
産業廃棄物の積替え保管を始めたいものの、「どのような許可が必要なのか」「通常の収集運搬許可と何が違うのか」と迷っていませんか。
これから施設を設ける方だけでなく、すでに収集運搬業の許可を持っている方もいると思います。
積替え保管とは、収集運搬の途中で産業廃棄物を別の車両などへ積み替えるため、一時的に保管することです。積替え保管を行うには、「積替え・保管を含む」産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。
この記事では、許可が必要なケースや取得要件、難易度、申請の流れまで解説します。積替え保管を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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この記事を書いた人
NAGASHIMA行政書士代表。日本行政書士連合会 第20260604号。産廃業に強い行政書士。産廃業の許可に関するメディアサイト「産廃業許可ナビ」を運営しており、産廃業許可の取得率100%。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]
産業廃棄物の積替え保管許可とは?
産業廃棄物の積替え保管とは、収集運搬の途中で廃棄物を別の運搬車両などへ積み替え、そのために一時的に保管することです。収集運搬業者が積替え保管を行う場合は、「積替え・保管を含む」産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。
積替え保管は中間処理ではなく、収集運搬の一過程として行われます。
たとえば、複数の排出場所から小型車で産業廃棄物を回収し、積替え保管施設へ集めたうえで、大型車に積み替えて処分施設まで運ぶケースが該当します。
なお、「積替え保管許可」という独立した許可があるわけではありません。産業廃棄物収集運搬業の許可のうち、「積替え・保管を含む」許可を受けることで可能となります。
通常の収集運搬許可との違い
通常の「積替え・保管を含まない」収集運搬許可では、産業廃棄物を途中で保管せず、排出場所から処分施設などへ直接運搬します。
一方、「積替え・保管を含む」許可があれば、収集運搬の途中で許可された積替え保管施設を利用できます。
違いを簡潔にまとめると、次のとおりです。
- 積替え・保管なし:途中で保管せず直接運搬
- 積替え・保管あり:施設で一時保管・積替えが可能
また、積替え・保管を含む許可では、運搬車両だけでなく積替え保管施設も基準を満たす必要があります。
産業廃棄物の積替え保管許可が必要なケース・不要なケース
産業廃棄物の収集運搬を行う際、事業の形態によっては「積替え保管」の許可が必要になることがあります。一方で、すべての収集運搬事業者に積替え保管の許可が求められるわけではありません。
ここでは、産業廃棄物の積替え保管許可が必要となる場合と、不要となる場合について解説します。
積替え保管許可が必要になるケース
排出事業者から委託された産業廃棄物を、処分施設まで運搬する途中で自社などの施設へ搬入し、積替えや一時保管を行う場合は、原則として「積替え・保管を含む」産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。
たとえば、回収した産業廃棄物を自社の施設にいったん集め、一定量に達するまで保管したうえで、まとめて処分施設へ運搬するケースが挙げられます。このように、収集運搬の途中で産業廃棄物を一時的に保管する場合も、積替え保管を含む許可が必要となります。
すでに「積替え・保管を含まない」収集運搬業の許可を取得している場合でも、その許可のまま積替え保管を行うことはできません。新たに積替え保管を行うには、「積替え・保管を含む」収集運搬業の許可へ変更する必要があります。
積替え保管許可が不要になるケース
収集運搬業者が排出事業者から委託を受けて産業廃棄物を運搬する場合でも、排出場所から処分施設まで直接運搬するのであれば、「積替え・保管を含む」収集運搬業の許可は不要です。
また、排出事業者が、自ら排出した産業廃棄物を自ら運搬・保管する場合は、そもそも産業廃棄物収集運搬業の許可を取得する必要がないため、積替え保管を含む許可もいりません。
ただし、自ら排出した産業廃棄物であっても、自由に保管できるわけではなく、保管基準を遵守する必要があります。
さらに、事業場の外で産業廃棄物を保管する場合には、保管場所の面積や廃棄物が発生した工事の内容などによって届出が必要になることがあります。
産業廃棄物の積替え保管許可を取得するメリット
積替え保管を利用する主なメリットは、産業廃棄物の輸送効率を高められることです。小型車で収集した廃棄物を積替え保管施設に集め、大型車へ積み替えて処分施設まで運ぶといった運用ができます。
たとえば、狭い道路にある複数の排出事業場を小型車で回り、同じ処分先へ向かう廃棄物を積替え保管施設に集約してから、まとめて運搬することが可能です。
小型車で処分施設まで何度も長距離を往復する必要がなくなるため、より効率的に産業廃棄物を運搬できるようになります。
