産廃の疑問

古物商と産業廃棄物許可の違いは?不用品回収に必要な許可を専門家が解説

2026年1月11日

古物商許可があれば不用品回収もできる?

不用品回収に必要な許可って何?

といった疑問を持っている方も多いです。

結論から言うと、家庭の不用品を回収するには一般廃棄物収集運搬業許可が必要で、古物商許可や産業廃棄物収集運搬業許可だけでは違法営業になります。

この記事では、古物商許可・産業廃棄物収集運搬業許可・古物商許可の3つの許可の違いや、違反時の罰則、合法的に不用品回収ビジネスを行う3つの方法を解説します。

これからリサイクル業や産廃業、廃品回収業の開業を検討している方は是非参考にしてください。

この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。産廃業専門の行政書士。産廃業の許可に関するメディアサイト「産廃業許可ナビ」を運営しており、産廃業許可の取得率100%。許可の取得実績500件以上。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]

古物商・産業廃棄物・一般廃棄物の違い

申請申請先対象物できること
古物商許可警察署(公安委員会)中古品買取販売
産業廃棄物収集運搬業許可都道府県知事事業活動で出た廃棄物収集運搬
一般廃棄物収集運搬業許可市区町村長家庭ごみや事業系一般廃棄物収集運搬

古物商許可と廃棄物収集運搬業許可は、どちらも「モノを取り扱う仕事」に必要な許可ですが、そもそもの目的や取り扱う対象が大きく異なります。

まず、古物商許可は「中古品などを売買する事業」に必要なもので、主に盗品の流通を防ぐために設けられています。

一方で、廃棄物収集運搬業許可は、「不要になった廃棄物を運ぶ事業」に必要なもので、こちらは衛生管理や環境保護が目的です。

さらに、産業廃棄物収集運搬業許可は、企業などの事業活動によって発生する廃棄物を扱うのに対し、一般廃棄物収集運搬業許可は、家庭ごみや事業系の一般ごみを扱います。

これらの許可を混同したまま営業してしまうと、たとえ悪意がなかったとしても古物営業法違反や廃棄物処理法違反に問われる可能性があるので注意が必要です。

古物商許可とは中古品を買い取って販売する許可

古物商許可とは価値のある中古品(いわゆる有価物)を買い取って、販売を行うために必要な許可です。

古物商許可は、盗品が市場に流通するのを防ぐことを目的として、古物営業法によって定められています。

申請や許可の管理は警察署で、最終的には公安委員会が許可を出します。

ここで特に押さえておきたいポイントは、古物商許可ではゴミとして引き取ることができないという点です。

古物商の取引は、あくまで「お金を支払って買い取る」ことが前提です。

つまり、お金をもらって不要品を引き取るような行為は、古物商許可ではできません。

産業廃棄物収集運搬業許可とは事業活動で出たゴミを運ぶための許可

産業廃棄物収集運搬業許可は、工場やオフィス、建設現場などの「事業活動」によって発生した廃棄物を、収集・運搬するために必要な許可です。

この許可は都道府県が管轄しており、扱う廃棄物(廃プラスチック類・金属くず・がれき類など)の種類によって許可内容が異なります。

また、廃棄物を運搬する地域が複数の都道府県にまたがる場合、それぞれの都道府県で個別に許可を取得しなければなりません。

さらに、対象となる廃棄物は「法人や店舗など、事業者から排出されるゴミ」に限られているという点は注意が必要です。

たとえば、引っ越しに伴って出る家庭ゴミや、日常生活で出る一般家庭のゴミは、産業廃棄物収集運搬業許可で回収・運搬できません。

一般廃棄物収集運搬業許可とは家庭から出たゴミを運ぶための許可

一般廃棄物収集運搬業許可は、家庭から出るゴミを収集・運搬するために必要な許可です。

一般廃棄物収集運搬業許可は市区町村が管轄し、地域のごみ処理体制に応じて、市町村長が「必要」と判断した場合に限り交付されます。

住民が自治体に直接依頼する「行政によるゴミ回収」を補完する、いわば民間サポート的な役割を担う許可です。

