬の都道府県許可と政令市・中核市許可の違いは?

2026年2月13日

産廃の運搬許可は県と政令市の許可は何が違うの?

どっちの許可をとればいいの?

産業廃棄物収集運搬業許可を取得する際、このような疑問をもっている方も多いのではないでしょうか?

結論から言うと、2011年の法改正により、都道府県知事の許可があれば県内の政令指定都市・中核市でも収集運搬が可能になりました。

そのため、基本的には都道府県の許可を取得すれば大丈夫です。

ただし、積み替え保管を行う場合には、引き続き政令市の許可が必要となる点は注意が必要です。

この記事では、県と政令市の許可の違い、法改正の背景やよくある質問についてわかりやすく解説します。

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この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。産廃業専門の行政書士。産廃業の許可に関するメディアサイト「産廃業許可ナビ」を運営しており、産廃業許可の取得率100%。許可の取得実績500件以上。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]

県と政令市の産廃収集運搬業許可の違い

都道府県と政令市の許可では、産業廃棄物収集運搬業許可の効力が及ぶ範囲に違いがあります。

都道府県知事の許可は原則として県内全域が対象になり、政令市長の許可は当該市の区域内に限られます。

廃棄物処理法では、それぞれ自分の区域について許可を出す立場になっているためです。

都道府県知事の許可で県内全域の運搬が可能

都道府県知事の産業廃棄物収集運搬業許可(積替え・保管を運搬を含まない)を取得すると、その都道府県内にある市区町村のどこでも、積み込みと荷降ろしを行えます。

たとえば、大阪府知事の許可を取得すれば、大阪府全域で産業廃棄物収集運搬が可能です。

一方、大阪市長の許可は対象が大阪市の区域に限られ、大阪市内での積み込みと荷降ろしにしかできません。

また、大阪府と兵庫県、京都府、奈良県のように複数の都道府県をまたいで運ぶ場合、運搬に関わる各都道府県で許可取得が必要になります。

政令市長の許可が別途必要となるケース

都道府県知事の許可が県内全域で有効なら、政令市の許可は不要では?

