申請手続

産業廃棄物収集運搬の許可申請は自分でできる?デメリットやリスクも解説

産業廃棄物収集運搬業の許可を自分で申請したいけど、必要書類や手順が多く、どこから始めればよいか迷う方も多いはずです。できるだけ費用を抑えたい事業者だけでなく、社内で申請を任された担当者も同じ悩みを抱えているのではないでしょうか。

産業廃棄物収集運搬業の許可申請は自分でも可能ですが、実際には思っている以上に手間と時間が掛かります。

この記事では、許可要件、申請の流れ、必要書類、費用、期間、失敗リスクまで解説します。行政書士へ依頼する場合との違いも紹介しているので、自分で進めるか迷っている方はぜひ参考にしてください。

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この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。日本行政書士連合会 第20260604号。産廃業に強い行政書士。産廃業の許可に関するメディアサイト「産廃業許可ナビ」を運営しており、産廃業許可の取得率100%。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]

産業廃棄物収集運搬業の許可申請は自分でもできる?

産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、行政書士に依頼せず自分でもできます。

ただし、自分で申請する場合は、許可要件の確認や必要書類の収集、申請書の作成まで自分で進めなければなりません。申請後に不備を指摘された場合は、補正対応や追加書類の提出も必要です。

申請方法や必要書類は申請先の自治体によって異なります。申請する際は、必ず各申請先が公開している申請の手引きや必要書類一覧を確認してください。

自分で申請するメリット

自分で申請するメリットは、行政書士へ依頼する費用を抑えられる点です。できるだけ申請費用を抑えたい事業者に向いています。

自分で申請書を作成するため、取扱品目や運搬施設、事業計画などを整理する機会にもなります。申請内容や取得する許可の範囲を、自社で把握しやすい点もメリットです。

ただし、自分で申請しても申請手数料や講習会受講料、証明書の取得費はかかります。行政書士へ依頼する費用を抑えられる一方で、申請に必要な費用がすべてなくなるわけではありません。

自分で申請するデメリット

自分で申請するデメリットは、想像以上に時間と手間がかかりる点です。通常業務と並行して進める場合は、担当者の負担も大きくなります。

許可申請では、事業計画や車両関係の資料、講習会修了証、財務・税務関係の資料などを揃える必要があります。法人の場合は、役員関係の資料も必要です。

書類を揃えるだけでなく、制度や申請方法について自分で調べる時間もかかります。申請先の自治体によって必要書類や受付方法が異なる点にも注意が必要です。

複数の自治体へ申請する場合は、申請先ごとに必要書類や手続きを確認しなければならず、申請先が増えるほど、確認や準備にかかる作業も増えてしまします。

産業廃棄物収集運搬業の許可申請で満たすべき要件

産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するには、必要な要件をすべて満たす必要があります。いずれかの要件を満たしていない場合は、許可を取れません。

主な要件は以下の5つです。

許可取得の要件

  • 講習会の受講
  • 施設・運搬車両
  • 経理的基礎
  • 欠格事由
  • 適切な事業計画

自分で申請する場合は、書類を準備する前に4つの要件を必ず確認してください。

要件1:講習会を受講して修了する

産業廃棄物収集運搬業の新規許可を申請する場合は、申請内容に合った講習会を受講して修了する必要があります。

講習会には、新規・更新のほか、収集運搬や処分、特別管理産業廃棄物など複数の課程があり、新規で産業廃棄物の収集運搬業を申請する場合は、新規講習会の「産業廃棄物の収集・運搬課程」を受講します。

講習会は、誰が受講してもよいわけではありません。法人の場合は代表者や役員、政令で定める使用人など、個人の場合は申請者本人や政令で定める使用人が受講対象です。

要件2:施設・運搬車両の基準を満たす

産業廃棄物を安全に運ぶため、取り扱う品目に合った車両や運搬容器を用意する必要があります。

運搬中は、産業廃棄物の飛散や流出、悪臭の発生を防げる状態にします。液状の産業廃棄物であれば、漏れを防げる容器を使用してください。

使用する車両は、申請者が継続して使えることも確認されます。車両の名義が申請者と異なる場合は、貸借関係を示す書類が必要です。

石綿含有産業廃棄物や水銀関係廃棄物などは、人体や環境への影響が大きいため、通常の産業廃棄物より厳しい運搬方法が求められるため、取り扱う品目に合った車両や容器を準備してください。