いわれる不用品回収には一般廃棄物収集運搬業許可が必要

家庭を一軒一軒回って不用品を回収する行為は、原則として一般廃棄物収集運搬に該当します。

ときどき「産廃許可があるから安心です」といった宣伝を見かけますが、産廃許可で家庭ゴミの回収を行う事は違法です。

同じように、古物商許可だけをもっていたとしても「ゴミ」を回収する行為はできません。

多くの自治体が「無許可の不用品回収業者を利用しないでください」と注意喚起しているのは、まさにこうした違法回収業者が多い為です。

無許可での不用品回収は、回収する側だけでなく、依頼した利用者側にも罰則が科される可能性があります。

こうしたリスクを避けるためにも、事業者自身が扱う対象や業務範囲に応じた正しい許可を取得し、適法な形で回収業務を行うようにしましょう。

一般廃棄物収集運搬業許可は「ほぼ取れない」のが現状

不用品回収には一般廃棄物収集運搬業許可が必要ですが、現在、多くの自治体で新規の許可がほとんど下りていないのが実情です。

この点が、不用品回収業の新規参入において最大のハードルとなっています。

廃棄物処理法では、市町村が「一般廃棄物の収集や運搬について、現行の体制では対応が困難である」と判断した場合にのみ、民間事業者へ許可を出すことができるとされています。

つまり、自治体が「既存の業者で十分に対応できている」と判断していれば、新たな許可は出されません。

その結果、実際に一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているのは、長年その地域で営業を続けてきた一部の事業者に限られているケースがほとんどです。

平成26年の最高裁判決でも、「一般廃棄物処理業は、専ら自由競争に委ねられるべき性格の事業とは位置付けられていない」と明確に示されています(環廃対発第 1410081 号)。

つまり、一般廃棄物処理業はやりたいからと言って自由にできる事業ではなないというわけです。

このように、実質的に新規では取得できない許可となっているため、結果的に無許可で営業する業者が後を絶たない大きな要因となっています。

不用品を無料で回収して販売するだけなら許可は不要

不用品回収には一般廃棄物収集運搬業許可が必要と言いましたが、金銭を受け取らずに不用品を引き取り、その品物を販売するだけであれば、そもそも許可は原則として必要ありません。

なぜなら、法律上は「モノを譲り受けた」という扱いになるため、廃棄物の収集運搬にも古物営業にも該当しないからです。

たとえば、近所の人から「いらなくなった家具があるからあげるよ」と言われて引き取り、それをフリマアプリで販売した場合も、許可の対象とはなりません。

ただし、処分費用や回収費用など、金銭を受け取って不用品を引き取るようなケースでは、たとえ形式が「無料回収」や「買取」であっても、実態としては廃棄物の収集運搬とみなされ、許可が必要になります。

また、引き取った物を売らずにそのまま捨てた場合にも、同様のリスクがあります。

このように、「無料でもらって売るだけ」というシンプルな形であれば基本的に問題はありませんが、そこにお金のやり取りや処分行為が絡むと、法令違反となる可能性がある点は注意してください。

古物商許可だけで「不用品回収」を行うリスクと境界線

買取と説明していても、実際には処分費用や出張費といった名目で料金を受け取っている場合は注意が必要です。

古物商は、あくまで有価物を、代金を支払って買い取ることが前提です。

たとえば、品物を100円で買い取る一方で、出張費や手数料として5,000円を請求するようなスキームは、形式上は買取であっても、実質的には「お金をもらって処分している」のと同じです。

このようなやり方は、脱法行為と判断されるリスクが高く、廃棄物処理法違反として処罰される可能性があります。

実際に、平成17年8月12日付の環境省通知「行政処分の指針について」でも、経済的な合理性が認められない取引は、たとえ形式上は売買であっても、廃棄物処理法の対象となると明記されています。

