基礎知識

産業廃棄物収集運搬で水銀を運ぶには?必要な許可・容器・罰則を解説

蛍光ランプや水銀体温計などを運搬する際、「通常の産業廃棄物収集運搬業の許可で運べるのか」「専用の容器が必要なのか」と迷う方は多いです。

水銀使用製品産業廃棄物は、対象となる廃棄物の種類や許可範囲を確認したうえで、破損防止や他の廃棄物との区分など、決められた基準に従って運搬する必要があります。

この記事では、対象となる製品、必要な許可、容器や運搬方法、委託契約書・マニフェストの記載までわかりやすく解説します。これから水銀使用製品産業廃棄物を取り扱う方は是非参考にしてください。

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この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。日本行政書士連合会 第20260604号。産廃業に強い行政書士。産廃業の許可に関するメディアサイト「産廃業許可ナビ」を運営しており、産廃業許可の取得率100%。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]

水銀使用製品産業廃棄物とは

水銀使用製品産業廃棄物とは、水銀または水銀化合物が使われた製品のうち、法令で対象とされている製品が産業廃棄物となったものです。

水銀を含む産業廃棄物が、すべて水銀使用製品産業廃棄物になるわけではありません。また、「水銀使用製品産業廃棄物」という新しい産業廃棄物の種類が追加されたわけではありません。

たとえば、金属くずに該当する製品であれば「金属くず(水銀使用製品産業廃棄物を含む)」、ガラスくず等に該当する製品であれば「ガラスくず等(水銀使用製品産業廃棄物を含む)」のように、もともとの産業廃棄物の種類に水銀使用製品産業廃棄物であることを加えて取り扱います。

水銀使用製品産業廃棄物に該当する主な製品

水銀使用製品産業廃棄物には、主に次のような製品が該当します。

区分どのような製品か例
対象として定められた水銀使用製品製品自体に水銀が使われているもの蛍光ランプ、水銀電池、水銀体温計など
対象製品を材料・部品として使用した製品水銀を使用した部品を内部に使っている製品水銀電池を使用した補聴器など
水銀の使用が表示されている製品「水銀」「Hg」「mercury」などの表示があるもの表示によって水銀使用が確認できる製品

特に、部品として水銀使用製品が組み込まれている場合は、製品全体が必ず対象になるわけではありません。実際に廃棄する製品が該当するかは、製品ごとに確認する必要があります。

廃水銀等・水銀含有ばいじん等とは区分が異なる

水銀に関係する産業廃棄物には、「水銀使用製品産業廃棄物」のほかに「廃水銀等」「水銀含有ばいじん等」があります。

それぞれ対象となる廃棄物や収集運搬時の基準が異なります。

区分どのような廃棄物か具体例
水銀使用製品産業廃棄物水銀を使用した製品が産業廃棄物になったもの蛍光ランプ、水銀体温計、水銀式血圧計など
廃水銀等特定の施設から排出された廃水銀や、水銀使用製品産業廃棄物などから回収した廃水銀回収された液体状の水銀など
水銀含有ばいじん等一定量を超える水銀を含むばいじん、燃え殻、汚泥などばいじん、燃え殻、汚泥、廃酸、廃アルカリ、鉱さいなど

特に注意したいのが、「水銀使用製品産業廃棄物」と「廃水銀等」の違いです。

たとえば、水銀を使用した蛍光ランプそのものを廃棄する場合は、水銀使用製品産業廃棄物に該当します。一方、そこから回収した水銀は「廃水銀等」として扱われます。

廃水銀等には、密閉できること、収納しやすいこと、損傷しにくいことなど、運搬容器について別の基準があります。

そのため、廃水銀等を運搬する場合は、水銀使用製品産業廃棄物よりも厳格な容器基準が適用される点に注意が必要です。

水銀使用製品産業廃棄物の収集運搬に必要な許可

他人から委託を受けて水銀使用製品産業廃棄物を収集・運搬する場合は、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。

ただし、水銀使用製品産業廃棄物を運ぶための専用の許可があるわけではありません。取り扱う産業廃棄物の種類について、水銀使用製品産業廃棄物を含む範囲の許可を受けている必要があります。

