
副業でのせどりや、メルカリ・ヤフオクでの中古品転売が当たり前になった今、
これってグレーゾーンだから大丈夫でしょ?

という声をよく見かけるようになりました。
中には、ネット上の体験談や知恵袋の回答を参考にして、「古物商の許可なんて必要ない」と思い込んでいる人も少なくありません。
でも実はその考え方、かなり危険かもしれません。
この記事では、古物商のグレーゾーンについて、よくある誤解やネットで広まっている間違った情報、そして法律に基づいた正しい判断基準を、初心者にもわかりやすく解説します。
古物商にグレーゾーンは存在しない?

最近では「これはグレーゾーンだから大丈夫」「知り合いもやってるし問題ない」といった声をよく耳にしますが、実は古物営業における“グレーゾーン”という表現には大きな誤解があります。
結論からいえば、古物商の世界にグレーゾーンはほとんど存在せず、多くの場合は法律上の「黒」=「無許可営業」に該当する可能性が高いのです。
そもそも、「グレーゾーン」という言葉は、明確な線引きが難しい場面でよく使われます。
しかし古物営業法では、「古物とは何か」「古物営業に該当する取引とはどのような取引か」が定義されています。
そのため、古物商が必要かどうかの線引きがハッキリしていおり、グレーゾーンはほとんど存在しないというわけです。
それにも関わらず、インターネット上では「これはグレーだから大丈夫」といった誤った情報が広がっており、実際には法律に違反しているケースも少なくありません。
特に、せどりや転売をしている方の中には、「このくらいなら問題ないだろう」と自己判断で古物商の許可を取らずに販売している人も多いので注意が必要です。
Yahoo!知恵袋の回答を鵜呑みにしていいか?
ネットで「古物商 グレーゾーン」と検索すると以下のようなYahoo!知恵袋の質問が1番上に表示されることもあります。
私は10年位前からヤフオクで倒産品を扱うお店から商品を、同じ物を大量に出てるのを落札して、自分が必要な分だけを除き残りはバラでヤフオクや他のフリマアプリで出品しております。
あくまで仕事をしながらの出品でして、生活費を稼ぐレベルではありません。つまり、業としてやってるレベルでは全く無いです。
警察にも相談しましたが、古物商の許可を取るとかなり色々なリスクを負うと説明され…私の今の状況はグレーゾーンではっきり古物商が必要かどうかは微妙だと言われました。
私の住む地区を管轄する警察署にそんな事を言われて…申請するのもためらっています。
やはり申請をした方が確実ですか? 今まで知らずにやってたので今更、古物商の許可を得ても逮捕される可能性はありますか?
そして、この質問に対する回答が以下のような内容です。
そもそも新品のみの場合はグレーゾーンでもなく、古物商許可は不要です。
警察でなく 税務署に相談してください 偽造品や盗品などの物を売らない限り逮捕されませんが税務署からは家宅捜査される可能性はあります
よくわかりませんが、そもそもですが、警察に相談する事事態が不明です。
ヤフオクにおける古物商の有無なんて、いわばショップが出品している場合しか必要ないです。
安心性を証明するみたいな感じでショップが古物商の資格を取っているだけという認識で良いと思います。
しかし、これらの回答は全て間違っています。
それもそのはずで、Yahoo!知恵袋で回答している人のほとんどは古物商の法律に関する詳し知識のない方が回答しているからです。
仮に、この情報を信じて罰せられたとしても、回答した人たちは責任を取ってくれません。
古物商の無許可営業には重い罰則がある

Yahoo!知恵袋などのネット上の間違った情報を信じて無許可営業を続けている場合、罰則が科される可能性があります。
古物営業法では、無許可で古物営業を行った場合には「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」、あるいはその両方が科されると定められています。(古物営業法第31条1号)
中古品を売買していただけで、こんなにも重い罰則が科されるはずがないと思っている方も多いですが、実際に無許可営業で摘発された例もあります。
「古物商の法律違反したらどうなる?どんな罰則がある?行政処分とは?」の記事では実際に逮捕された事例も紹介しているので、詳しく知りたい方は合わせて記事を読んでみてください。
「これくらい平気」が危ない理由
「ネットでちょっと売ってるだけだから、バレることはない」と思っている方もいるかもしれませんが、実際にはかなり簡単にバレてしまいます。
具体的に、古物商の無許可営業がバレるケースで特によくあるのが次の4つです。
この中でも最も多いのが「通報」です。
たとえば、取引でトラブルになった相手が腹いせに通報するケースや、同業者が無許可営業に気づいて警察に報告するケースなどがあります。
また、仕入れた商品が実は盗品だった場合、その捜査の過程で販売者が無許可だったことが発覚することもあります。
そのため、グレーゾーンと思って無許可で売買してしまっていた場合には、早急に古物商の許可を取得することをおすすめします。
「今さら申請しても、過去のことがバレて罰則を受けるのでは…」と心配になるかもしれませんが、基本的には、違法な状態を解消するために正しく許可を取ることに対して、いきなり罰則が科される可能性は高くありません。
ただ、もし、それでも罰則を受けるか心配な場合には行政書士などの専門家にご相談することをおすすめします。
古物商とは?なぜ必要?

