

古物商は夫婦で共同経営できる?
妻の古物商許可って使っていいの?

と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
先に、結論を言うと、夫婦で古物商の共同経営をすることは可能なのですが、営業形態によっては法律違反に該当してしまうケースもあります。
例えば、妻が古物商の許可を取得し、その許可を夫が使って中古品を売買するようなケースでは法律違反となります。
そこで、この記事では古物商専門の行政書士がどのような営業形態だと夫婦で共同経営できるのかや、妻(夫)の許可を使って営業しても良いのかについて詳しく解説します。
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夫婦で古物商の共同経営できる?

結論から言うと、夫婦で古物商の共同経営をすることは法律上問題ありません。
ただし、共同経営と一言でいっても、許可の取得方法や名義、営業形態によって共同経営が認められるケースと認められないケースがあります。
以下では、それぞれの夫婦共同経営のパターン別に解説していきます。
夫婦で法人を設立して共同経営するパターン
たとえば、夫婦で法人を設立し、その法人名義で古物商許可を取得する場合は、夫婦で古物商を共同経営してもまったく問題ありません。
これは、古物商許可が個人ではなく法人に与えられているため、夫婦がそれぞれ法人の代表や役員、従業員として古物営業に関わっても、営業主体はあくまで法人とみなされるからです。
そのため、夫婦が協力して仕入れや販売を行っても、法律違反になる心配はありません。
妻(夫)が個人で許可を取得して共同経営するパターン
夫婦のどちらか一方が個人で古物商許可を取得し、もう一方がその営業に関わるケースもあります。
この場合は、営業実態によっては注意が必要です。
たとえば、妻が個人事業主として古物商許可を取得し、夫がその営業に協力する場合、夫が「従業員」として業務を行うのであれば問題はありません。
仕入れや販売の実務に携わっても、営業の主体はあくまで許可を持っている妻となり、違法とはなりません。
一方で、実際には夫が主体的に営業しているにもかかわらず、表向きは妻の許可を使っているような場合には「名義貸し」と見なされるため認められません。
妻(夫)の古物商許可を使ってもいいの?

弊所では、これまでにたくさんの古物商許可申請のサポートを行ってきましたが、その中でもよく「自分が古物商許可を取れないから、代わりに妻に許可を取得してもらって、自分が許可を使ってもいいの?」という質問を受けます。
たとえば、過去の前科などにより欠格事由に該当してしまい、自身では古物商許可を取得できないケースや、会社で副業が禁止されているため、自分では表立って営業できず、妻名義で古物営業を始めたいというケースです。
しかし、このようなケースで、妻に古物商許可を取得してもらい、実際には夫が中古品の売買する場合には「名義貸し」「無許可営業」という法律違反に該当するためできません。
というのも、古物商許可は、あくまでも許可を持っている人だけに認められた営業許可だからです。
従業員としてであれば営業は可能
古物商許可を持つのが妻(または夫)であっても、夫(または妻)が「従業員」として業務を手伝うのであれば問題ありません。
なぜなら、この場合、古物営業をしているのはあくまで許可を取得している本人となるからです。
たとえば、妻が古物商の許可を取得し、夫がその営業所で商品の仕入れや販売などを手伝う場合、夫が正式に従業員として雇用されていれば、法律上は問題ありません。
ただし、形だけ従業員とし、実際には夫が主導して事業を進めているような場合には、名義貸しとみなされる可能性があります。
申請時に古物商について質問される
中には、形式的に従業員という形をとって妻(または夫)に古物商許可を取らせようとする方もいます。
しかし、古物商許可の申請は本人にしかできず、警察署での手続きの際には、申請者自身が古物営業の内容について質問を受け、きちんと答えられる必要があります。
そして、申請者本人が内容を把握していない場合、警察署から不審に思われ、名義貸しを疑われてしまう可能性があり、最悪の場合には申請が不許可になってしまうかもしれません。
ちなみに、古物商許可の申請が不許可になった場合には、申請手数料の19,000円は返金されませんので気をつけて下さい。
夫婦で古物商を共同経営する際の注意点