産業廃棄物の積替え保管許可で満たすべき要件と基準
産業廃棄物の積替え保管許可を取得するには、申請者だけでなく、施設や保管方法についても一定の要件・基準を満たす必要があります。
また、全国共通のルールだけで判断できるとは限らず、申請先によって確認すべき内容が変わる場合もある点は注意が必要です。
通常の収集運搬許可と共通する要件
積替え・保管を含む場合でも、収集運搬業としての基本的な許可要件は、通常の産業廃棄物収集運搬業と共通しています。
主な要件は、次のとおりです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 講習会 | 所定の講習会を修了していること |
| 経理的基礎 | 事業を継続できる経理的基礎があること |
| 欠格要件 | 法律で定める欠格要件に該当していないこと |
| 運搬施設 | 取り扱う産業廃棄物を適切に運搬できる車両を確保していること |
| 事業計画 | 適正な収集運搬を行える事業計画になっていること |
要件の詳細について詳しくは、産業廃棄物収集運搬の要件の記事をご確認ください。
積替え保管施設の構造・設備基準
積替え保管施設は、産業廃棄物の飛散や流出、地下への浸透、悪臭などを防げる構造・設備にする必要があります。
主な基準は次のとおりです。
ただし、必要な設備は、取り扱う産業廃棄物の種類や状態、保管方法によって異なります。すべての施設に同じ設備が必要になるわけではありません。
積替え保管量の上限
積替えのために産業廃棄物を保管する場合、保管できる量には上限があります。原則として、1日当たりの平均的な搬出量の7日分までです。
許可申請時には、搬出計画などをもとに保管上限を算定し、申請書類に記載します。新規施設などで搬出実績がない場合は、計画上の搬出量をもとに算定します。
たとえば、1日当たりの平均搬出量を3トンとする計画であれば、保管上限は原則21トンです。
自治体ごとに定められる追加基準
積替え保管施設では、廃棄物処理法の基準に加えて、自治体独自の条例や施設基準が適用される場合があります。
自治体によっては、施設の構造や事前協議について、国の基準より具体的なルールを定めています。
たとえば大阪府では、一定の例外を除き、積替えを密閉された倉庫型の建物内で行うことを原則としています。また、液状の廃棄物などを扱う場合は、床面を水が染み込みにくい構造にする基準があります(大阪府産業廃棄物事前協議取扱指針)。
こうした基準は全国共通ではありません。積替え保管施設を設ける際は、施設所在地を管轄する自治体の最新の条例や施設基準を確認してください。
産業廃棄物の積替え保管許可はなぜ取得難易度が高いのか
産業廃棄物の積替え保管許可は、通常の収集運搬許可よりも手続きが複雑で、取得までに確認すべきことが多くなります。
そのため、申請書類をそろえるだけではなく、事前の準備や自治体との調整も必要です。ここでは、積替え保管許可の取得難易度が高い理由をわかりやすく解説します。
施設が許可基準を満たす必要がある
積替え保管許可の取得が難しい理由の一つは、施設に求められる基準が厳しく、一般的な土地や建物をそのまま使えるとは限らないためです。
積替え保管施設には、産業廃棄物の飛散や流出、地下への浸透、悪臭などを防ぐための対策が求められます。そのため、物件を確保しても、施設の構造や設備が基準に合わないことがあります。
基準に適合させるために、改修工事や設備の追加が必要になる場合もあり、当初の想定より費用が大きくなるケースも珍しくありません。
こうした施設面のハードルの高さが、通常の収集運搬許可より取得を難しくする要因です。
事前協議が必要なケースがほとんど
積替え保管許可の取得が難しい理由の二つ目は、正式な申請前に事前協議が必要です。
事前協議では、施設の所在地や取り扱う産業廃棄物、保管面積・容量、搬入・搬出計画、生活環境への対策などについて、行政庁と細かく調整します。
その過程で計画内容に問題があると判断されれば、施設配置や設備、事業計画などの見直しが必要になります。修正と再確認を重ねることもあるため、正式申請までに時間と手間がかかります。
自治体ごとに基準や手続きが異なる
積替え保管許可は、施設を設置する地域によって必要な基準や手続きが異なるため、申請の準備が複雑です。
たとえば、東京都では事前計画書の提出や現地審査があります。また、大阪府では独自の施設基準や、事前協議、住民説明会などがあります。
そのため、ある自治体では許可を取得できた施設でも、同じ条件のまま別の自治体で許可を取得できるとは限りません。
産業廃棄物の積替え保管許可を取得する流れ
積替え保管許可は、施設所在地の管轄行政庁を確認したうえで、事前相談・事前協議、必要に応じて住民説明会などを行い、施設と申請書類を整えて申請します。
ただし、事前手続きの内容や順序は自治体によって異なります。施設の候補地が決まった時点で、正式に施設を決定する前に管轄行政庁へまずは相談しましょう。
STEP1:施設所在地の管轄行政庁を確認する
まず、積替え保管施設を設置する場所について、許可申請や事前協議を担当する行政庁を確認します。