要件3:経理的基礎の要件を満たす

産業廃棄物収集運搬業を継続できる財務状況であることも、許可を受けるための要件です。

申請では、決算書類や納税関係の資料などをもとに、事業を継続できる経理的基礎があるか確認されます。

赤字や債務超過の場合でも、許可を取れないとは限りません。ただし、経営状況を説明するための追加資料を求められる場合があります。

確認方法や必要な追加資料は、申請先の自治体によって異なります。赤字や債務超過がある場合は、申請前に行政書士や申請窓口に相談してください。

要件4:欠格事由に該当していないか確認する

申請者や役員、一定の株主、政令で定める使用人などが欠格事由に該当する場合、産業廃棄物収集運搬業の許可は受けられません。

代表的なのは、破産手続開始の決定を受けて復権していない場合や、一定の刑・法令違反から所定期間が経過していない場合です。一定の許可取消歴がある場合や、暴力団員等に該当する場合も対象になります。

欠格事由の詳しい内容は、産業廃棄物許可の欠格要件の記事で解説しています。

要件5:適切な事業計画を立てていること

許可申請では、実際に行う収集運搬の内容に合った事業計画を立てる必要があります。

事業計画には、取り扱う産業廃棄物の種類や運搬量、排出場所、運搬先、運搬方法などを記載します。申請する内容と実際の営業内容が一致していることが重要です。

申請していない種類の産業廃棄物を運ぶなど、許可を受けた事業範囲を超えて営業すると、法令違反となる恐れがあります。

取り扱う品目や車両、運搬先などを事前に整理し、実際の営業内容に合った事業計画を作成してください。

産業廃棄物収集運搬業の許可申請を自分で行う手順

産業廃棄物収集運搬業を自分で申請する場合の手順は以下の通りです。

自分で行う手順

  • 申請に必要な情報を収集する
  • 事業計画を作成する
  • 必要書類を収集する
  • 申請書を作成する
  • 管轄の窓口へ事前予約する
  • 窓口で申請して手数料を納付する
  • 審査後に許可証の交付を受ける

手順1:事業計画を作成する

最初に、申請先の自治体や必要な許可、申請方法について情報を集めます。

特に確認したいのは、取り扱う産業廃棄物の種類、許可を取得する必要がある都道府県、必要書類、講習会、申請手数料などです。産業廃棄物を積み込む場所や運搬先を整理し、どの都道府県へ申請する必要があるか確認してください。

申請先の自治体によって必要書類や受付方法は異なります。事業計画や申請書を作る前に、申請先ごとの手引きや必要書類一覧を確認しておけおきましょう。

手順2:事業計画を作成する

申請に必要な情報を確認したら、実際に行う収集運搬の内容を整理して事業計画を作成します。

整理するのは、取り扱う産業廃棄物の種類、排出場所、運搬先、運搬量、運搬方法などです。申請書には、事業計画や収集運搬の具体的な内容を記載します。

たとえば、建設現場で発生する廃プラスチック類やがれき類を処分業者まで運ぶ場合は、品目や排出場所、運搬先、予定量を記載します。

使用する車両や容器についても、取り扱う産業廃棄物や運搬方法に合っているか確認してください。

項目確認する内容
廃棄物の種類何を運搬するか
排出場所どこから収集するか
運搬方法どの車両・容器で運ぶか
運搬先どこへ搬入するか

手順3:必要書類を収集する

事業計画を作成したら、申請先の自治体が公開している必要書類一覧を確認しながら、書類を集めます。

主な書類は、公的証明書や財務資料、車両関係の資料、講習会修了証などです。法人と個人では、必要な書類が異なります。

まずは、決算書や車両資料など、自社で用意できる書類から集めましょう。住民票や登記事項証明書、納税証明書などは市区町村役場や法務局、税務署から必要に応じて取得してください。

