
「一般廃棄物収集運搬業と産業廃棄物収集運搬業は何が違うの?」「不用品回収や遺品整理を始めるには、どの許可が必要?」と疑問に感じている方は多いです。
結論からいうと、家庭から出る不用品を廃棄物として回収する場合は原則として一般廃棄物収集運搬業許可、事業活動から出る産業廃棄物を回収する場合は産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。
この記事では、一般廃棄物と産業廃棄物の違いから、必要な許可の判断方法、古物商許可との違い、許可が不要なケースまで解説します。
一般廃棄物許可の新規取得が難しい理由や無許可営業の罰則についても紹介しますので、ぜひ最後まで読んでください。
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この記事を書いた人
NAGASHIMA行政書士代表。日本行政書士連合会 第20260604号。産廃業に強い行政書士。産廃業の許可に関するメディアサイト「産廃業許可ナビ」を運営しており、産廃業許可の取得率100%。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]
一般廃棄物収集運搬許可と産業廃棄物収集運搬許可の違い
一般廃棄物収集運搬業許可と産業廃棄物収集運搬業許可の大きな違いは、収集・運搬できる廃棄物の種類です。
一般廃棄物収集運搬業許可は一般廃棄物、産業廃棄物収集運搬業許可は産業廃棄物を対象としています。
主な違いを比較すると、次のとおりです。
| 一般廃棄物収集運搬業 | 産業廃棄物収集運搬業 | |
|---|---|---|
| 対象となる廃棄物 | 産業廃棄物以外の廃棄物 | 事業活動から生じる一定の廃棄物 |
| 主な排出元 | 家庭、会社・店舗などの事業活動 | 会社・店舗・工場などの事業活動 |
| 許可を出す行政庁 | 市町村長 | 原則として都道府県知事 |
一般廃棄物は産業廃棄物以外の廃棄物
一般廃棄物とは、法律上、産業廃棄物に該当しない廃棄物のことです。
一般廃棄物には、家庭から出る「家庭系一般廃棄物」と、会社や店舗などの事業活動から出る「事業系一般廃棄物」があります。
| 区分 | 排出元 | 具体例 |
|---|---|---|
| 家庭系一般廃棄物 | 家庭 | 不要になった家具、生活ごみなど |
| 事業系一般廃棄物 | 会社・店舗など | オフィスの紙くず、木製の机・椅子、剪定枝、残飯・茶葉など |
このように、事業活動から出たごみでも、産業廃棄物に該当しないものは一般廃棄物です。
そのため、会社や店舗から出たごみが、すべて産業廃棄物になるわけではありません。
産業廃棄物は事業活動から生じる一定の廃棄物
産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じる廃棄物のうち、法令で定められたものをいいます。
具体例は、次のとおりです。
| 区分 | 主な品目 | 具体例 |
|---|---|---|
| あらゆる業種からの排出が産業廃棄物となるもの | 燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず等、鉱さい、がれき類、ばいじん | 廃プラスチック製品、金属くずなど |
| 特定の業種に限って産業廃棄物となる7品目 | 紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物系固形不要物、動物のふん尿、動物の死体 | 建設工事から出る紙くず・木くず、食品製造業から出る動植物性残さ、畜産農業から出る動物のふん尿など |
| 政令第13号廃棄物 | 産業廃棄物を処分するために処理したもので、ほかの産業廃棄物の種類に該当しないもの | コンクリート固形化物など |
紙くずや木くずなどの7品目は、事業活動から出たというだけでは産業廃棄物になりません。どの業種から排出されたものかまで確認する必要があります。
また、政令第13号廃棄物は、産業廃棄物を処理した結果生じたもので、ほかの産業廃棄物の種類に当てはまらないものを指します。
産業廃棄物20品目の詳しい内容については、「産業廃棄物とは?産廃収集運搬許可の種類や取扱い可能な20品目を解説」で詳しく解説しています。
どちらの収集運搬許可が必要かは廃棄物の種類で決まる
