
産業廃棄物の無許可運搬はバレる?
産業廃棄物の無許可運搬の罰則は?
産業廃棄物を無許可で運搬する際に、「バレなければ大丈夫だろう」と考えている事業者は少なくありません。ただ、実際には思っている以上に無許可運搬は発覚するケースが多いのが現実です。
発覚した場合、個人で5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、法人には別途3億円以下の罰金が科される可能性があります。
また、懲役刑を受けると欠格事由に該当し、建設業許可や古物商許可など、他の許可も失うリスクがあります。
この記事では、産業廃棄物の無許可運搬に科される罰則・発覚する主な経緯・許可が不要な例外ケースなどについて解説します。実際の逮捕事例も紹介しているので、自社の運搬体制を見直すきっかけにしてください。
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産業廃棄物の無許可運搬に科される厳しい罰則

産業廃棄物を許可なく運搬すると、廃棄物処理法で最も重い罰則を受けます。
軽微な違反なら行政指導で済むこともありますが、悪質な場合は即座に厳しい処分が下される可能性があります。知らなかったでは済まされません。
個人なら5年以下の懲役か1,000万円以下の罰金(廃棄物処理法第25条第1項第1号)、またはその両方が科されます。法人はさらに厳しく、3億円以下の罰金が別途課されてしまいます(廃棄物処理法第第32条第1項第1号)。
また、産業廃棄物の無許可運搬の罰則による影響は金銭面だけではありません。懲役刑を受けた場合、建設業許可や古物商許可などの欠格事由に該当し、許可を失います。
つまり、無許可で産業廃棄物を運搬すると、他の事業も含めてビジネス全体が続けられなくなるリスクがあるというわけです。
他の許可と比べて罰則が重い理由
なぜ、産廃の無許可運搬はこれほど重い罰則なのか。その理由は、廃棄物処理法の「目的」にあります。
建設業法や宅建業法が「業界の健全な発展」を目的としているのに対し、廃棄物処理法は「公衆衛生の向上と生活環境の保全」を目的としています。
つまり、国民の生命や健康に関わる分野を守る法律なので、罰則も重くなっています。
他の法律の無許可営業に対する罰則と比べても、産廃の無許可営業の重さは明らかです。
| 業種 | 根拠法 | 罰則 |
|---|---|---|
| 産業廃棄物の無許可運搬・処分 | 廃棄物処理法 | 懲役5年以下 or 罰金1,000万円以下 |
| 一般廃棄物の無許可収集運搬 | 廃棄物処理法 | 懲役5年以下 or 罰金1,000万円以下 |
| 建設の無許可営業 | 建設業法 | 懲役3年以下 or 罰金300万円以下 |
| 一般貨物自動車運送の無許可営業 | 貨物自動車運送事業法 | 懲役3年以下 or 罰金300万円以下 |
| 宅地建物取引業の無免許 | 宅建業法 | 懲役3年以下 or 罰金300万円以下 |
| 古物商の無許可営業 | 古物営業法 | 懲役3年以下 or 罰金100万円以下 |
| 食品営業の無許可営業 | 食品衛生法 | 懲役2年以下 or 罰金200万円以下 |
| 旅行業の無登録営業 | 旅行業法 | 懲役1年以下 or 罰金100万円以下 |
懲役の上限は5年で、多くの業種の無許可営業(3年以下が主流)を上回ります。罰金の上限も1,000万円と、他業種より高い水準です。
さらに、法人には別途3億円以下の罰金が科されます。
無許可業者が運搬に関わると、廃棄物がどこに持ち込まれたか追えなくなります。
行き先不明の産廃は山中や河川近くに不法投棄され、土壌汚染や有害物質の流出につながるおそれがあります。一度汚染が発生すると、除去に数十億円以上の公費が投じられるケースも珍しくありません。
違反を割に合わないものにするという抑止の観点から、法人罰金3億円という高額設定が採用されています。
産業廃棄物の無許可運搬が発覚する主な要因4つ