公的書類は、取得から3か月以内のものを求められるケースが多いため、早く取りすぎないよう注意が必要です。

手順4:申請書を作成する

必要書類がそろったら、申請先の自治体が公開している最新の様式と手引きに記載されている記入例を参考に申請書を作成します。

産業廃棄物収集運搬業の申請では、許可申請書のほか、事業計画や運搬施設、収集運搬の方法、環境保全措置などを記載する書類も必要です。

会社名や所在地、役員情報などは、住民票や登記事項証明書などの公的書類に記載されている内容どおりに記入してください。表記が異なると、修正を求められる場合があります。

また、申請場所によって記入箇所や記入方法、使用する様式が異なります。申請先の自治体が案内している方法に沿って作成してください。

手順5:管轄の窓口へ事前予約する

申請書が完成したら、申請先の自治体へ申請日時を予約します。

予約の要否や受付方法は、申請先の自治体によって異なります。事前予約が必要な自治体もあれば、予約なしで受け付けている自治体もあります。

複数の自治体へ申請する場合は、それぞれの予約方法や受付時間を確認してください。申請予定日に合わせて、早めに予約しておくと申請書の受付がスムーズです。

手順6:窓口で申請して手数料を納付する

必要書類と申請書がそろったら、申請先の窓口へ提出し、申請手数料を納付します。

窓口では、申請書の記載内容や必要書類に不足がないか確認されます。申請内容について質問される場合もあるため、内容を説明できる申請者または代理人が提出にいきましょう。

提出部数や手数料の支払方法、郵送・電子申請に対応しているかについても、申請先の自治体によって異なります。

手順7:審査後に許可証の交付を受ける

申請後は、許可要件を満たしているか審査が行われます。正しく申請書が作成されており、許可基準を満たしていれば、許可証が交付されます。

一方で、申請書類に不備がある場合は、修正や追加資料の提出を求められます。

申請が受け付けられた時点では、まだ許可を取得したことにはなりません。必ず許可証を受け取ってから事業を開始するようにして下さい。

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自分で産業廃棄物収集運搬業の許可を申請する際に必要な書類

必要書類は法人・個人で異なり、申請先の自治体によっても細かな違いがあります。ただし、大枠では共通する書類が多いため、ここでは大阪府の新規申請をベースに紹介します。

主な必要書類は以下のとおりです。

必要書類法人個人
許可申請書・事業計画書〇〇
運搬車両・運搬容器に関する書類〇〇
事務所・事業場・駐車場の見取図〇〇
講習会修了証の写し〇〇
決算書〇×
納税証明書〇〇
確定申告書〇〇
定款〇×
法人登記簿謄本〇×
資産に関する調書× 〇
住民票〇〇
登記されていないことの証明書〇〇
誓約書〇〇
車両の貸借に関する証明書△ △ 

法人の場合は、代表者だけでなく、一定の役員や株主などについても書類が必要になる場合があります。個人では、法人とは異なる財務・税務関係の資料を準備します。

必要書類の種類や証明書の発行時期などは、申請先の自治体によって異なるため、必ず事前に申請先の自治体が公開しているチェックシートや必要書類一覧を確認してください。

自分で産業廃棄物収集運搬業の許可申請した場合にかかる費用

自分で申請する場合は、行政書士への依頼費用を抑えられます。ただし、申請手数料や講習会受講料、各種証明書の取得費などは必要です。

具体的には、申請手数料と講習会受講料だけで108,500円かかります。加えて、各種証明書の取得費や郵送費なども必要です。

費用金額・内容
新規許可申請手数料81,000円
講習会受講料オンライン形式27,500円、対面形式33,000円
証明書等の取得費住民票、登記事項証明書、納税証明書などの3,000円程度
その他郵送費など