他人の廃棄物を収集・運搬する場合は、その廃棄物が一般廃棄物か産業廃棄物かによって、必要な許可が変わります。
まず、廃棄物が家庭から出たものか、事業活動から出たものかを確認します。事業活動から出た廃棄物の場合は、廃棄物の種類や排出した業種も確認し、一般廃棄物と産業廃棄物のどちらに該当するかを判断します。
| 排出元 | 廃棄物の区分 | 必要な許可 |
|---|---|---|
| 家庭 | 一般廃棄物 | 一般廃棄物収集運搬業許可 |
| 会社・店舗など | 事業系一般廃棄物 | 一般廃棄物収集運搬業許可 |
| 会社・店舗・工場など | 産業廃棄物 | 産業廃棄物収集運搬業許可 |
家庭の不用品回収には一般廃棄物収集運搬業許可が必要
家庭から出た不用品を業者が収集・運搬するには、原則として一般廃棄物収集運搬業の許可が必要です。
産業廃棄物収集運搬業の許可を持っていても、家庭から出た不用品を廃棄物として回収することはできません。
事業活動から出るごみは種類によって必要な許可が異なる
会社や店舗、事務所などの事業活動から出るごみを業者が収集・運搬する場合は、そのごみが「事業系一般廃棄物」か「産業廃棄物」かによって必要な許可が異なります。
事業系一般廃棄物を収集・運搬する場合は一般廃棄物収集運搬業の許可、産業廃棄物を収集・運搬する場合は産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。
たとえば、一般的なオフィスから出る紙くずは事業系一般廃棄物に該当するため、一般廃棄物収集運搬業の許可が必要です。一方、廃プラスチック類や金属くずを収集・運搬する場合は、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要になります。
古物商許可や産廃運搬許可では家庭の不用品回収ができない
家庭から出た家具や家電などを廃棄物として収集・運搬する場合、古物商許可や産業廃棄物収集運搬業許可では回収できません。不用品回収や遺品整理で家庭から出た廃棄物を回収する場合も同様です。
それぞれの許可の違いを整理すると、次のとおりです。
| 許可 | 主な対象 | 家庭の不用品・遺品を廃棄物として回収 |
|---|---|---|
| 古物商許可 | 中古品の売買・交換など | できない |
| 産業廃棄物収集運搬業許可 | 事業活動から生じる産業廃棄物 | できない |
| 一般廃棄物収集運搬業許可 | 家庭ごみや事業系一般廃棄物 | できる |
古物商許可とは、中古品の売買などを行うための許可であり、廃棄物を収集・運搬するための許可ではありません。
そのため、不用品や遺品のうち再販売できる物を中古品として買い取ることはできますが、処分する物を廃棄物として回収することはできません。
また、産業廃棄物収集運搬業許可は、事業活動から生じる産業廃棄物を収集・運搬するための許可です。家庭から出る廃棄物は一般廃棄物に該当するため、産業廃棄物収集運搬業許可を持っていても回収できません。
そのため、古物商許可や産業廃棄物収集運搬業許可を持っていても不用品回収業や遺品整理業はできませんので注意してください。
一般廃棄物・産業廃棄物の収集運搬許可が不要なケース
一般廃棄物や産業廃棄物を他人から預かって収集・運搬する場合は、原則としてそれぞれの収集運搬業許可が必要です。
ただし、そもそも廃棄物に該当しない物を引き取る場合や、自ら排出した廃棄物を自分で運ぶ場合は、収集運搬業許可が不要となります。
再利用・再販売できる物を無償で譲り受ける場合は許可不要
再利用や再販売ができる価値のある物を無償で譲り受ける場合は、そもそも廃棄物に該当しないため、一般廃棄物収集運搬業や産業廃棄物収集運搬業の許可は必要ありません。
また、古物を完全に無償で譲り受けて販売するだけであれば、原則として古物商許可も不要です。
ただし、「無料回収」としていれば必ず許可が不要になるわけではありません。たとえば、回収自体は無料でも、運搬費などの名目で実質的に処理料金を受け取っている場合は、単なる無償譲受けとはいえない可能性があります。
また、価値のある物として引き取っていても、実際には再利用や再販売が困難で、その後に廃棄しているような場合は、廃棄物として判断される可能性があります。
廃棄物に該当するかどうかは、無料か有料かだけでなく、物の状態や取引価値、排出状況、所有者の意思などをもとに総合的に判断されます。
