基礎知識

産業廃棄物収集運搬と処分の違いとは? 費用・期間・罰則まで解説

産業廃棄物を扱う事業では、産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄物処分業の違いがわからず、どちらの許可が必要なのか迷う方もいるかもしれません。運搬だけを行う場合や、積替え保管、破砕・焼却まで行う場合では、必要な許可が異なります。

結論として、産業廃棄物収集運搬業は廃棄物を「運ぶ」事業、産業廃棄物処分業は廃棄物を「処理する」事業です。自社の業務がどちらに当たるかによって、取得すべき許可が変わります。

この記事では、両者の違いや許可の判断基準、費用・取得期間、無許可営業の罰則まで解説します。必要な許可を正しく把握したい方は、参考にしてください。

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この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。日本行政書士連合会 第20260604号。産廃業に強い行政書士。産廃業の許可に関するメディアサイト「産廃業許可ナビ」を運営しており、産廃業許可の取得率100%。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]

産業廃棄物収集運搬と処分のな違い

産業廃棄物収集運搬と処分は、廃棄物を「運ぶ」のか「処理する」のかという点で違います。

目的も作業内容もまったく異なるため、自社の業務がどちらに当たるのか、正確に見極め許可を取得してください。

比較項目産業廃棄物収集運搬業産業廃棄物処分業
主な役割産業廃棄物を処理施設まで運ぶ産業廃棄物を処理する
主な作業収集・運搬焼却・破砕・脱水・埋め立てなど
許可の根拠廃棄物処理法第14条第1項廃棄物処理法第14条第6項
設備運搬に必要な車両など処理施設
特徴排出事業者から処理施設まで廃棄物を運ぶ廃棄物の無害化・減量化・最終処分を行う

産業廃棄物収集運搬業とは

産業廃棄物収集運搬業とは、排出事業者から依頼を受け、産業廃棄物を処理施設まで運ぶ事業です。

他人が出した産業廃棄物を運ぶ場合は、収集運搬業の許可が必要です。廃棄物処理法第14条第1項では、業として産業廃棄物の収集運搬を行う者に、都道府県知事の許可取得を義務づけています。

無許可で産業廃棄物を運搬すると罰則の対象となるため注意してください。一方、自社で発生した廃棄物を自社で運ぶ自己運搬の場合は、原則として許可は不要です。

産業廃棄物処分業とは

産業廃棄物処分業とは、運び込まれた産業廃棄物を物理的・化学的な方法で処理する事業です。具体的には無害化や減量化、最終的な埋め立てなどを行います。

処分業は、大きく中間処理と最終処分の2種類に分けられます。中間処理とは、焼却や破砕、脱水などによって、廃棄物の量や有害性を減らす工程です。

最終処分とは、中間処理後に残った廃棄物を、管理型や安定型などの処分場に埋め立てる工程を指します。処分業を行う場合も、廃棄物処理法第14条第6項により許可が必要です。

処分業では、処理施設を自ら設置・運営する必要があり、収集運搬業と比べて設備投資や審査のハードルが圧倒的に高いです。

産業廃棄物収集運搬と処分の違いがわかる処理フロー

産業廃棄物は、一般的に以下の順序で処理されます。

処理フロー

  • 収集運搬
  • 中間処理
  • 最終処分

排出事業者のもとで発生した廃棄物は、まず収集運搬業者によって処理施設まで運ばれます。

施設に到着した廃棄物は、中間処理によって減量化や無害化が図られます。再資源化できないものだけが、最終処分として埋め立てられます。

3つの工程は、それぞれ必要な許可が異なる点にも注意してください。

産業廃棄物収集運搬における積替え保管とは

産業廃棄物収集運搬における積替え保管とは、収集運搬の途中で産業廃棄物を別の車両へ積み替えたり、一時的に保管したりすることです。

積替え保管は、廃棄物を効率よく運搬するために行われ、収集運搬業に含まれる行為です。処分業には該当せず、廃棄物の形状を変える作業は行いません。

ただし、積替え保管を行う場合は、通常の収集運搬業とは異なる注意点があります。廃棄物処理法施行令第6条に基づき、保管施設の設置基準を満たさなければなりません。

保管上限や飛散・流出を防ぐ設備など、積替え保管を含まない許可よりも要件が厳しくなる点は注意が必要です。

処分業における中間処理と最終処分の違い

中間処理は、再資源化や減量化を目的として行う処理です。最終処分は、これ以上処理できない廃棄物を埋め立てる工程を指します。

中間処理には、破砕・焼却・脱水などの方法があります。廃棄物の量や有害性を減らす役割を担う処理です。

一方、最終処分では、中間処理後に残った廃棄物を処分場へ埋め立てます。処分場は安定型・管理型・遮断型に分かれており、廃棄物の性質によって使用する種類が異なります。

処分業許可を取得している事業者の多くは、中間処理業者です。焼却や埋め立てを直接行う最終処分業者は限られており、中間処理が処分業の中心的な役割を担っています。

処理方法ごとに許可が分かれている点にも注意してください。破砕機や焼却炉など、使用する設備の種類に応じて個別の許可を取得する必要があります。

産業廃棄物収集運搬と処分の違いを踏まえた許可の判断基準

必要な許可は、自社の作業が「運ぶだけ」なのか、「保管を伴う」のか、「廃棄物に手を加える」のかによって変わります。

同じ産業廃棄物を扱う場合でも、トラックで運搬するだけなら収集運搬業許可が必要です。一方、破砕や焼却などの処理を行う場合は、処分業許可が求められます。

自社の業務内容に当てはめて判断できるよう、代表的な3つのケースを紹介します。

運搬のみを行う場合は産業廃棄物収集運搬業許可

他者の産業廃棄物をトラックなどで運ぶだけであれば、産業廃棄物収集運搬業許可(積替え保管を含まない)を取得します。運搬のみを行う場合は、産業廃棄物処分業の許可は不要です。

