産廃許可の基礎知識

廃バッテリーの廃棄物収集運搬に必要な品目と注意点を解説

廃バッテリーはどの品目で申請すればいいのかわからない…

特別管理産業廃棄物に該当するかどうかも判断できない…

このような疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。

廃バッテリーは複数の素材からなる混合廃棄物であり、鉛バッテリーやリチウムイオン電池など、種類によって該当する品目や許可区分が異なります。

この記事では、バッテリーの種類ごとの該当品目から許可取得の注意点、安全な運搬手順、罰則リスクまで解説します。

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この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。産廃業専門の行政書士。産廃業の許可に関するメディアサイト「産廃業許可ナビ」を運営しており、産廃業許可の取得率100%。許可の取得実績500件以上。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]

【廃バッテリー・電池の種類別】廃棄物収集運搬に必要な品目

廃バッテリーや電池は、種類によって該当する産業廃棄物の品目が異なります。鉛バッテリーやアルカリ蓄電池、リチウムイオン電池など、扱う対象によって申請時に選ぶべき品目が変わるため、事前の確認が必要です。

品目の選定を誤ると、許可の範囲外の廃棄物を運搬したとみなされ、行政処分の対象になるおそれもあります。ここでは、代表的なバッテリー・電池の種類ごとに、該当する品目を解説します。

種類該当する主な品目
鉛バッテリー(鉛蓄電池)廃プラスチック類、金属くず、廃酸(特別管理産業廃棄物)
アルカリ蓄電池廃プラスチック類、金属くず、廃アルカリ(特別管理産業廃棄物)
リチウムイオン電池・ニカド電池・ニッケル水素電池金属くず、汚泥、廃プラスチック類

鉛バッテリー(鉛蓄電池)に該当する品目

鉛バッテリーは、廃プラスチック類・金属くず・廃酸という3つの品目が混在した廃棄物として扱われます。環境省の通知(環廃産発050330009号)や各都道府県のガイドラインでも、鉛バッテリーはこの3品目の混合物として適正に処理するよう明記されています。

内訳は、次のとおりです。

  • 廃プラスチック類
  • 金属くず
  • 廃酸(特別管理産業廃棄物)

このうち電解液はpH2.0以下の強酸に当たり、廃酸の中でも腐食性が著しい特別管理産業廃棄物に分類されます。特別管理産業廃棄物は、普通の産業廃棄物とは別に扱われる区分で、収集運搬にも専用の許可が必要です。

つまり鉛バッテリーを適正に運搬するには、廃プラスチック類・金属くずを含む通常の産業廃棄物収集運搬業許可に加えて、特別管理産業廃棄物収集運搬業許可もあわせて取得しなければなりません。

アルカリ蓄電池に該当する品目

アルカリ蓄電池は、廃プラスチック類・金属くず・廃アルカリの混合廃棄物として扱われます。

  • 廃プラスチック類
  • 金属くず
  • 廃アルカリ(特別管理産業廃棄物に該当する可能性が高い)

電解液(水酸化カリウムなど)はpH12.5以上の強アルカリに該当するとされており、鉛蓄電池と同じく特別管理産業廃棄物としての扱いが必要になる可能性があります。

ただしアルカリ蓄電池には、鉛蓄電池のような環境省の全国統一通知が見当たらないため、実際に特管の許可が必要かどうかは自治体へ確認しておくのが確実です。

確認の結果、特管に該当するとされた場合は、通常の産業廃棄物収集運搬業許可に加えて、特別管理産業廃棄物収集運搬業許可も別途、取得しなければなりません。

リチウムイオン電池・ニカド電池・ニッケル水素電池に該当する品目

小型のリチウムイオン電池・ニカド電池・ニッケル水素電池は、金属くず・汚泥・廃プラスチック類という3品目が混在した混合廃棄物として扱われます。

内訳は次のとおりです。

  • 廃プラスチック類
  • 金属くず
  • 汚泥

鉛蓄電池は酸性の強さで特別管理産業廃棄物かどうかが決まりますが、リチウムイオン電池などは燃えやすさの度合いで判断される点が異なります。

通常サイズであれば、金属くず・汚泥・廃プラスチック類の3品目に対応できる通常の産業廃棄物収集運搬業許可のみで運搬を引き受けられるケースが多いです。一方、車載用・定置用といった大型バッテリーは特別管理産業廃棄物として扱われる自治体もある点は注意が必要です。

大型バッテリーを扱う場合は、メーカーが公開している安全データシートで危険性を確認したうえで、自治体へ個別に問い合わせておくのが無難です。

廃バッテリーの廃棄物収集運搬許可を取得・追加する際の注意点

廃バッテリーの収集運搬許可は、通常の産業廃棄物収集運搬業許可だけでは対応できないケースがあります。バッテリーの種類や運搬方法によって、必要な品目や許可区分が細かく分かれているためです。