積替え保管を含む収集運搬業では、施設の所在地によって都道府県ではなく、政令市などが申請先になる場合があります。
たとえば大阪府では、大阪市や堺市などで積替え保管を行う場合、それぞれの市の担当部署への確認が必要です。
そのため、すでに積替え保管を含まない収集運搬業の許可を持っている場合でも、現在の許可の申請先がそのまま積替え保管の申請先になるとは限りません。
STEP2:事前相談・事前協議を行う
管轄行政庁を確認したら、施設の契約や工事を進める前に、事業計画をもとに事前相談・事前協議を行います。
東京都では、積替え保管を含む収集運搬業を申請する前に、事前計画書の提出が必要です。大阪府や大阪市でも、積替え保管施設について事前協議の手続きが設けられています。
事前相談や事前協議では、申請者が管轄行政庁と主に次の内容について確認・協議します。
- 施設の所在地・用途地域
- 取り扱う産業廃棄物の種類
- 搬入量・搬出量
- 保管面積・保管容量
- 搬入・搬出方法
- 施設の配置
- 生活環境を守るための対策
ここで注意したいのが、「事前相談」と「事前協議」は必ずしも同じ手続きではないことです。
事前相談は、施設の候補地や事業計画について担当部署へあらかじめ相談するものです。一方、自治体によっては、条例や自治体が定めたルールに基づいて書類を提出し、正式な事前協議を行う必要があります。
そのため、最初に管轄行政庁へ相談し、その後に必要となる事前手続きや提出書類を確認して進めましょう。
STEP3:必要に応じて住民説明会を行う
自治体によっては、正式な許可申請の前に、周辺住民などへ事業計画を説明する必要があります。
たとえば大阪市では、積替え・保管施設の事前協議が整った後、関係地域の住民などへ事業計画を周知するための説明会を行うことが条例で定められています(大阪市の産業廃棄物条例第23条の8 )。
大阪市の場合は、説明会開催計画書を提出したうえで住民への説明を行い、提出された意見や事業者の見解を踏まえて次の手続きへ進みます。
なお、実務上は集会形式の説明会ではなく、関係住民を個別に訪問して説明するよう求められるケースもあります。そのため、大阪市で手続きを行う場合は、どのような方法で住民への説明を行うのか、事前に大阪市環境局へ確認することをおすすめします。
また、住民説明会は全国一律に必要な手続きではありません。説明の要否や対象となる地域、周知方法、提出書類などは、施設所在地を管轄する自治体のルールを確認しましょう。
STEP4:施設と申請書類を整える
事前協議などで確認した内容を反映し、積替え保管施設の設置を進めるとともに、許可申請に必要な書類を準備します。
施設については、事前協議で確認した計画に沿って、保管場所や施設の配置、保管容量、搬入・搬出方法などを確定し、必要な設備や構造を設けます。
あわせて、許可審査に必要な申請書類や図面も準備します。
許可審査では、事業計画や収集運搬施設、積替え保管施設だけでなく、申請者の能力や経理的基礎、欠格要件なども確認されるためです。
主に次のような書類や資料を用意します。
STEP5:許可申請と審査を受ける
必要な事前手続きが終わり、施設と申請書類の準備ができたら、管轄行政庁へ正式に許可申請を行います。
申請後は、事業計画や施設が許可基準を満たしているか、申請者に事業を行うための能力があるか、欠格要件に該当していないかなどが審査されます。
審査の過程では、書類の修正や追加提出を求められたり、積替え保管施設の現地確認が行われたりする場合があります。
審査の結果、許可基準を満たしていると認められれば、許可証が交付されます。
現地確認の時期や審査の進め方は自治体によって異なります。許可証が交付されるまでは、積替え保管を開始しないようにしましょう。
産業廃棄物の積替え保管許可を取得するなら行政書士に相談
積替え保管許可は、通常の産業廃棄物収集運搬業許可と比べて手続きが複雑です。
施設の候補地を決める段階から自治体への確認が必要となり、事前協議や住民への説明、施設計画、申請書類の作成などを順番に進めなければなりません。
そのため、自社だけで申請するのが難しい場合は、産業廃棄物許可を扱う行政書士へ相談するのがおすすめです。
行政書士に依頼すれば、必要な手続きの確認から申請書類の作成、行政庁とのやり取りまでサポートを受けられます。
積替え保管許可の取得を検討している場合は、施設を正式に契約する前の段階で早めに相談しましょう。
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まとめ
積替え保管許可は、通常の産業廃棄物収集運搬業許可よりも手続きが複雑で、施設基準や保管量、自治体ごとの事前協議なども確認する必要があります。
特に、施設を契約した後に基準を満たせないことが分かると、計画の見直しや追加工事が必要になる可能性があります。
そのため、積替え保管を検討している場合は、施設を正式に決める前の段階から行政書士へ相談することをおすすめします。
産廃業許可ナビでも積替え保管許可のご相談に対応していますので、申請や施設計画でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所