
産業廃棄物収集運搬業を個人で始めたいけど、「個人事業主でも許可を取れるのか」「法人より取得が難しい?」と不安に感じる方は多いです。
結論からいうと、個人事業主でも必要な要件を満たせば、法人と同様に産業廃棄物収集運搬業許可を取得できます。
ただし、講習会の受講や車両の確保、経理的基礎、必要書類など、申請前に確認すべき項目は少なくありません。開業直後や将来の法人成りを予定している場合は、さらに注意が必要です。
この記事では、個人事業主が許可を取得するための要件や必要書類、申請の流れ、費用・期間、個人ならではの注意点までわかりやすく解説します。これから産廃収集運搬業を始めたい方は、ぜひ参考にしてください。
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この記事を書いた人
NAGASHIMA行政書士代表。日本行政書士連合会 第20260604号。産廃業に強い行政書士。産廃業の許可に関するメディアサイト「産廃業許可ナビ」を運営しており、産廃業許可の取得率100%。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]
個人事業主でも産業廃棄物収集運搬業許可は取得できる
産業廃棄物収集運搬業の許可は、個人事業主でも取得できます。
廃棄物処理法では、産業廃棄物の収集または運搬を業として行う場合に許可が必要とされていますが、申請者は法人に限定されていません。
実際に産業廃棄物許可ナビでも、法人だけでなく、個人事業主の方の許可取得を多数サポートしています。
個人事業主だから法人より許可を取得しにくいということはなく、必要な要件を満たしていれば法人と同様に許可を取得できるので安心してください。
個人事業主が産廃収集運搬業許可を取得するための5つの要件
個人事業主が産廃収集運搬業許可を取得する場合も、基本的な許可要件は法人と変わりません。
主に確認されるのは、次の5つです。
| 確認項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 欠格要件 | 本人などが法令上の欠格要件に該当していない |
| 講習会 | 本人または政令で定める使用人が所定の講習会を修了している |
| 経理的基礎 | 事業を継続できるだけの経理的基礎がある |
| 事業計画 | 取り扱う産廃や排出場所、運搬先などが具体的に決まっている |
| 運搬施設 | 産廃を適正に運べる車両や容器などを確保している |
たとえば、一人で事業を始める個人事業主の場合は、原則として本人が許可申請に必要な講習会を受講します。
また、車両を用意するだけでは足りません。取り扱う産業廃棄物を飛散・流出させず、適正に運搬できる車両や容器を確保する必要があります。
経理面では、個人の資産状況などをもとに、継続して事業を行えるだけの経理的基礎があるか確認されます。
5つの要件にはそれぞれ細かな基準があるので、詳しくは「産業廃棄物収集運搬許可の5つの要件を初心者向けにわかりやすく解説」をご確認ください。
個人事業主の産廃収集運搬許可に必要な書類
個人事業主が産廃収集運搬業許可を申請する場合は、申請書だけでなく、事業計画や車両、資産状況などを確認する書類も必要です。
主に必要となる書類は、次のとおりです。
| 種類 | 主な書類 |
|---|---|
| 申請書 | 産業廃棄物収集運搬業許可申請書 |
| 事業計画 | 事業計画の概要、収集運搬業務の具体的な計画、環境保全措置など |
| 車両・運搬施設 | 運搬施設の概要、車両・運搬容器の写真、車検証など |
| 資金・資産 | 事業開始に必要な資金と調達方法、資産に関する調書 |
| 税務関係 | 申告所得税の納税証明書、直前3年分の確定申告書 |
| 講習会 | 収集運搬業に関する講習会修了証の写し |
| 身分関係 | 住民票、登記されていないことの証明書 |
| その他 | 事務所・駐車場の見取図、必要に応じて車両の貸借証明書や委任状 |
必要書類は自治体によって細かな違うケースもあるため、申請先が決まった段階で、その自治体の必要書類を公式サイトで必ず確認するようにしてください。