確認不足のまま運搬を始めると、許可の範囲外の行為として行政処分につながりかねません。許可を取得・追加する際に確認しておきたいポイントは以下の4つです。

対象のバッテリーに応じた該当品目をすべて網羅して申請

運搬するバッテリーを構成する品目は、許可申請の際にすべて選択しておく必要があります。廃棄物処理法上、バッテリーは複数の素材からなる混合物として扱われるためです。

取り扱う品目のうち1つでも選択から漏れていれば、その時点で無許可運搬になってしまいます。たとえばリチウムイオン電池を運ぶ場合、廃プラスチック類と金属くずしか選択しておらず、汚泥を選択していなければ法律違反です。

自社で扱うバッテリーがどんな素材でできているか洗い出し、必要な品目をすべて選択しておきましょう。

鉛バッテリー・アルカリ蓄電池は特別管理産業廃棄物が必要

鉛バッテリーの収集運搬は、通常の産業廃棄物収集運搬業許可を持っているだけではできません。廃酸を事業の範囲に含む特別管理産業廃棄物収集運搬業許可を、別途取得する必要があります。

アルカリ蓄電池についても、電解液の性質から同様の許可が必要になる可能性が高いため、扱う前に自治体へ確認しておきましょう。

特別管理産業廃棄物収集運搬業許可とは、爆発性や毒性、腐食性など、人の健康や生活環境に被害を及ぼすおそれがある廃棄物を運ぶために必要な許可です。

通常の産業廃棄物収集運搬業許可とは別の区分として扱われています。そのため通常の産業廃棄物収集運搬業許可を持っていても、特別管理産業廃棄物収集運搬許可は新たに取得しなければならない点に注意してください。

バッテリーの大きさや自治体で品目判定が変わる

バッテリーの運搬に特別管理産業廃棄物収集運搬許可が必要かどうかは、事前に自治体の条例やホームページで確認しておく必要があります。バッテリーのサイズや自治体によって、該当する品目や特別管理産業廃棄物の判断が変わるためです。

例えば、愛知県では、車載用や定置用などの大型の蓄電池は特別管理産業廃棄物に該当するとされています。また、千葉県でも電解液を多く含む場合は特別管理産業廃棄物の廃油に該当するとされています。

一方で愛知県・千葉県ともに、通常サイズの小型充電式電池は汚泥・廃プラスチック類・金属くずの混合物として扱うとしています。そのため、自社が扱うバッテリーのサイズを確認したうえで、自治体ごとの運用に合わせて申請しましょう。

自社で一時保管する場合は積替保管を含む収集運搬業許可を取る

運搬の途中でバッテリーを自社の倉庫やヤードに一時保管する場合は、注意が必要です。通常の収集運搬業許可は、排出現場から処分場までを直行で運ぶことが前提です。

途中で荷物を降ろすことは認められていないため、積替え保管を含む収集運搬業許可を別途取得しておかなければなりません。

積替え保管とは、収集した廃棄物を処分場まで運ぶ途中で、一度自社の施設に降ろして保管することです。

例えば、複数の小口現場から回収したバッテリーを自社の敷地に一度集め、大型トラックに積み替えて処分場へ運ぶケースなどが該当します。この場合、積替え保管の許可がなければ、違法な保管とみなされてしまいます。

一時保管を予定している場合は、収集運搬業許可の範囲に積替え保管が含まれているか、必ず確認しておきましょう。

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廃バッテリーの廃棄物収集運搬で気をつけるべきポイント

廃バッテリーの収集運搬では、発火や液漏れといった事故を防ぐために気をつけるべきポイントがあります。バッテリーは金属や電解液を含んでおり、扱いを誤ると運搬中に重大なトラブルにつながりかねません。

安全に収集運搬を行うための具体的な注意点を紹介します。

引き受け時にマニフェストの記載品目や数量が正確か必ず確認する

排出事業者から廃バッテリーを引き受ける際は、収集運搬業者としてマニフェストの記載内容を必ず確認しましょう。バッテリーを構成する全品目と、正確な数量が記載されているかがポイントです。

収集運搬業者には、マニフェストの記載通りに適正運搬する責任があります。記載漏れに気づかないまま運搬してしまうと、虚偽記載や運搬基準違反に問われかねません。

たとえばリチウムイオン電池を引き受ける場合、マニフェストの産業廃棄物の種類欄に金属くずしかチェックがなければ、そのまま引き受けてはいけません。排出事業者に対し、種類欄への廃プラスチック類と汚泥の追記を求めましょう。

ショートによる発火を防ぐため端子を絶縁テープで個別に保護する

バッテリー端子同士が接触すると、ショートによる発熱や発火につながるおそれがあります。運搬中は衝撃によって端子が接触しやすくなるため、あらかじめ絶縁しておく必要があります。

自治体の指針でも、リチウムイオン電池等の火災リスクとして絶縁措置の徹底が呼びかけられています。対策として、プラス端子とマイナス端子の両方にビニールテープを貼っておきましょう。