実務上、注意したいのが許可を取得するエリアです。産業廃棄物収集運搬業の許可は、廃棄物を積み込む場所(排出元)を管轄する都道府県知事と、降ろす場所(処分先)を管轄する都道府県知事の両方から取得する必要があります。

一方、運搬途中に通過するだけの都道府県では、産業廃棄物収集運搬業の許可は必要ありません。ただし、必要な都道府県の許可を取得せずに営業すると、無許可営業とみなされるおそれがあるため注意してください。

廃棄物の破砕や焼却を行う場合は処分業許可

自社工場などで他者から受け入れた産業廃棄物を破砕・焼却・選別する場合は、産業廃棄物処分業許可が必要です。

産業廃棄物処分業では、産業廃棄物収集運搬業とは異なり、処理施設を設けて廃棄物に手を加えます。施設の設置には、廃棄物処理法に加えて、建築基準法や都市計画法などの関連法規への対応も必要です。

用地を選ぶ段階から、行政との事前協議が必要となるのが一般的です。新たに処分施設を設ける場合は、早い段階で専門家に相談するのがおすすめです。

収集運搬業と処分業の両方が必要になるケース

他者から排出された産業廃棄物を回収し、自社の施設で中間処理まで行う場合は、産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄物処分業の両方の許可が必要です。

回収した産業廃棄物を運ぶ工程には産業廃棄物収集運搬業許可、施設で破砕や選別を行う工程には産業廃棄物処分業許可が必要になります。産業廃棄物処分業許可を持っていても、産業廃棄物を運搬できるわけではありません。

無許可になりやすい例として、解体業者のケースがあります。現場から出た元請等の廃棄物を自社の資材置き場へ運び、分別や破砕まで行う場合です。

産業廃棄物の運搬に加えて処分も行うため、両方の許可が必要になります。必要な許可を取得せずに業務を行うと、法律違反となり罰則を受ける可能性があるので注意してください。

産業廃棄物収集運搬と処分の許可費用・期間の違い

産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄物処分業では、申請にかかる費用や審査期間が異なります。

産業廃棄物収集運搬業の新規申請では、法定手数料が約8万円です。取得までにかかる機関の目安は約3~6ヶ月程度です。

一方、産業廃棄物処分業の法定手数料は約10万円です。処理施設を設置して処分業許可を取る場合、全体で約1年〜2年以上の期間がかかります。

また、行政書士に依頼する場合は、法定手数料とは別に報酬が必要です。費用や期間などの主な違いは、以下の通りです。

項目産業廃棄物収集運搬業産業廃棄物処分業
法定手数料81,000円100,000円
行政書士報酬125,112円中間処理:979,104円最終処分:882,500円
取得までの期間約3~6ヶ月約1年〜2年以上

参考:日本行政書士会連合会 |令和7年度報酬額統計調査の結果

産業廃棄物収集運搬と処分の無許可営業のリスク

産業廃棄物の収集運搬や処分を無許可で行うと刑事罰の対象となります。産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄物処分業のどちらであっても、無許可営業に対する罰則は同じです。

無許可営業に対する主な罰則は、以下の通りです。

対象罰則
個人5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金
法人3億円以下の罰金

法人の代表者や従業員などが法人の業務として無許可営業を行った場合は、行為者だけでなく法人も処罰の対象になります。

さらに、責任を問われる可能性があるのは、無許可業者だけではありません。無許可業者へ産業廃棄物の処理を委託した排出事業者も、委託基準違反として責任を問われる可能性がある点は注意が必要です。

産業廃棄物収集運搬と処分の違いで迷ったら行政書士へ相談

自社の業務に必要な許可を判断するのが難しい場合は、行政書士に相談するのがおすすめです。必要な許可の判断や、要件の確認、書類作成まで全て任せられます。

産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄物処分業のどちらが必要なのか、両方必要なのかは、業務内容によって異なります。産業廃棄物収集運搬業では、積み込み地と荷下ろし地を管轄する都道府県の許可も確認が必要です。

自社だけですべての要件を確認するのは、簡単ではありません。判断を誤ると、手続きのやり直しや無許可営業につながるおそれがあります。

行政書士に相談すれば、自社に必要な許可の判断から申請手続きまでサポートしてもらえます。手続きの手間や時間を抑えたい方は、産廃業許可ナビにお気軽にご相談下さい。

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まとめ

産業廃棄物収集運搬業は廃棄物を運ぶための許可、産業廃棄物処分業は破砕・焼却・埋め立てなどの処理を行うための許可です。業務内容によっては、どちらの許可が必要になるかは変わります。

必要な許可を取得せずに営業すると、無許可営業として重い罰則の対象となるので注意してください。また、自社の業務がどの許可に当たるか迷う場合は、早めに行政書士へ相談するのがおすすめです。

申請要件や必要書類を確認しながら手続きを進めたい方は、産廃業許可ナビへご相談ください。

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