個人事業主特有の資産・税務関係書類
個人事業主は、本人の資産状況や所得税の申告・納税状況を確認する書類を提出します。
たとえば、大阪府では、主に次の書類が必要です。
- 資産に関する調書
- 直前3年分の所得税の納税証明書
- 直前3年分の確定申告書の写し
法人でも税務関係書類は必要ですが、個人事業主では法人税ではなく、本人の所得税関係書類を提出する点が異なります。
また、個人事業主では「資産に関する調書」も提出します。
資産に関する調書とは、預貯金や不動産などの資産と、借入金などの負債を記載する書類です。
確定申告書だけでは申請者本人の資産と負債の状況を十分に確認できないため、別途「資産に関する調書」を提出します。
行政庁は、これらの資料から事業を継続できるだけの経理的基礎があるかを確認します。
個人事業主が産廃収集運搬業許可を取る流れ
個人事業主が産廃収集運搬業許可を取得する場合は、まず「どこで・何を・どこまで運ぶのか」を決めてから申請準備を進めます。
基本的な流れは、次の7ステップです。
まず、産業廃棄物を「どこで積み込み、どこへ運ぶのか」を確認します。なぜなら、産業廃棄物収集運搬業許可は積込む場所と運搬先の都道府県で許可を取得しなければならないためです。
次に、廃プラスチック類や金属くず、がれき類など、実際に収集運搬する産業廃棄物の種類を決めます。
事業内容が決まったら、産業廃棄物収集運搬の講習を受講し、取り扱う産業廃棄物に適した車両や容器を準備します。
あわせて、事業計画や車両関係書類、本人の資産や所得税に関する書類など、申請に必要な書類をそろえます。
書類が完成したら管轄する行政庁へ申請し、申請手数料を納付します。申請後は行政庁による審査が行われ、許可要件を満たしていれば許可証が交付されます。
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個人事業主の産廃収集運搬許可にかかる費用
個人事業主が産廃収集運搬業許可を取得する場合、申請手数料や講習会の受講料などで約11万円前後かかります。
新規申請する場合の主な費用は、次のとおりです。
| 費用 | 金額 |
|---|---|
| 新規許可申請手数料 | 81,000円 |
| 講習会受講料 | 30,000円前後 |
| 住民票・納税証明書など | 2,000円前後 |
特に大きいのが、81,000円の申請手数料です。
複数の都道府県で許可を取得する場合は、それぞれの行政庁へ申請手数料を支払う必要があるため、申請先が増えるほど手数料も増えます。
また、行政書士に申請を依頼する場合は、これらの費用とは別に行政書士報酬がかかります。
費用について詳しくは「産業廃棄物収集運搬業許可の取得費用は?更新や代行費用の相場も解説」の記事をご確認下さい。
個人事業主の産廃収集運搬許可にかかる期間
個人事業主が産廃収集運搬業許可を取得するまでには、4.5〜7か月程度を見ておくと安心です。
主な手続きにかかる期間の目安は、次のとおりです。
| 内容 | 期間 |
|---|---|
| 申請の事前準備 | 0.5~1か月 |
| 必要書類の収集 | 0.5~1か月 |
| 講習会の受講 | 1~2か月 |
| 申請書の作成 | 0.5~1か月 |
| 審査期間 | 1~3か月 |
| 合計 | 4.5~7か月 |
特に時間がかかりやすいのが、講習会の受講と申請後の審査です。
講習会の日程は年度ごとに決まり、例年3月頃に次年度の開催日程が公表されます。希望する日程や会場が埋まってしまい、数カ月先まで講習が受けれないケースも良くあるので、許可取得を予定している場合は早めに予約しておきましょう。
また、審査期間は自治体によって異なります。大阪府では、申請を受け付けてから許可までの標準処理期間を60日としています。
産廃収集運搬業許可を取得するまでの詳しいスケジュールや、期間を短縮するための進め方については、「産業廃棄物収集運搬業許可の取得期間」の記事で詳しく解説しています。
個人事業主が産廃収集運搬業を始める際の注意点
個人事業主でも産廃収集運搬業許可は取得できますが、申請前に確認しておきたい点があります。
特に注意したいのが、以下の3点です。
