
産業廃棄物収集運搬許可の要件には何がある?
難しい言葉ばかりで要件がよく分からない…
これから産業廃棄物収集運搬許可取得を目指す方も、すでに準備を進めている方も、そう感じている方は少なくありません。
結論からいえば、許可取得には5つの要件をすべてクリアする必要があります。
1つでも要件を満たせない場合、産業廃棄物収集運搬業許可を取得することはできません。
さらに、申請が不許可になった場合でも申請手数料の81,000円は返金されません。
そのため、産業廃棄物収集運搬業許可を申請する際は必ず、要件を確認した上で申請するようにしてください。
この記事では、車両・駐車場などの設備要件から、講習会の受講、財務状況、欠格事由、事業計画まで、5つの要件を初心者にも分かりやすく解説します。
よくある質問もまとめていますので、自分が要件を満たせるか不安な方はぜひ最後まで読んで下さい。
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この記事を書いた人
産業廃棄物収集運搬許可を取得するための5つの要件

産業廃棄物収集運搬業の許可を得るには、廃棄物処理法第14条で定められた基準を満たす必要があります。
具体的には、以下の5つの要件をすべてクリアすることが求められます。
それぞれについて分かりやすく解説していきます。
要件1:収集運搬に必要な施設(車両・容器・駐車場)があること
廃棄物を安全に運搬するには、専用の車両や容器を用意し、それらを適切に保管できる駐車場が必要です。
運搬中に廃棄物が飛び散ったり流れ出たりすると、環境汚染や交通事故を引き起こす恐れがあるからです。
こうしたリスクを防ぐため、設備面での要件が設けられています。。
廃棄物の飛散・流出を防ぐための適切な運搬容器の準備
廃棄物の種類ごとに、飛散や漏れを防げる専用の容器を準備しなければなりません。
液体や粉が飛びやすい廃棄物は、運搬中に周囲へ被害を与える恐れがあるため、密閉性と強度のある容器が必要です。
たとえば、汚泥や廃油にはフタ付きのドラム缶やポリタンクがよく使われます。
粉塵の出やすい石膏ボードなどには、フレキシブルコンテナバッグ(通称フレコンバッグ)と呼ばれる大型の袋状容器が一般的です。
運搬車両を使用する権限があるか
申請者が、その車両を継続的に使う正当な権利を持っていることを証明する必要があります。
許可を受けて事業を行う以上、使用する車両についても正当な権利があることを示す必要があるためです。
車検証の「使用者」の欄に、申請者の名前(法人名または個人名)が記載されていれば問題ありません。
使用者が申請者と異なる場合は、車両の貸し借りに関する契約書や承諾書で権利を証明する必要があります。
たとえばリース車両であればリース会社との契約書、代表取締役個人が所有する車を法人の許可で使う場合は代表取締役からの承諾書を添付します。
ただし、すでに他の事業者が産廃の許可で登録している車両は使用できません。
また、車両の運転者は申請者に雇用されている必要があります。
なお、緑ナンバー(事業用自動車)の貸し借りについては、別途、陸運局への確認が必要ですので注意してください。
駐車場を使用する権利があるか
運搬車両を停めるための駐車場を確保し、その使用権限も証明する必要があります。
路上駐車や他社敷地への無断駐車を防ぎ、事業の拠点がどこにあるかを明確にすることで、行政が適正に管理されているかを確認できるようにするためです。
自分の土地であれば、法務局で取得できる登記簿謄本を、駐車場を借りている場合には契約書を添付します。
なお、車両が複数ある場合は、どの駐車場にどの車両を停めるかを申請書に記載する必要があります。
駐車場が複数箇所に分かれる場合は、それぞれの使用権を証明する書類も必要になるため、注意してください。
車両と廃棄物の組み合わせに関する制限
車両の種類によっては、特定の廃棄物を運ぶことが認められない場合があります。
車両の構造上、安全に運搬できない廃棄物を積むと、事故や環境汚染につながる恐れがあるためです。
たとえば、ゴミ収集車(パッカー車)では、がれき類やアスベストを含む廃棄物、水銀を含む廃棄物などを運ぶことはできません。
圧縮する構造のため、危険物が飛散したり破損したりするリスクがあるからです。
また、車検証に「土砂等禁止」と記載されている車両では、がれき類や鉱さい(金属精製後に残るカス)などの重い廃棄物を運べません。
車両の表示義務とその他の確認事項
運搬車両には法令で定められた表示義務があり、車検や地域によっては排気ガス基準なども審査の対象となります。
不法投棄の防止や、騒音・排気ガスによる公害を防ぐためです。
具体的には以下の点が確認されます。
- 表示義務:車両の両側面に「産業廃棄物収集運搬車」の文字と許可番号を表示(許可取得後でOK)
- 積載量:車検証記載の最大積載量を超えないこと
- 車検:申請日時点で有効であること
- 排気ガス規制:一部地域では、登録不可。
古い車両を使う場合は、排気ガス規制に該当しないか事前に確認しておきましょう。
要件2:講習会を受講し有効な修了証があること
法人であれば代表者または役員、個人事業主であれば本人が、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する講習会を受講し、修了試験に合格する必要があります。
産業廃棄物を適正に処理するための知識がなければ、不法投棄や環境汚染につながる恐れがあるためです。
新規で許可を取得する場合は「産業廃棄物の収集・運搬課程(新規)」を受講します。
講習は2日間で、受講料は31,000円(WEB申込は30,500円)です。講習会は全国各地で開催されており、JWセンターのWebサイトから日程確認と申込みができます。
最終日に修了試験がありますが、講習をしっかり聞いていれば問題なく合格できるレベルです。
修了証は講習終了後2週間程度で届きます。
なお、修了証には5年間の有効期限がありますので、許可申請の時点で期限が切れていないか事前に確認してください。
講習会は年間を通じて複数回開催されていますが、繁忙期には2〜3ヶ月先まで満席になることもあります。
そのため、産業廃棄物収集運搬業許可を取得することが決まっているのであれば、早めに申し込みを済ませておくとスムーズに許可取得が可能です。
要件3:経理的基礎(財務状況)が健全であること
事業を継続できるだけの財務的な基盤があるかどうかが審査されます。
経営状態が悪化した業者が廃棄物を放置したり、不法投棄したりするのを防ぐためです。
審査では直近3期分の決算書を提出します。
具体的には、負債が資産を上回る「債務超過」の状態でないこと、継続的に経営できる見込みがあることが求められます。
ただし、債務超過や赤字決算が続いている場合でも、中小企業診断士や公認会計士による診断書を添付し、今後の改善見込みを説明すれば許可されるケースがあります。
また、創業から間もなく3年以内の決算書がそろわない場合でも、設立届(個人は開業届)や納税証明書などの追加書類を提出することでこの要件を満たすことも可能です。
要件4:法で定められた欠格事由に該当しないこと
法律で定められた欠格事由に一つでも該当すると、許可は取得できません。
過去に問題を起こした人や反社会的勢力に許可を出すと、不法投棄や環境汚染が繰り返される恐れがあるためです。
主な欠格事由は以下のとおりです。
審査の対象は申請者本人だけでなく、法人の場合は役員や5%以上の株主、支店長なども含まれます。
ただし、該当者がいても、その人を役員から外したり、株式を譲渡して保有割合を下げたりすれば、許可を取得できる可能性があります。
詳しくは、産業廃棄物許可の欠格要件をご確認下さい
要件5:適切な事業計画を立てていること
「どの種類の廃棄物を」「どこから集めて」「どこへ運ぶのか」を、具体的かつ実現可能な事業計画を立てておく必要があります。
廃棄物がどこからどこへ流れるのかを明確にし、不法投棄や不適切な処理を防ぐためです。
申請書類には、主に以下の内容を記載します。
審査では、処理施設と実際に契約できる見込みがあるか、搬入先がその廃棄物を処理できる許可を持っているかなども確認されます。
また、廃棄物の種類によって必要な車両や容器も異なるため、事業計画と設備の内容に矛盾がないかも審査のポイントになります。
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不許可の場合には申請手数料81,000円は返金されない