バレなければ問題ない、と考えるのは危険です。
産業廃棄物の無許可運搬は以下の4つの要因で発覚することが多いです。
発覚した場合、行政や警察による調査が入ることがあります。過去の違反まで芋づる式に掘り起こされるケースも珍しくありません。
1. 路上検問での発覚
警察と自治体による産業廃棄物収集運搬車両の路上検問は、各地で実施されています。
多くは抜き打ちで行われるため、事前に把握するのは困難です。
確認されるのは、収集運搬業許可証の提示とマニフェストの内容です。
車両への社名表示がない、あるいは表示と許可証の情報が一致しない場合、その場で行政調査が始まるおそれがあります。
2. 交通事故を起こした際、警察による積載物の確認
交通事故は、無許可運搬が発覚する代表的なきっかけの一つです。警察は事故現場で積載物の種類と、運搬が適法かどうかを確認します。
自社のゴミを運んでいたと主張しても、現場写真や排出元との契約関係の調査で実態が明らかになります。
たとえば、車両が横転して廃棄物が散乱した場合、排出元・運搬者・行き先の全てが調査の対象になります。
事故は誰にでも起こりえるものであり、許可証がなければ、交通違反だけでなく産廃違反もあわせて問われます。
3. 処分場への搬入時における許可証の確認・抜き打ち検査
処分場は、無許可運搬が発覚しやすい場所の一つです。処分業者は、無許可業者からの廃棄物を受け入れると自分たちも罰則の対象になります。そのため、搬入車両の許可証確認は処分場側の日常業務になっています。
加えて、自治体には処分場への立入検査権限があり、搬入記録や許可証の管理状況が確認される場合があります。無許可業者との取引が記録に残っていれば、そこから運搬業者の摘発につながります。
4. 近隣住民・同業者・従業員からの通報(タレコミ)
第三者からの通報は、無許可運搬が発覚するきっかけとして件数が多いルートです。
各自治体は不法投棄の通報窓口を設置しており、スマートフォンで写真を撮ってその場で報告できるシステムも普及しており、情報提供のハードルは以前より大幅に下がっています。
また、通報者は近隣住民に限りません。相場より明らかに安い見積もりを出している業者を同業者が通報したり、退職した元従業員が行政に申告したりするケースも考えられます。
社内の誰もが通報者になりえる状況であり、違法状態を続けることのリスクは高まっています。
産業廃棄物の運搬で許可が不要となる5つの例外ケース

産業廃棄物の運搬には原則として許可が必要ですが、法律で定められた特定の条件を満たす場合に限り、例外的に許可なしで運搬できます。
具体的には、以下の5つに関しては産業廃棄物収集運搬業の許可は不要です。
| 例外ケース | 概要 |
|---|---|
| ①自社運搬 | 自社から排出した廃棄物を、自社で運搬する場合 |
| ②専ら物 | 古紙・鉄くず・空き瓶・古繊維など、専ら再生利用される廃棄物 |
| ③有価物 | 売買契約があり、対価を受け取って引き渡す物(廃棄物に該当しない) |
| ④下取り | 新品購入時に同種の使用済み品を下取りするケース |
| ⑤広域認定制度 | 製造・販売業者が環境大臣の認定を受けて回収・運搬する場合 |
ただし、許可が不要なケースにも、細かい条件があります。
「自社運搬」であっても、グループ会社や関連会社の廃棄物を運んだ時点で許可が必要になります。「有価物」も、実態が廃棄物とみなされれば例外は適用されません。
産業廃棄物収集運搬業許可が必要かどうかの判断は、状況によって異なります。各ケースの詳細な条件については、都道府県の担当窓口や専門家に確認するのがおすすめです。
許可が不要なケースの具体例については、「産業廃棄物収集運搬許可が必要なケースとは?不要な5つの具体例も解説」で詳しく解説しています。
無許可業者への委託は依頼する側も罰則の対象

産業廃棄物の運搬を無許可業者に依頼した排出事業者も、廃棄物処理法違反として刑事罰の対象になります。「頼んだだけ」「知らなかった」は免責の理由になりません。
無許可業者に運搬を委託した場合、排出事業者には廃棄物処理法第25条第6号により、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科されます。許可業者への委託であっても、書面による委託契約を締結せずに運搬させた場合は廃棄物処理法第26条違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象です。
無許可での運搬は、依頼してくれた取引先を巻き込むリスクがあります。自分だけの問題では済まない以上、無許可での運搬は絶対に避けてください。
無許可運搬で実際に逮捕・起訴された重大な事例

産業廃棄物の無許可運搬は、実際に逮捕者が出ています。さらに、無許可業者に委託した排出事業者側も逮捕されたケースがあります。(出典:学校法人同志社「廃棄物処理に係る法令違反及び第三者委員会設置について)
同志社大学は、キャンパスや学生寮の廃棄物処理を、京都市の許可を持たない関連会社(株式会社同志社エンタープライズ)に委託していました。同社はさらに無許可の業者に再委託しており、違反状態が長年放置されていました。
2015年2月に京都市から違反の指摘を受けていたにもかかわらず改善が遅れ、同年12月に京都府警が関係先を家宅捜索。2016年1月にエンタープライズ社の社員4名が逮捕され、同年2月には委託していた大学職員3名(施設部長ら)も逮捕されました。
注目すべきは、無許可運搬を行った業者側だけでなく、委託した大学職員側も逮捕されている点です。
長年の慣例として続いていた違反状態を、行政から指摘を受けた後も放置したことが、逮捕という最悪の結果につながっています。
まとめ
この記事のまとめ
- 無許可運搬には個人で懲役5年以下または罰金1,000万円以下、法人には別途3億円以下の罰金が科される
- 懲役刑を受けると他の許可も失う欠格事由に該当し、ビジネス全体が存続できなくなるリスクがある
- 発覚ルートは主に路上検問・交通事故・処分場での確認・通報の4つ
- 自社運搬・専ら物・有価物・下取り・広域認定制度の5ケースは例外的に許可不要
- 無許可業者への委託側も刑事罰の対象となり、「知らなかった」は免責理由にならない
- 委託した側も逮捕された事例があり、他人事ではない
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長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所