と思われるかもしれません。

確かに、現在、積替え・保管を行わない収集運搬については、都道府県知事の許可1つで政令市を含む県内全域の収集運搬が可能です。

ただし、以下の場合には例外として政令市の許可が必要です。

政令市の許可が必要なケース

  • 政令市の区域内で積替え保管を行う場合
  • 都道府県内において一の政令市のみで業を行う場合

たとえば、大阪府では、大阪市内で廃棄物の積み下ろしを行う場合、大阪市の許可を取得しなければなりません。

ちなみに、都道府県知事の許可1つで県内全域をカバーできるようになったのは、2011年の法改正からです。

2011年の法改正で許可制度が合理化された背景

画像引用:廃棄物処理法の改正について|環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課

現在は、都道府県知事の許可が1つあれば、積替え保管を行わない収集運搬に限り、その県内全域で産業廃棄物の収集運搬が可能です。

しかし、2011年の法改正前は、県の許可とは別に、積み卸しを行う政令市ごとに許可を取得する必要がありました。

たとえば大阪府の場合、改正前に府内全域で産業廃棄物収集運搬業を行うには、大阪府の許可に加えて以下の各政令市の許可も必要でした。

  • 大阪市
  • 堺市
  • 高槻市
  • 東大阪市

つまり、大阪府内全域で収集運搬を行うだけで5つの許可が必要だったのです。

制度が合理化された背景には、申請手数料などのコストを抑えつつ、申請・更新の事務負担を軽くして許可管理のリスクも減らす目的がありました。

申請手数料のコスト削減

県許可への一本化で、最も分かりやすいメリットは申請コストを抑えられる点です。

産廃収集運搬許可の申請手数料は、新規81,000円、更新73,000円がかかります。

手数料は申請する自治体ごとに発生するため、申請先を減らせれば、その分の負担を減らせます。

2011年の改正前、大阪府内の政令市は大阪市・堺市・高槻市・東大阪市の4市でした。

以後、豊中市・枚方市・八尾市・寝屋川市・吹田市が中核市へ移行し、対象となる市は現在9市に増えています。

改正がなければ、府内全域で収集運搬を行うために、府と9市の合計10か所で許可が必要になる計算です。

改正前の4市だけで比べても、削減効果は次のとおりです。

項目改正前(府+政令市4市)改正後(府のみ)差額
新規申請手数料405,000円(81,000円×5)81,000円△324,000円
更新申請手数料365,000円(73,000円×5)73,000円△292,000円

改正前の4市体制でもこれだけの差額ですが、現在の9市体制で考えれば、仮に改正がなかった場合との差はさらに大きくなります。

5年ごとの更新を考えると、長期的なコスト差は一層広がり、浮いた費用を車両の整備や人材確保に回せるのは経営面でも大きなメリットです。

事務負担の軽減と管理リスクの回避

コスト削減だけでなく、許可証の数を減らすことも大きなメリットにつながります。

許可証が増えると、その分だけ更新・変更の管理も複雑になるからです。

よくあるトラブルとして「複数の許可のうち、1つだけ更新を忘れていた」というケースがあります。

気づかずに運搬を続けてしまうと、無許可営業とみなされ、処分の対象になるおそれがあります。

また、変更届の手間も大きく変わります。

以前は、本社の住所変更や役員の変更、車両の追加といった場面で、それぞれの自治体へ個別に届出を行う必要がありました。

しかし、改正後は原則として府への届出1回で済むようになりました。

手続き・管理内容改正前(府+政令市4市)改正後(府のみ)
本社住所の変更5か所に届出が必要1か所に届出で完了
役員の変更5か所に届出が必要1か所に届出で完了
車両の追加・変更5か所に届出が必要1か所に届出で完了
許可の更新時期の管理5つの期限を管理1つの期限を管理
許可証の管理枚数5枚の許可証を保管・管理1枚の許可証で対応

このように、届出先が1か所になることで、提出忘れのリスクが減り、管理業務もシンプルになり、担当者の負担軽減にも繋がりました。

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産業廃棄物収集運搬業許可に関するよくある質問(Q&A)

通過するだけの自治体の産業廃棄物収集運搬業許可も取る必要がある?

通過するだけであれば許可は不要です。

収集運搬業の許可が必要なのは、産業廃棄物の「積み込み」または「荷降ろし」を行う場所を管轄する自治体のみ。途中で通過する自治体の許可を取る必要はありません。

例えば、大阪府で廃棄物を積み込み、京都府を通過して滋賀県に荷下ろしした場合、必要な許可は大阪府と滋賀県の許可です。

大阪市内だけで収集運搬予定の場合、大阪府の許可は取れない?

大阪市内だけで収集運搬が完結する場合、大阪市長の許可を取得するケースが一般的です。

将来、大阪府内の広い範囲で収集運搬を行う予定がある場合、最初から大阪府知事の許可を取得しておくと、事業拡大のタイミングで許可を取り直す手間が生じません。

しかし、申請では事業計画として積み込み場所と荷下ろし場所を記載するため、事業範囲が大阪市内に限られる内容だと、大阪府知事許可の申請内容と整合しません。

大阪府知事の許可を取りたい場合、排出予定場所や運搬先などの事業計画を見直す必要があるため、行政書士に相談して計画段階から調整するのが現実的です。

まとめ

この記事のまとめ

  • 産業廃棄物収集運搬業許可は都道府県と政令市で効力が及ぶ範囲に違いがある
  • 2011年の法改正で都道府県の許可で県内全域の運搬が可能に
  • 基本的には都道府県の産業廃棄物収集運搬業許可を取得すればOK
  • 積替え・保管を行う場合にはそれぞれの政令市の許可が必要

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