たとえば、許可証に「金属くず(水銀使用製品産業廃棄物を含む)」と記載されている場合は、金属くずに該当する水銀使用製品産業廃棄物を取り扱えます。

排出事業者による自社運搬は許可不要

一方、排出事業者が自ら排出した水銀使用製品産業廃棄物を運搬する場合は、原則として産業廃棄物収集運搬業の許可は必要ありません。

ただし、許可が不要でも、産業廃棄物の収集運搬基準は守る必要があります。

水銀使用製品産業廃棄物については、破損を防ぎ、他の廃棄物と混合しないよう区分して運搬しなければなりません。

なお、許可が不要となるのは、自社が排出した産業廃棄物を自ら運搬する場合です。他社が排出した産業廃棄物を委託されて運搬する場合は、水銀使用製品産業廃棄物を含む範囲の産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。

既存許可に含まれていない場合は変更許可が必要

すでに産業廃棄物収集運搬業の許可を持っていても、水銀使用製品産業廃棄物が許可範囲に含まれていなければ、そのまま取り扱うことはできません。

許可証に「水銀使用製品産業廃棄物を除く」と記載されている場合などは、新たに取り扱うための変更許可申請が必要です。

一方、「金属くず(水銀使用製品産業廃棄物を含む)」などと記載されていれば、その許可範囲で取り扱えます。

そのため、既存の許可がある場合は、水銀使用製品産業廃棄物が許可範囲に含まれているかを確認してください。

変更許可を受けずに水銀使用製品産業廃棄物を運搬した場合の罰則

現在の許可範囲に水銀使用製品産業廃棄物が含まれていないにもかかわらず、変更許可を受けずに収集・運搬すると、廃棄物処理法違反となります。

産業廃棄物収集運搬業者が事業範囲を広げる場合は、あらかじめ変更許可を受けなければなりません。

変更許可を受けずに水銀使用製品産業廃棄物を収集・運搬した場合は、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります(廃棄物処理法第25条第1項第3号)。

さらに、法人の業務として違反した場合は、行為者だけでなく、法人に対しても3億円以下の罰金が科される可能性があります(廃棄物処理法第32条第1項第1号)。

水銀使用製品産業廃棄物を新たに取り扱う場合は、運搬を始める前に現在の許可範囲を確認し、必要であれば変更許可を受けてください。

水銀使用製品産業廃棄物の収集運搬基準と容器

水銀使用製品産業廃棄物を収集・運搬する場合は、破損を防ぎ、他の廃棄物と混合しないように取り扱う必要があります。

また、すべての製品に共通する専用容器が決められているわけではありません。ここでは、破損を防ぐ方法、他の廃棄物との区分方法、使用する容器の考え方について解説します。

水銀使用製品産業廃棄物は破損防止措置が必要

水銀使用製品産業廃棄物を収集・運搬する際は、破損を防ぐための措置が必要です。

積込みや荷下ろしの際に強い衝撃を与えないほか、運搬中の転倒や荷崩れ、他の廃棄物による圧迫なども防がなければなりません。

破損防止の方法としては、製品の形状や大きさ、材質に合った容器へ収納する方法があります。たとえば、蛍光ランプであれば、購入時の箱など、ランプ同士がぶつかりにくく、運搬中に動かないように収納できる容器が考えられます。

必要に応じて緩衝材を使用したり、容器が動かないよう固定したりして、運搬中の破損を防ぐようにしてください。

水銀使用製品産業廃棄物は他の廃棄物との区分が必要

水銀使用製品産業廃棄物を収集・運搬する際は、他の廃棄物と混合しないように区分する必要があります。

同じ車両に他の産業廃棄物を積載する場合も、水銀使用製品産業廃棄物が混ざったり、他の廃棄物に押しつぶされたりしないようにしなければなりません。

区分する方法としては、専用の容器に収納する、仕切りを設ける、積載する場所を分けるなどがあります。

運搬する廃棄物の形状や状態に合わせて、他の廃棄物と混ざらない方法を選んでください。

水銀使用製品産業廃棄物の容器に一律の指定はない

水銀使用製品産業廃棄物には、すべての製品に共通する専用容器が決められているわけではありません。

そのため、製品の形状や大きさ、壊れやすさに合わせて適切な容器を使用します。

たとえば、蛍光ランプであれば専用の回収箱やドラム缶、水銀体温計であれば購入時のプラスチックケースやふた付きの容器、水銀電池であればふた付きのプラスチック容器や専用回収容器などが考えられます。