無許可で不用品回収をした場合の罰則

違反内容廃棄物処理法違反古物営業法違反
懲役刑5年以下の懲役3年以下の懲役
罰金(個人)1,000万円以下100万円以下
罰金(法人)3億円以下100万円以下
その他のリスク取得済の許可取消取得済の許可取消

不用品回収における法令違反は、事業の継続に直結する重大なリスクです。

「古物商許可」や「産業廃棄物収集運搬業許可」を持っていたとしても、許可の範囲外の行為をすれば違法となり、すでに取得している許可が取り消される可能性もあります。

たとえば、一般家庭のゴミを無許可で回収すれば、廃棄物処理法違反となり、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科されます。

法人の場合は最大3億円以下の罰金と、さらに重い処分が科されます。

一方、古物商許可がないまま中古品の買取・販売を行った場合も、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

さらに、古物商許可を持っていても、再販の見込みがない「明らかなゴミ」を回収したり、実質的に処分費を受け取っているような場合には、廃棄物処理法違反とみなされて処罰対象になることもあります。

合法的に不用品回収ビジネスをする3つの方法

一般廃棄物収集運搬業の許可は、現在では取得が非常に難しいのが実情です。

しかも、無許可で営業した場合、個人であれば1,000万円以下、法人であれば3億円以下の罰金が科される可能性があり、事業としてはあまりにもリスクが大きすぎます。

だからこそ、無理に一廃許可を目指すのではなく、法律の範囲内で現実的に取り組める不用品回収ビジネスの形を選ぶことが重要になります。

以下では、合法的に不用品回収ビジネスができる3つの方法を紹介します。

方法①:買取(リユース)特化モデル

古物商許可を活用し、あくまで「価値のあるもの」だけを扱う、買取(リユース)特化型のモデルです。

再販可能な中古品や、修理・再生によって販売できる見込みのあるジャンク品のみを対象とし、対価を支払って適正に買い取ります。

一方で、壊れていて再利用が難しい家電や明らかなゴミについては、依頼者に自治体の回収や持ち込みを案内する対応が基本です。

このように、取り扱う物を厳選することで、廃棄物処理法に抵触するリスクを避けながら、合法的にビジネスを展開することが可能になります。

方法②:BtoB(法人)特化モデル

産業廃棄物収集運搬業許可をフル活用し、オフィス移転・工場撤去・店舗閉鎖などの法人案件に特化するモデルです。

一般家庭ではなく事業者から出るゴミを扱うため、一般廃棄物収集運搬業許可は基本的に不要です。

高単価案件が多く、収益性も高い傾向にあります。

ただし、事業者から出るゴミであっても、事業系一般廃棄物に該当するものは扱えない点は注意が必要です。

あくまでも、産業廃棄物として認められている20種類の品目に限定して取り扱う必要があります。

方法③:一廃許可業者との正規提携モデル

自社は「整理・仕分け・買取」を担当し、「運搬・処分」は一般廃棄物収集運搬業許可を持つ業者と業務提携し外注するモデルです。

この方法なら、取得がほぼ不可能な一般廃棄物収集運搬業許可を自社で持つ必要がありません。

許可を持っている業者と提携することで、法令を遵守しながら一般家庭向けのサービスを展開できます。

たとえば、遺品整理サービスの場合、自社スタッフが現場で仕分け作業を行い、価値のある品物は古物商許可を使って買い取ります。

残った処分品については、提携先の一廃許可業者に引き渡して運搬・処分を依頼します。

依頼者から見れば「整理から処分までワンストップで対応してくれる業者」に見えますが、実際には許可を持つ業者同士が役割分担しているため、法的に問題のない形でサービスを提供が可能です。

まとめ

まとめ

  • 不用品回収には一般廃棄物収集運搬業許可が必要
  • 一般廃棄物収集運搬業許可を取得することはほぼ不可能
  • 古物商許可や産業廃棄物収集運搬業許可で不用品回収は原則できない
  • 無許可で不用品回収をした場合は5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金

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