産業廃棄物収集運搬業の新規許可申請手数料は81,000円です。JWセンターの新規講習会では、産業廃棄物収集・運搬課程の受講料がオンライン形式27,500円、対面形式33,000円となっています。

複数の都道府県で許可を取得する場合は、申請先ごとに新規許可申請手数料がかかります。

自分で産業廃棄物収集運搬業の許可申請した場合にかかる期間

自分で申請する場合、講習会の受講や必要書類の収集、申請書の作成までに2〜3か月程度かかるケースが一般的です。

さらに、申請後は自治体による審査期間もあり、大阪府では標準処理期間が60日のため、準備から許可証の交付まではトータルで4〜5か月程度が目安になります。

段階期間の目安
講習会・書類収集・申請書作成2〜3か月程度
審査期間約2か月
合計4〜5か月程度

書類に不備がある場合は、修正にかかる期間も追加されます。営業開始日が決まっている場合は、余裕を持って準備することをおすすめします。

産業廃棄物収集運搬業の許可申請を自分で行う際の失敗リスク

自分で申請する場合は、書類の不備だけでなく、不許可になったり、取得した許可の内容と実際の営業内容が合わなくなったりするリスクがあります。

主なリスクは以下のとおりです。

自分で申請するリスク

  • 不許可になる
  • 申請手数料が返還されない
  • 補正で許可取得が遅れる
  • 許可範囲外の営業になる
  • 法令違反につながる

許可要件を満たしていなければ、申請しても許可を取得できず、不許可や申請の取り下げとなった場合でも、申請手数料81,000円は返還されません。

また、書類に不備がある場合は、修正や追加資料の提出が必要です。補正に時間がかかれば、予定していた時期までに許可を取得できない可能性もあります。

さらに注意したいのが、許可を取得した後の営業内容です。たとえば、実際に運搬する産業廃棄物が許可された品目に含まれていない場合、事前に事業範囲の変更許可を受ける必要があります(廃棄物処理法第14条の2第1項)。

許可を受けずに対象外の品目を扱うと、事業範囲の無許可変更として罰則の対象になる可能性があります(廃棄物処理法第25条第1項第3号)。

申請内容を誤ると、許可取得後に無許可営業となるリスクがあるので、自分で申請する場合は、許可要件だけでなく、実際の営業内容に合った申請になっているかまで確認してください。

産業廃棄物収集運搬業の許可申請を行政書士へ依頼するメリット

産業廃棄物収集運搬業の許可申請を行政書士へ依頼するメリットは以下のとおりです。

  • 申請書の作成を任せられる
  • 必要書類を確認してもらえる
  • 申請先ごとの手続きを確認してもらえる
  • 許可要件を事前に確認してもらえる
  • 実際の営業内容に合った申請を進めやすい
  • 許可取得後の変更や更新も相談・依頼できる

大きなメリットは、許可申請に必要な確認や書類作成など複雑で手間のかかる手続きを行政書士へ任せられる点です。自社で申請方法を調べたり、書類を作成したりする必要はありません。

また、取扱品目や車両、運搬先なども確認したうえで申請を進めてもらえるため、実際の営業内容に合った許可を取得できます。許可内容と営業内容のずれによる無許可営業のリスクを抑えられるため、許可取得後も適切な範囲で安心して事業を進められます。

さらに、許可取得後も、変更届や変更許可、更新申請を相談・依頼できるうえ、事業内容が変わったときや事業で判断に迷う場合も、専門家に相談できる点もメリットです。

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まとめ

産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、自分でも進められます。ただし、許可要件の確認や必要書類の収集、申請書の作成など、思っている以上に時間と手間がかかります。

また、申請内容に誤りがあると、不許可や補正だけでなく、許可取得後に実際の営業内容と許可範囲が合わなくなるリスクもあります。自分で進めるのが難しいと感じた場合は、早めに行政書士へ相談するのがおすすめです。

産廃業許可ナビでは、産業廃棄物収集運搬業の許可申請について、必要書類の収集や申請書の作成、提出手続きまで代行を依頼できます。申請方法や必要な準備で迷っている方は、まず相談してみてください。

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