夫婦で古物商を共同経営すること自体は可能ですが、ここまで解説してきたように、営業形態によっては法律違反に該当する可能性もあります。
そこで、以下では、夫婦で共同経営する際に特に注意したい3つのポイントを解説します。
- 従業員名義で売買はできない
- 名義貸しの場合に夫婦両方に罰則がある
- 夫婦の両方が同じ場所で取得できない
従業員名義で売買はできない
たとえ夫婦の一方が古物商許可を取得し、もう一方が正式に従業員として働いていたとしても、従業員の名前で古物を売買することはできません。
古物営業は、あくまで許可を受けた本人または許可を受けた法人の名義で行う必要があります。
つまり、従業員が自分の名前で中古品を仕入れたり販売したりすると、無許可営業とみなされ、法令違反になる可能性があります。
そのため、ネットで売買する場合にはアカウント名義人は必ず古物商許可を持っている人のアカウントで取引する必要があります。
夫婦間であっても、「誰の名義で売買しているか」は厳しく見られるため、実際の取引名義には十分注意するようにしましょう。
名義貸しの場合に夫婦両方に罰則がある
夫婦であっても、古物商の名義を貸し借りすることは法律上、禁止されています。
たとえば、妻が古物商の許可を取り、実際には夫が営業していた場合、夫は「無許可営業」、妻は「名義貸し」として、両方に罰則が科される可能性があります。
「バレたとしても営業している本人だけが責任を問われる」と思っていると危険で、名義を貸した側も処分の対象になる点はしっかり理解しておくようにしましょう。
夫婦の両方が同じ場所で取得できない
夫婦それぞれが個人で古物商許可を取りたい場合でも、同じ住所を営業所として古物商許可を取得することは原則できません。
なぜなら、古物商許可は「営業所ごと」に与えられるもので、同じ場所に複数の古物商が存在すると、誰が実際に営業しているのか分からなくなるからです。
そのため、どうしても夫婦それぞれで許可を取りたい場合は、夫婦それぞれが別の場所で古物商許可の申請をする必要があります。
そのため、特別な事情がない限りは、どちらか一方が許可を取り、もう一方は従業員として関わる形が一般的です。
古物商の名義貸し・無許可営業の罰則

先程も少し触れましたが、古物商許可の名義を貸した人はもちろん、名義を借りた人も法律違反となります。
たとえば、妻が古物商の許可を取り、実際には夫が営業していた場合、夫は「無許可営業」、妻は「名義貸し」として法律違反に該当します。
そして、それぞれの法律違反には以下のような罰則が設けられています。
そのため、「夫婦でやっているから大丈夫だろう。。。」と考えるのではなく、法律に則って許可を取得した人が古物営業をするようにしましょう。
ちなみに、「古物商の無許可は通報でバレる!後から申請で逮捕や罰則はある!?」でも詳しく解説していますが、古物商の無許可営業や名義貸しは思っている以上にバレやすいので注意してください。
夫婦での古物商経営に不安がある方は専門家に相談

古物商許可は細かいルールが多く、特に夫婦での共同経営となると「どちらが許可を取るべきか」「従業員としてどのように関われるのか」「名義貸しにならないか」など、不安や疑問を感じる方も少なくありません。
少しでも判断に迷う部分がある場合は、無理に自己判断せず、行政書士などの専門家に相談するのがおすすめです。
古物商許可ナビ代行では、専門の行政書士が実際の営業スタイルに合わせた適切な形での許可取得サポートや、許可取得後のトラブルを防ぐための相談などにも対応しています。
後から「知らなかった」では済まされないのが古物営業です。
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まとめ
この記事のまとめ
- 古物商は夫婦共同経営することは法律上問題ない
- 法人で古物商を夫婦共同経営するのがベスト
- 個人の許可を夫婦で使う場合には無許可・名義貸しの可能性
- 夫婦での営業が不安な場合には行政書士に相談
長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所