バッテリーを個別に絶縁したうえで、金属容器に収納する方法もおすすめです。端子を一つひとつ丁寧に保護する手間が、発火事故の防止につながります。

荷崩れや液漏れを防ぐため運搬容器を車両の荷台に確実に固定する

運搬中の転倒や破損は、電解液の漏れを引き起こす原因になります。耐酸性の容器を使い、車両の荷台にしっかり固定しておきましょう。

具体的には、複数のバッテリーを頑丈なプラスチックコンテナに立てて収納するのがおすすめです。車両の荷台では、ラッシングベルトを使ってコンテナごと確実に固定しましょう。

急ブレーキがかかった際の荷崩れも防げます。

廃バッテリーの許可対象外の品目を運搬した場合の罰則

廃バッテリーは、金属くず・汚泥・廃プラスチック類など複数の品目にまたがる混合廃棄物です。そのため他の産業廃棄物よりも、許可の範囲を超えて運搬してしまうリスクが高いといえます。

範囲を超えた運搬や書類の不備は、罰則や許可取消しの対象になりかねないため、注意が必要です。

許可を持たない品目を運搬すると無許可営業として重い罰則が科される

自社の許可品目に含まれていないバッテリーを運搬すると、無許可営業として重い罰則が科されます。その代表例が特別管理産業廃棄物の廃酸などです。

特別管理産業廃棄物の廃酸などが、その代表例です。

こうした無許可運搬は、個人なら5年以下の懲役か1,000万円以下の罰金廃棄物処理法第25条第1項第1号)、またはその両方が科されます。法人はさらに厳しく、3億円以下の罰金が別途課されてしまいます(廃棄物処理法第第32条第1項第1号)。

一般の産廃収集運搬許可しか持たない事業者が、金属くずの許可だけで鉛バッテリーを引き受けると、特別管理産業廃棄物収集運搬業許可のない無許可運搬になります。

廃バッテリーを運搬する場合は、必ず自社が運搬可能な廃棄物かどうかを確認したうえで運搬してください。

また、無許可の罰則について詳しく知りたい方は産業廃棄物の無許可運搬の罰則|無許可業者への委託も罰則の対象に!の記事をご確認ください。

マニフェストの虚偽記載や安全基準違反は事業許可取消しの対象となる

マニフェストの虚偽記載や、絶縁措置を怠った結果の発火事故は、行政処分の対象です。違反の程度によっては、事業停止だけでなく許可取消しに至る場合もあります。

マニフェストに係る義務違反には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(廃棄物処理法第27条の2)が科され、都道府県からの措置命令に従わない場合はさらに重い罰則が科されます。

マニフェストの虚偽記載や安全基準違反は、行政の立入検査によって発覚するケースが多いため、引受け時の品目確認と、絶縁・固定といった安全対策を徹底しておきましょう。

廃バッテリーの廃棄物収集運搬許可を行政書士に依頼するメリット

廃バッテリーの収集運搬には、品目の判断や許可区分など、確認すべき点が多いです。自社だけで対応すると、判断を誤り、無許可運搬になってしまう可能性があります。

自治体ごとの独自ルールや、特別管理産業廃棄物・積替え保管といった要件も絡むため、自社ですべて対応するとなると簡単ではありません。

そのため、廃バッテリーを運搬するために収集運搬業許可を取得するなら行政書士に依頼することをおすすめします。

複雑な品目判定や要件確認を任せて確実に許可を取得できる

バッテリーの種類や自治体ごとの細かいルールに応じた品目選びは、プロに任せれば安心です。産廃業務に強い行政書士なら、最新の法令や自治体窓口の動きにも詳しく、特別管理産業廃棄物の要件や積替え保管の厳しい施設基準も的確に判断してくれます。

大型リチウムイオン電池にはどの品目が必要かといった専門的な疑問にも、行政書士なら答えてくれますし、行政との事前協議も代行してもらえます。

どの品目を選べばいいのかや、特別管理産業廃棄物が必要かどうかの判断に少しでも不安があるなら、専門家に相談しておきましょう。

面倒な書類作成や役所対応を丸投げして本業の運搬業務に専念できる

産廃収集運搬業の許可申請には、定款や登記簿、住民票、事業計画書など、準備すべき書類が数多くあります。また、申請書類に不備があれば、何度も窓口へ通わなければなりません。

しかし、書類作成や役所対応を行政書士に丸投げすれば、この手間から解放されるだけでなく、不備による差し戻しも防げるため、許可取得がスムーズに取得できます。

自社の担当者は書類作成に時間を取られることなく、許可取得後の準備や本業に集中できます。

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まとめ

この記事のまとめ

  • バッテリーは複数品目からなる混合廃棄物
  • 鉛バッテリーは廃酸を含み特別管理産業廃棄物収集運搬許可も必要
  • アルカリ蓄電池も特別管理産業廃棄物収集運搬許可が必要な可能性が高い
  • 途中でおろす場合は積替え保管の許可が別途必要

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