- 法人成り
- 車両や駐車場の使用関係
- 開業直後や債務超過の場合の追加書類
個人名義の許可は法人成り時に引き継ぎできない
個人事業主として取得した産廃収集運搬業許可は、法人化してもそのまま法人へ引き継ぐことはできません。
法人として産廃収集運搬業を続ける場合は、原則として法人名義で新たに許可を取得する必要があります。
たとえば、個人の「山田太郎」名義で許可を取得した後に「株式会社山田環境」を設立しても、個人名義の許可を法人がそのまま使用することはできません。
近いうちに法人化を予定している場合は、個人で先に許可を取るのか、法人設立後に申請するのかを事前に決めておきましょう。
法人成り後の手続きや許可を切り替える際の注意点については、「産業廃棄物収集運搬業許可の法人成り」で詳しく解説しています。
車両や駐車場の名義は原則申請者と一致させる
産廃収集運搬業で使用する車両は、車検証上の使用者と申請者が一致しているのが基本です。
ただし、車両の名義が違うからといって、必ず申請できないわけではありません。
大阪府では、申請者自身が所有していない車両でも、継続して使用できる権原を証明できれば申請できます。
たとえば、家族名義や別事業者名義のトラックを使用する場合です。車検証上の使用者と申請者が異なる場合は、車両の貸借関係を証明する書類などを提出します。
駐車場も、必ず申請者本人が所有している必要があるわけではありません。
借りている駐車場でも、収集運搬車両を保管する場所として確保できていれば申請できます。
重要なのは「誰の名義か」だけではなく、申請者が車両や駐車場を継続して使用できる状態にあるかという点です。
開業直後や債務超過では別途書類が必要になることがある
開業して間もない場合や、資産より負債が多い場合は、通常の申請書類に加えて別途資料を求められることがあります。
たとえば大阪府では、開業から3年未満の場合、税務署へ提出した開業届の写しが必要です。
また、当事務所が実際に対応したケースでは、開業前の収入状況を確認するため、会社員時代の源泉徴収票を追加で求められたこともあります。
一方、資産に関する調書で負債が資産を上回る場合は、債務超過の理由や今後の解消方法など、経理的基礎を確認するための追加資料が必要になる場合があります。
開業直後や債務超過だから許可を取得できないわけではありませんが、通常より確認事項が増える可能性があります。該当する場合は、申請前に必要書類を確認しておくとスムーズです。
個人での許可申請が難しい場合は産廃業許可ナビに相談
産業廃棄物収集運搬業許可の申請では、講習会の受講や事業計画の作成、車両の使用権原、経理的基礎など、さまざまな要件を確認する必要があります。
特に、複数の都道府県へ申請する場合や、借用車両を使用する場合、開業直後で必要書類がそろわない場合は、判断が難しくなることもあります。
また、申請後に不許可となっても、原則として支払った申請手数料は返金されません。少しでも判断に迷う点がある場合は、申請前に専門家へ相談しておくと安心です。
産廃業許可ナビでは、個人事業主の産廃収集運搬業許可についてご相談を受け付けています。申請できるか不安な方や、書類作成・申請手続きを任せたい方は、お気軽にご相談ください。
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まとめ
個人事業主でも、必要な要件を満たせば産業廃棄物収集運搬業許可を取得できます。
ただし、講習会の受講や車両・必要書類の準備に加えて、法人成りや開業直後、債務超過など、個人事業主ならではの注意点もあります。
申請後に不許可となっても、申請手数料は返金されません。要件や必要書類に不安がある場合は、申請してからではなく早めに確認しておくことが大切です。
産廃業許可ナビでは、個人事業主の産廃収集運搬業許可についてご相談を受け付けています。自分の状況で申請できるか迷っている方は、お気軽にご相談ください。
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長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所