
産業廃棄物収集運搬講習って何?
産業廃棄物収集運搬講習でテストがあるって本当?
と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
産業廃棄物収集運搬講習とは、産廃の収集運搬業の許可を取得・更新する際に受講が必要な講習のことです。講習はJWセンターが全国各地で実施しており、受講して修了試験に合格することで、許可申請に必要な修了証を取得できます。
この記事では、講習の基本的な内容から申し込みの流れ、費用や試験形式まで、受講前に知っておきたいポイントを解説します。
また、人気会場が数か月先まで満席になっていたり、修了証に許可申請で利用できる有効期間があったりと、見落としやすい注意点についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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産業廃棄物収集運搬講習の基礎知識

産業廃棄物収集運搬業の許可を取得・更新するには、JWセンターが実施する産業廃棄物収集運搬講習を受講して「修了証」を取得しなければなりません。
廃棄物処理法は許可要件の一つとして「産業廃棄物の処理に関する基礎的な知識・技能を有すること」を定めており、役所への申請時には「講習会修了証の写し」が必須の添付書類となっています。
つまり、修了証がなければ、申請自体ができないというわけです。
産業廃棄物収集運搬講習の目的とは?
産業廃棄物収集運搬講習の目的は産業廃棄物を安全かつ適正に取り扱うための「正しい法律知識」と「実務のルール」を身につけることです。
不法投棄やずさんな処理による環境破壊を防ぐため、国は事業者のトップに対して一定以上のコンプライアンス意識と知識水準を求めています。
知識のないまま運搬業務を続けると法令違反を犯すリスクがあるため、以下の内容を講義で体系的に学びます。
産業廃棄物収集運搬の新規講習と更新講習の違い
初めて許可を取る場合は「新規講習」、すでに許可を持っていて有効期間を延長する場合は「更新講習」を受講します。
新規講習はゼロから基礎を習得するためカリキュラムが長く、更新講習は最新の法改正など重要ポイントに絞った内容です。受講時間・費用ともに違います。
| 項目 | 新規講習 | 更新講習 |
|---|---|---|
| 受講時間の目安 | 約12時間 | 約6時間 |
| 対象者 | 初めて許可を取得する方 | 既存の許可を更新する方 |
| カリキュラムの内容 | 廃棄物処理法の基礎から実務全般 | 法改正・重要ポイントの再確認 |
特別管理産業廃棄物収集運搬講習との違い
爆発性・毒性のある危険な廃棄物(特管物)を運ぶ場合は、通常の収集運搬講習とは別に「特別管理産業廃棄物」の専用講習を受ける必要があります。
特管物は通常の産業廃棄物より厳格な管理が法律で求められており、保管・運搬の安全基準が全く異なります。取り扱う廃棄物の種類によって、受けるべき講習が変わる点に注意が必要です。
以下の廃棄物を運搬する場合、特管講習の修了証がなければ許可申請・更新申請ができません。
自社が扱う品目が特管物に該当するか、あらかじめ確認しておきましょう。
産業廃棄物収集運搬講習の受講対象者

