
特別管理産業廃棄物を収集運搬したいけれど、「通常の産廃許可と何が違うのか」「どのような要件を満たせばよいのか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
すでに産廃収集運搬業を営んでいる方も、新たに事業を始める方も、講習や申請手続きについて事前に確認しておきたいところです。
特別管理産業廃棄物収集運搬業とは、毒性や感染性などがあり、特別な管理が必要な産業廃棄物を収集・運搬する事業です。他人から委託されて運搬するには、通常の産廃許可とは異なる専用の許可が必要になります。
この記事では、通常の産廃許可との違いや許可要件、必要な講習、申請の流れ、費用、取得期間までわかりやすく解説します。
個人事業主の申請や資格に関する疑問も紹介するので、許可取得を検討している方はぜひ参考にしてください。
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この記事を書いた人
NAGASHIMA行政書士代表。日本行政書士連合会 第20260604号。産廃業に強い行政書士。産廃業の許可に関するメディアサイト「産廃業許可ナビ」を運営しており、産廃業許可の取得率100%。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]
特別管理産業廃棄物収集運搬業とは
特別管理産業廃棄物収集運搬業とは、爆発性・毒性・感染性などがあり、特別な管理が必要な産業廃棄物を収集・運搬する事業です。
特別管理産業廃棄物は、人の健康や生活環境に被害を与えるおそれがあるため、通常の産業廃棄物より厳しい処理基準が設けられています。
他人から委託されて特別管理産業廃棄物を収集・運搬するには、特別管理産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。通常の産業廃棄物も取り扱う場合は、産業廃棄物収集運搬業許可も必要になります。
一方、排出事業者が自社で発生した特別管理産業廃棄物を自ら運搬する場合は、原則として許可は不要です。
ただし、許可が不要でも、特別管理産業廃棄物の収集運搬基準は守らなければなりません。
通常の産業廃棄物収集運搬業との違い
通常の産業廃棄物収集運搬業と特別管理産業廃棄物収集運搬業の大きな違いは、取り扱える廃棄物の種類です。
それぞれ必要な許可が異なり、講習や運搬施設の要件にも違いがあります。
| 比較項目 | 通常の産廃収集運搬業 | 特別管理産廃収集運搬業 |
|---|---|---|
| 運搬できる廃棄物 | 通常の産業廃棄物 | 特別管理産業廃棄物 |
| 廃棄物の例 | 廃プラスチック類、木くずなど | 引火性廃油、感染性廃棄物など |
| 必要な許可 | 産業廃棄物収集運搬業許可 | 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可 |
| 講習 | 通常の産廃に対応した講習 | 特管産廃に対応した講習 |
| 運搬設備 | 飛散・流出を防止する容器・設備が必要 | 廃棄物の危険性に応じた容器・設備が必要 |
たとえば、通常の産廃許可で廃油を運搬できる事業者でも、特別管理産業廃棄物に該当する引火性廃油を運ぶには、特別管理産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。
特別管理産業廃棄物に該当する種類一覧
特別管理産業廃棄物には、引火しやすい廃油、腐食性の強い廃酸・廃アルカリ、感染性産業廃棄物、特定有害産業廃棄物などがあります。
主な種類と具体例は、次のとおりです。
| 種類 | 該当する基準・性状 | 具体例 |
|---|---|---|
| 廃油 | 揮発油類・灯油類・軽油類など | 廃ガソリン、廃灯油、廃軽油 |
| 廃酸 | pH2.0以下の強い酸性 | 強い酸性の廃液 |
| 廃アルカリ | pH12.5以上の強いアルカリ性 | 強いアルカリ性の廃液 |
| 感染性産業廃棄物 | 病原体による感染のおそれがあるもの | 医療機関などから出る感染性の廃棄物 |
| 廃PCB等・PCB汚染物・PCB処理物 | PCBを含む、または付着したものなど | PCBを含む廃油、PCBが付着した金属くず |
| 廃石綿等 | 石綿が飛散するおそれがあるもの | 除去された吹付け石綿など |
| 廃水銀等 | 特定施設から排出された廃水銀や、廃棄物から回収された水銀など | 回収された廃水銀 |
| その他の特定有害産業廃棄物 | 重金属類などの有害物質が一定の基準を超えるものなど | 燃え殻、ばいじん、汚泥、鉱さいなど |
たとえば、廃酸や廃アルカリは、pHによって通常の産業廃棄物と特別管理産業廃棄物に区分されます。
また、石綿を含む廃棄物がすべて特別管理産業廃棄物になるわけではありません。飛散のおそれがある廃石綿等と、それ以外の石綿含有産業廃棄物は区別されます。
なお、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を取得しても、運搬できるのは許可された廃棄物の種類に限られます。
特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可要件
特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可要件は、通常の産業廃棄物収集運搬業と基本的に共通しています。
主な許可要件は、次の5つです。
| 許可要件 | 内容 |
|---|---|
| 知識・技能 | 特別管理産業廃棄物を適正に取り扱う知識・技能があること |
| 運搬施設 | 廃棄物の種類に適した車両や容器などを確保していること |
| 事業計画 | 適正に収集運搬できる事業計画があること |
| 経理的基礎 | 継続して事業を行える経理的基礎があること |
| 欠格要件 | 申請者や役員などが欠格要件に該当しないこと |
ただし、特別管理産業廃棄物には危険性や有害性があるため、通常の産廃許可とは異なる知識・技能や運搬施設の要件が設けられています。
なお、共通する要件の詳細については、産業廃棄物収集運搬業許可の要件をご確認ください。
特管産廃に対応した知識・技能が必要
特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するには、取り扱う廃棄物の危険性に応じた知識・技能が必要です。
たとえば、感染性産業廃棄物では感染防止、腐食性の廃酸では漏出や接触による事故を防ぐための知識が求められます。
また、PCB廃棄物を運搬する場合は、実際に作業する従業員にも、PCB廃棄物の性状や取扱方法、事故時の応急措置、緊急連絡方法などに関する知識・技能が必要です。
なお、許可申請者に必要な知識・技能は、後述する講習の受講の受講を受けることで知識・技能を証明できます。