産業廃棄物収集運搬業許可の申請書を提出する際に、都道府県や政令市の窓口で81,000円の申請手数料を支払います。
つまり、申請手数料を支払った後に、正式に審査が始まります。
審査では、ここまでで解説したような施設や車両の要件、講習会の修了証、財務状況、欠格事由、事業計画などが確認されます。
そして、万が一、審査の結果が産業廃棄物収集運搬業許可要件を満たしていないと判断され、不許可になってしまった場合、申請時に支払った81,000円は返金されません。
これは許可を取得するための手数料ではなく、審査を行うための手数料だからです。
そのため、申請が不許可にならないためにも、ここまでに解説した要件をしっかりと確認してから申請するようにしましょう。
また、要件を満たしているか不安がある方は専門家に相談することをおすすめします。
産業廃棄物収集運搬許可の要件に関するよくある質問

多産業廃棄物収集運搬許可の要件について、各自治体の手引きだけでは分かりにくいケースも少なくありません。
そのため、ここでは実務上よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
軽自動車や乗用車でも運搬車両として登録できますか?
軽自動車や乗用車でも登録することは可能です。ただし、運ぶ予定の廃棄物の種類や量に対して、その車両の積載能力が適切かどうかが審査されます。運搬内容と車両の性能に無理がないこと、そして事業計画と矛盾していないことが前提となります。
産廃車両に影響するディーゼル車規制(走行規制)とは何ですか?
大気汚染を防ぐために、排出基準を満たさない古いディーゼル車の走行や登録を制限する規制です。東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県などが一部地域で、基準を満たさない車両は許可車両として登録できません。中古車を購入する際は特に注意が必要です。
過去に自己破産したけ産業廃棄物収集運搬業の許可はとれますか?
復権を得ていれば許可を取得できます。破産者の9割以上が、破産開始から3〜6カ月ほどで免責許可が確定し、復権を得ています。ただし、復権を得ていない場合は欠格事由に該当し、許可は取得できません。
スピード違反で罰金を払ったけど産業廃棄物収集運搬業の許可はとれますか?
交通違反の罰金であれば許可を取得できます。欠格事由に該当する罰金刑は、廃棄物処理法や環境関連法令の違反、暴行罪・傷害罪・脅迫罪などに限られているためです。
スピード違反や駐車違反などの一般的な交通違反はこれに含まれません。ただし、禁錮刑以上の刑を受けた場合は、どのような犯罪でも5年間は許可を取得できません。
執行猶予が終わってから5年待たないと産業廃棄物収集運搬業の許可はとれませんか?
執行猶予期間が満了すれば、5年待たずにすぐ許可を申請できます。
執行猶予付き判決の場合、刑の言い渡し自体が効力を失うため、欠格事由に該当しなくなるからです。
ただし、執行猶予期間中は欠格事由に該当するため、許可は取得できません。
まとめ
まとめ
- 産業廃棄物収集運搬業許可を取得するには5つの要件をクリアする必要がある
- 要件1:収集運搬に必要な施設(車両・駐車場)があること
- 要件2:講習会を受講し有効な修了証を有していること
- 要件3:経理的基礎(財務状況)が健全であること
- 要件4:法で定められた欠格事由に該当しないこと
- 要件5:適切な事業計画を立てていること
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長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所