産業廃棄物収集運搬の講習は、誰でも受講してよいわけではなく、事業者において「経営に直接関わる責任者」が受講しなければなりません。
そのため、現場のトラックドライバーや一般社員が受講しても、許可の要件は満たせません。会社として適正な廃棄物処理の責任を負う立場の人間が、正しい知識を持つよう法律で定められているためです。
法人の場合の受講対象者
法人の場合、受講対象となるのは以下の方です。
役員が多忙で受講がどうしても難しい場合は、政令使用人が代わりに受講できます。
政令使用人とは、本店・支店・営業所などで廃棄物の収集運搬に関する契約を締結する権限を持つ代表者のことです。支店長や営業所長が政令使用人の代表的な例です。
個人の場合の受講対象者
個人事業主として申請する場合、受講するのは事業主本人または政令使用人です。
個人経営では事業主本人がすべての責任を負うため、本人が自ら講習を受けて試験に合格する必要があります。一人親方として産廃の収集運搬業を始める場合も同様です。
特に個人事業主の場合は誰かに受講を任せるというのが難しいため、早めに日程を確保しておくのがおすすめです。
産業廃棄物収集運搬講習の受け方と会場・オンラインの選び方
受講方法は「会場講習(対面)」と「オンライン講習(動画視聴+対面試験)」の2種類から、自身の環境に合わせて選べます。
PC操作に不安がある方は会場講習、仕事の合間に自分のペースで学習したい方はオンライン講習が向いています。現在は多くの受講者がオンラインを選ぶようになっています。
| 項目 | 会場講習 | オンライン講習 |
|---|---|---|
| 学習方法 | 会場での対面講義 | 動画視聴(自宅・職場など) |
| 試験方法 | 講習最終日に実施 | 別日程で試験会場へ |
| 新規の受講時間 | 2日間 | 動画視聴約12時間+試験 |
| 向いている方 | 短期集中で済ませたい方 | 仕事の合間に学習したい方 |
会場講習の受け方と受講時間
会場講習は、指定された会場へ足を運び、決められた日程で講義と試験をまとめて受ける形式です。新規の場合、受講期間は2日間となっています。
1日目の朝から夕方まで座学を受け、2日目の午後に修了試験を実施するスケジュールです。試験もその場で受けられるため、日程管理がシンプルに済みます。
まとまった日程を確保して、一気に終わらせたいという方に向いています。
オンライン講習の受け方と受講時間
オンライン講習は、指定期間内にPCやスマホで講義動画を視聴し、後日、試験会場で修了試験のみを受ける形式です。新規の動画視聴時間は計約12時間となっています。
動画はチャプターごとに分かれており、配信期間中であれば24時間いつでも視聴可能。平日の夜や休日の空き時間に少しずつ進め、試験日だけ会場へ行けば完了します。
まとまった時間を確保しにくい方に向いている受講スタイルです。
産業廃棄物収集運搬講習の費用

講習費用は受講方法(オンライン・対面)と新規・更新の区分によって異なります。テキスト代や運営システム費が含まれており、JWセンターの規定により全国一律で定められています。
| 区分 | 課程 | オンライン | 対面 |
|---|---|---|---|
| 新規 | 産業廃棄物の収集・運搬課程 | 27,500円 | 33,000円 |
| 新規 | 特別管理産業廃棄物の収集・運搬課程 | 40,700円 | 51,700円 |
| 更新 | 産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物の収集・運搬課程 | 17,600円 | 22,000円 |
※料金は改定される場合があるため、申し込み前に公式サイトで最新金額を確認してください。
産業廃棄物収集運搬講習の申し込みから修了証取得までの流れ6ステップ