廃棄物の種類に適した運搬施設が必要
特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するには、取り扱う廃棄物の種類に適した車両や容器などが必要です。
通常の産業廃棄物と同様に、飛散や流出などを防ぐ設備に加えて、廃棄物の危険性に応じた設備も求められます。
主な設備要件は、次のとおりです。
| 廃棄物の種類 | 必要な設備・措置 |
|---|---|
| 廃油・廃酸・廃アルカリ | 廃棄物の性状に応じた腐食防止措置など |
| 感染性産業廃棄物 | 適切に運搬できる保冷車などの施設 |
| PCB廃棄物 | 事故時の応急措置に必要な設備や緊急連絡設備 |
なお、感染性産業廃棄物の運搬には、必ずしも保冷車が必要なわけではありません。適切に運搬できる設備があれば、その他の車両でも認められます。
特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可に必要な講習
特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するには、原則としてJWセンターが実施する「特別管理産業廃棄物の収集・運搬課程」を修了する必要があります。
通常の産廃収集運搬業とは異なる講習で、特別管理産業廃棄物の取扱方法などを学び、修了試験に合格すると修了証が交付されます。
講習の受講対象者は、次のとおりです。
- 法人の場合:代表者・役員・政令で定める使用人のいずれか
- 個人事業主の場合:本人または政令で定める使用人
すでに通常の産廃許可を取得している場合でも、特管産廃に対応した講習の修了証が必要です。
特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可申請の流れ
特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、通常の産業廃棄物収集運搬業と基本的に同じ流れで進めます。
具体的な申請手順は、次の7ステップです。
なお、必要書類や申請方法は自治体によって異なります。また、積替え・保管を行う場合は、事前協議が必要になることもあるため注意が必要です。
特別管理産業廃棄物収集運搬業許可の費用
特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可取得には、申請手数料や講習会の受講料、公的書類の取得費用が必要です。
新規許可を取得する場合の費用は、次のとおりです。
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 許可申請手数料 | 81,000円 |
| 講習会(オンライン) | 40,700円 |
| 講習会(対面) | 51,700円 |
| 公的書類取得費用 | 2,000〜4,000円前後 |
申請手数料と講習会の受講料を合わせると、合計で12万~13万円前後です。また、複数の自治体で許可を取得する場合は、それぞれ自治体で申請手数料が必要です。
なお、行政書士に申請代行を依頼する場合は、別途報酬が発生します。
特別管理産業廃棄物収集運搬業許可の期間
特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可取得までの期間は、講習会の受講や書類の準備状況、自治体の審査期間によって異なります。
一般的に、講習会の受講や必要書類の収集など、申請までの準備には1〜2か月程度かかります。
また、申請後の審査期間は自治体によって異なりますが、おおむね40〜60日程度が目安です。なお、大阪府では、積替え・保管を行わない場合の標準処理期間は原則60日とされています。
つまり、申請前の準備期間と審査期間を合わせると、許可取得までに3〜4か月程度かかる計算になります。
ただし、講習会の予約状況や書類の不備によっては、さらに時間がかかる場合もあるため、余裕を持って準備してください。
特別管理産業廃棄物収集運搬業のよくある質問
ここでは、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可取得について、よくある質問を紹介します。
個人事業主でも特別管理産廃の許可は取得できる?
特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可は、個人事業主でも取得できます。
法人と同様に、必要な知識・技能や運搬施設、経理的基礎などの要件を満たす必要があります。
ただし、法人とは必要書類が一部異なる点には注意が必要です。
特別管理産業廃棄物管理責任者の資格で申請できる?
特別管理産業廃棄物管理責任者の資格では、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可申請に必要な知識・技能を証明できません。
特別管理産業廃棄物管理責任者は、特別管理産業廃棄物を排出する事業場で、廃棄物の適正な管理を担当する人です。
一方、収集運搬業の許可には、運搬業者として必要な知識・技能が求められます。
そのため、管理責任者の講習を修了していても、収集運搬業の許可申請に必要な講習の修了証として代用することはできません。
特別管理産業廃棄物収集運搬業に関する相談は産廃業許可ナビ
特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可取得をご検討中の方は、産廃業許可ナビへお気軽にご相談ください。
取り扱う廃棄物の種類や運搬する地域、使用予定の車両・容器などを伺い、必要な許可や申請手続きについてご案内します。
初回相談は無料です。申請代行の対応可否や費用についても個別にご案内しますので、お気軽にお問い合わせください。
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まとめ
特別管理産業廃棄物を他人から委託されて収集・運搬するには、通常の産廃収集運搬業とは別の許可が必要です。
許可取得には、特別管理産業廃棄物に対応した講習の修了や、廃棄物の種類に適した車両・容器の確保などが求められます。
また、申請前の準備には1〜2か月程度かかり、申請後の審査期間も自治体によって異なりますが、おおむね40〜60日程度が目安です。
事業開始に間に合うよう、早めに行政書士へ相談し、計画的に準備を進めましょう。
産廃業許可ナビでは、初回相談を無料で受け付けています。許可取得を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。
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長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所