なお、「廃水銀等」を運搬する場合は基準がより厳しく、必ず密閉できる容器に収納しなければなりません。具体的には、炭素鋼製やステンレス鋼製など、密閉できて損傷しにくい容器が適しています。

水銀使用製品産業廃棄物の委託契約書・マニフェストの記載

水銀使用製品産業廃棄物を処理業者へ委託する場合は、委託契約書やマニフェストに、水銀使用製品産業廃棄物であることを記載する必要があります。

また、処理業者の帳簿でも、通常の産業廃棄物と区別できるように記録します。ここでは、委託契約書・マニフェスト・帳簿で必要となる記載について解説します。

委託契約書に水銀使用製品産業廃棄物を明記する

水銀使用製品産業廃棄物の処理を委託する場合は、委託契約書に水銀使用製品産業廃棄物が含まれることを明記する必要があります。

具体的には、委託契約書の「産業廃棄物の種類」などを記載する欄に、水銀使用製品産業廃棄物を含むことが分かるように記載します。

たとえば、金属くずに該当する水銀使用製品産業廃棄物を委託する場合は、次のように記載します。

記載例

産業廃棄物の種類:金属くず(水銀使用製品産業廃棄物を含む)

マニフェストと帳簿でも水銀廃棄物を区別する

マニフェストには、水銀使用製品産業廃棄物が含まれることと、その数量を記載する必要があります。

具体的には、マニフェストの「産業廃棄物の種類」などを記載する欄に、水銀使用製品産業廃棄物であることが分かるように記載します。

たとえば、一般的な廃蛍光管は「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」と「金属くず」の混合物に該当するため、次のように記載します。

記載例

産業廃棄物の種類:ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず、金属くず(水銀使用製品産業廃棄物を含む)

なお、構成部材にプラスチック製品が使われている蛍光管は、さらに「廃プラスチック類」との混合物として扱われます。実際の産業廃棄物の種類は、蛍光管の構成部材に応じて確認する必要があります。

また、処理業者の帳簿でも、取り扱った産業廃棄物の種類とあわせて、水銀使用製品産業廃棄物に関する処理であることが分かるように記録します。

水銀使用製品産業廃棄物を運搬したいなら産廃業許可ナビに相談

水銀使用製品産業廃棄物を収集・運搬するには、対象となる産業廃棄物の種類や現在の許可範囲を確認したうえで、必要に応じて新規許可や変更許可の手続きを行う必要があります。

すでに産業廃棄物収集運搬業の許可を持っていても、水銀使用製品産業廃棄物が許可範囲に含まれていない場合は、変更許可申請が必要です。

産廃業許可ナビでは、現在の許可で取り扱えるかの確認から、新規許可・変更許可の申請まで相談できます。

水銀使用製品産業廃棄物の運搬を始めたいものの、必要な許可や手続きが分からない場合は、お気軽にご相談ください。

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まとめ

水銀使用製品産業廃棄物を収集・運搬する際は、対象となる製品や許可範囲を確認し、破損防止や他の廃棄物との区分などの基準を守る必要があります。また、既存の許可に水銀使用製品産業廃棄物が含まれていない場合は、変更許可申請が必要です。

現在の産業廃棄物収集運搬業の許可で水銀使用製品産業廃棄物を取り扱えないにもかかわらず、そのまま収集・運搬すると法律違反となります。

判断に迷う場合は、早めに行政書士へ相談すると安心です。

産廃業許可ナビでは、新規許可や変更許可に関するご相談を受け付けています。必要な手続きが分からない場合は、お気軽にご相談ください。

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