講習の修了証を取得するまでには、申し込みから試験、発送まで6つのステップがあります。どのような流れになっているのかを事前に把握しておくと、講習の受講や修了証の取得がスムーズになります。
また、修了証は試験日からおよそ10〜14日後に発送されるため、許可取得を急いでいる方や更新期限まで日数に余裕がない方は注意が必要です。
ステップ1:顔写真データを事前に準備する
申し込みを始める前に、顔写真データを用意しておきましょう。申し込み画面の途中でアップロードする形になるため、事前に準備しておくとスムーズです。
顔写真の要件は以下の通りです。
また、顔が画面内に適切に収まっており、焦点が合っていて明るさやコントラストが適切な写真を使用してください。
ステップ2:受講予約と申し込み
申し込みはすべてWeb経由で行います。JWセンターの「Web申込ページ」にアクセスし、マイページ(アカウント)を作成してから受講の予約をします。
メールアドレスを登録してパスワードを設定し、ログイン後に氏名・生年月日などの基本情報を入力してアカウントを作成します。開設後は、講習区分(新規・更新など)・試験会場・希望日程を選んで予約を確定させましょう。
試験会場には定員があり、先着順で埋まります。希望の日程と会場の空席状況を早めに確認し、余裕をもって予約を押さえておくことをおすすめします。
ステップ3:受講料の支払いとテキスト受け取り
予約が完了すると、受講料の入金方法を案内するメールが届きます。支払い期限内に受講料を納めると、受講決定の通知メールが届き、申し込みが正式に確定します。
オンライン形式の場合、受講決定後およそ2週間程度でテキストが郵送されます。試験日が近い場合は速やかに発送されるため、届き次第マイページにログインして講義動画の視聴を始めましょう。
なお、テキスト使用後またはオンライン講義の視聴開始後は、受講を取りやめても受講料の返金に応じられないため注意が必要です。
ステップ4:オンラインまたは対面での講義受講
テキストが届いたら、講義の受講に進みます。オンライン形式と対面形式で受講方法が異なります。
オンライン形式の場合は、マイページにログインして講義動画を視聴します。試験日までであればいつでも何度でも受講でき、視聴ペースは自由に調整できます。ただし、動画の早送りやスキップはできず、各チャプターを最後まで視聴しないと受講済みになりません。試験日までに余裕をもって視聴を終えておきましょう。
対面形式の場合は、申し込み時に指定した日時・会場で講義を受けます。テキストは講義開始初日に会場で配布されます。
ステップ5:会場での修了試験の受験
講義を修了したら、申し込み時に指定した日時・会場で修了試験を受けます。
オンライン形式の場合は、申し込み時に指定した試験会場に出向いて受験します。自宅での受験はできません。受験当日の留意事項はテキストと一緒に送付されるため、事前に必ず目を通しておいてください。
対面形式の場合は、講義終了後にそのまま同じ会場で試験を受けます。
ステップ6:修了証の交付と受け取り
試験結果はマイページで確認できます。合否が確認できる日程はJWセンターの公式サイトで試験日ごとに公表されており、修了証はその後、東京都内から簡易書留で発送されます。
合格した場合は修了証が郵送で届き、不合格の場合は試験結果の通知と併せて再試験の案内が送られてきます。
修了証は許可申請の際に自治体へ写しを提出しなければならないため、届いたら内容を確認し、大切に保管しておきましょう。
産業廃棄物収集運搬講習を受講する際の注意点3つ

受講にあたっては、「有効期限の管理」「許可失効リスク」「早めの予約」の3点に注意が必要です。
修了証には期限があり、手続きが遅れると許可が失効したり、満席で受講できない事態に陥るトラブルが実際に起きています。「更新期限ギリギリに予約しようとしたら、全国の会場が数ヶ月先まで満席だった」というケースも珍しくありません。
注意点1:修了証の有効期限を把握する
産業廃棄物収集運搬業の新規・更新いずれの許可申請においても、講習の修了証が必要です。しかも、修了証には「申請に使用できる期限」が設けられている点いは注意が必要です。
講習を受けてから申請までに時間が空きすぎると、修了証が申請書類として受理されなくなります。
期限の目安は以下の通りです。ただし自治体によって取り扱いが異なるため、申請先への確認をおすすめします。
期限が過ぎている場合は、添付書類として使えないため、再度、受講が必要です。
注意点2:受講忘れや試験不合格による許可失効リスクに備える
許可の更新期限までに修了証が準備できないと、期限内に更新申請が行えず許可が失効する可能性があります。
たとえば、受講を忘れていた、試験に不合格だったといった理由で修了証が間に合わないケースも実際にあります。そうした場合でも、あきらめる前にまず申請先の行政窓口や行政書士に早めに相談してみましょう。
再試験を受ける、別の日程で講習を受け直すなど、状況によっては対応できる手段が残っていることもあります。
また、こうしたリスクを避けるためにも、更新講習の修了証は取得日から2年以内であれば申請に使用できる点を活かし、許可の更新期限から逆算して余裕をもって受講しておくことをおすすめします。
注意点3:人気会場の満席リスクを考慮して早めに予約する
試験会場には定員があり、先着順で埋まります。東京や大阪などの人気会場は、数か月先の日程まで満席になっているケースがあります。
特に5月は年度内で最初の試験日となるため、申し込みが集中しやすい時期です。希望の日程・会場で受験できないと、遠方の会場まで足を運ぶ必要が生じ、余計なコストと時間がかかります。
空席状況はJWセンターの公式サイトで確認できるため、受講を検討し始めたら早めに空席状況を確認して予約を入れておきましょう。
産業廃棄物収集運搬講習の修了後の許可申請手続き