廃棄物を自ら運ぶ場合は収集運搬業許可が原則不要
自ら排出した廃棄物を自分で運ぶ場合は、一般廃棄物・産業廃棄物ともに収集運搬業の許可は原則として必要ありません。
ただし、自己運搬であっても、廃棄物を自由に運べるわけではありません。
一般廃棄物を自ら処理施設へ持ち込む場合は、搬入できる廃棄物の種類や日時、料金、予約方法など、市町村ごとに定められたルールに従う必要があります。
また、産業廃棄物を自己運搬する場合は、運搬基準を守る必要があります。車両への産業廃棄物収集運搬車の表示や事業者名の表示、必要事項を記載した書面の携帯などが必要です。
つまり、自己運搬で不要になるのは収集運搬業の許可であり、廃棄物を運ぶ際のルールまで免除されるわけではありません。
関連記事:産廃の自社運搬に許可は必要?不要でも守るべき3つのルール
一般廃棄物収集運搬許可は新規取得できないケースがほとんど
不用品回収や遺品整理の新規事業を始めるために、一般廃棄物収集運搬業の許可を取得したいと考える事業者は多いですが、実際には新規取得できないケースがほとんどです。
なぜなら、一般廃棄物収集運搬業は、新規許可を受け付けていない自治体が多いためです。実際に、大阪市や神戸市では、現在、新規許可を受け付けていません。
ただし、すべての市町村で新規許可を停止しているわけではありません。自治体によっては、特定の廃棄物に限定して新規許可を行っている場合もあります。
一方、産業廃棄物収集運搬業は、講習会の修了や必要な車両・施設、経理的基礎などの許可要件を満たしていれば、原則として新規に許可を取得できます。
一般廃棄物の運搬が必要な場合は許可業者を利用する
一般廃棄物収集運搬業の許可を取得できない場合は、自社で家庭ごみを収集・運搬することはできません。
そのため、不用品回収や遺品整理で処分する物が出る場合は、排出者自身に市町村の収集制度などを利用して処分してもらうか、一般廃棄物収集運搬業の許可業者と業務提携し、許可業者に直接回収してもらいましょう。
ただし、許可業者と業務提携していても、自社が家庭ごみを回収してから許可業者へ引き渡すことができない点は注意が必要です。
無許可で廃棄物を収集運搬すると罰則の対象になる
必要な許可を受けずに、一般廃棄物や産業廃棄物の収集・運搬を業として行うと、無許可営業として罰則の対象になります。
廃棄物処理法では、無許可で収集運搬業などを行った場合、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されると定められています。
また、法人の業務として無許可営業を行った場合は、法人に対して3億円以下の罰金が科される場合があります。
さらに、廃棄物を排出した事業者側も注意が必要です。一般廃棄物や産業廃棄物の処理を無許可業者に委託した場合は、委託基準違反として排出事業者側も罰則の対象になる可能性があります。
そのため、廃棄物の処理を業者に依頼する場合は、回収する廃棄物に対応した許可を業者が取得しているか必ず確認してください。
許可取得するなら産廃業許可ナビに相談
産業廃棄物収集運搬業の許可が必要な場合は、産廃業許可ナビへご相談ください。
産廃業許可ナビでは、許可要件の確認から申請書の作成、行政庁への提出、申請後の補正対応まで全て代行しています。
「自社に許可が必要かわからない」「どの都道府県の許可を取得すればよいかわからない」といった段階からでもご相談ください。
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まとめ
一般廃棄物と産業廃棄物では、対象となる廃棄物や必要な収集運搬許可が異なります。特に家庭から出る不用品は原則として一般廃棄物に該当するため、産業廃棄物収集運搬業許可や古物商許可では回収できません。
また、一般廃棄物収集運搬業は新規取得がほとんどできない上、無許可で収集・運搬すると罰則の対象になります。
そのため、不用品回収や遺品整理などを始める場合は、自社でどこまで対応できるのか、どの許可が必要なのかを事前に必ず確認してください。
また、産業廃棄物収集運搬業許可の取得を検討している方は、是非、産廃業許可ナビまでお気軽にご相談ください。
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長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所