講習の修了証は、許可申請に必要な書類のひとつです。修了証が取得できたら、住民票や登記簿謄本、決算書などの必要書類を収集し、申請書を作成した上で、修了証の写しと合わせて自治体の環境担当窓口へ提出します。
行政窓口での審査を経て許可証が交付されて初めて、適法に事業を行えます。修了証を取得しただけでは営業できない点に注意が必要です。
確実な許可取得のために行政書士へ代行を依頼する
申請書類の作成には専門的な法律知識が求められます。自治体ごとのローカルルールを把握していないと修正を繰り返し求められるだけでなく、内容に不備があれば不許可になるリスクもあります。不許可の場合、申請手数料81,000円は返還されません。
産廃専門の行政書士に依頼すれば、書類作成から役所とのやり取りまで一括して任せられます。許可取得後の更新手続きや運営上の疑問点についても継続して相談できる点でもおすすめです。
産業廃棄物収集運搬講習の修了試験に関するよくある質問

試験の難易度・形式・過去問の有無など、産廃講習を初めて受講する方が不安に感じやすいポイントをQ&A形式でまとめました。これから受講を予定している方はぜひ参考にしてください。
産業廃棄物収集運搬講習の修了試験は難しい?
講義をしっかり聴いていれば、難しくありません。受講者を落とすための試験ではなく、産廃ルールの基礎知識が身についているかを確認する目的で設けられています。
講義中に講師が重要だと強調したポイントを中心に復習しておけば、十分対応できるレベルといえます。詳しくは産業廃棄物収集運搬の試験は難しい?合格率・試験内容・対策を解説の記事をご確認ください。
産業廃棄物収集運搬講習の修了試験の合格率は?
公式な合格率は発表されていませんが、一般的に80〜90%以上といわれています。
運転免許の学科試験の全国平均合格率が約70〜80%といわれているため、それよりも高い水準をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。
産業廃棄物収集運搬講習の修了試験の出題形式は?
試験は○×問題と四肢択一のマークシート方式です。法律の条文を一言一句暗記する必要はなく、正しいルールを選んで判断できるかが問われます。
キーワードや大枠のルールを理解していれば解答できる内容のため、テキストの要点を整理しながら受講するのがおすすめです。
産業廃棄物収集運搬講習の修了試験の過去問はありますか?
JWセンターから公式の過去問題集は公開・販売されていません。毎回出題内容が少しずつ変わる設計になっており、テキストを理解すれば合格できる仕組みになっています。
ネット上に予想問題が出回っていることもありますが、最も確実な対策は講義中の講師の説明をしっかり聴き、公式テキストを読み込むことといえます。
産業廃棄物収集運搬講習の修了試験で不合格になることはありますか?
合格基準点に満たない場合は不合格になりますが、後日「再試験(再考査)」を受けられます。
講習を受講した年度の翌年度末までであれば、再受験料を支払うことで最大2回まで試験のみを受け直せるため、不合格通知が届いても焦らず、テキストや講義の内容をしっかりと復習したうえで臨みましょう。
まとめ
この記事のまとめ
- 許可申請には講習の修了証が必須
- 申し込みはWebのみ・顔写真データの事前準備が必要
- 修了証は試験後10〜14日程度で発送される
- 修了証には申請に使用できる有効期間がある
長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所