古物商とは、わかりやすく言うと「中古品を仕入れて売ることで利益を得る人」のことです。
そして、中古品を仕入れて販売するためには「古物商の許可」が必要になります。
そのため、例えば、古本屋や中古自動車販売店などはもちろんのこと、個人が副業でメルカリやヤフオクを使って中古品を転売する場合にも古物商の許可が必要となります。
古物商はなぜ必要?
「中古品を売るだけなのに、なぜわざわざ警察に申請しなきゃいけないの?」と思う方もいるかもしれませんが、これにはきちんとした理由があります。
その目的は、盗品の流通を防ぎ、被害者の元に早く戻せるようにすることです。
もし誰でも自由に中古品を売買できてしまったら、泥棒や窃盗犯が盗んだ物をすぐに現金化できる世の中になってしまいます。
ですが、古物商の許可制によって、古物商には「本人確認」や「取引記録の保存」といったルールが課されます。
これによって、盗品が出回った際にも取引履歴から販売者を特定でき、犯人の特定や被害回復にもつながるわけです。
つまり、古物商の許可は「売る側のためのルール」でもありますが、それ以上に社会全体の安全を守るための仕組みとなっているのです。
グレーゾーンかどうか迷ったときの判断基準
自分の取引がグレーゾーンかどうか迷った場合には、以下の2点で判断が可能です。
上記の①と②の両方に該当する場合には、古物商の許可なく売買することはグレーゾーンではなく黒(無許可営業)に該当するので注意しましょう。
①販売する商品が古物に該当するか?
古物とはわかりやすくいうと、「中古品」のことです。
ただ、ここでいう中古品とは、一度使用されたもの(中古品)だけではなく、使用はされていないけど使用のために購入されたもの(新古品・新品未使用品)、手入れやリメイクされたもの(リメイク品)も該当する点は注意が必要です。(古物営業法第2条)
例えば、以下の図でいうと、小売店から新品を購入したAさんは古物商が不要ですが、BさんとCさんについては中古品を購入しているので古物商が必要です。
一方、Dさんはお店から購入していますが、中古品をお店から購入しているのでEさんとFさんだけではなく、Dさんも古物商の許可が必要となります。

因みに、先ほどのYahoo!知恵袋の質問の例では、Dさんの位置に該当するため古物商の許可が必要となる可能性が高いです。
②古物営業に該当するかどうか?
古物営業とは、利益を得る目的で古物取引を繰り返すことをいいます。(裁判例|古物営業法違反)
つまり、本業か副業かや、稼ぐ金額の大小に関わらず、利益を得る目的で中古品の売買をする場合には古物営業に該当するというわけです。
一方で、営利目的ではなく自分が使う目的で購入した私物を、使わなくなったからヤフオクやメルカリなどで販売する場合は古物商の許可は不要です。
じゃあ、全部自分が使う目的で購入した私物ってことにすれば古物商の許可はいらないのでは?

確かに、営利目的で売買しているわけでなければ、古物営業に該当しないので古物商の許可は不要です。
しかし、同じような商品を短期間で複数販売していたり、沢山の売買を継続的に長期間行っている場合、それは仮に自分の物だと言い張ったとしても古物営業と見なされてしまう可能性があります。
例えば、中古車販売店が自分の趣味で車を集めていていらなくなった車を何台も販売していると言っても、一般常識的にそれは営利目的だと見なされても仕方ないのと同じです。
無許可営業開始後に古物商を申請しても大丈夫?

では、もし『すでに販売を始めてしまっているけど大丈夫?』という場合はどうすればよいのでしょうか?
グレーゾーンだと思って無許可のまま古物営業をしてしまっていた人の中には、「今から申請してもバレて怒られるんじゃないか…」「もしかして逮捕されるのでは?」と不安に感じている方も多いかもしれません。
しかし、結論から言うと、ほとんどのケースでは、あとから古物商の許可を申請したからといって、すぐに逮捕されたり罰則を受けたりすることはありません。
とはいえ、無許可のまま長く続けていたり、売った数が多かったりすると、悪質だと判断されてしまう可能性はゼロではありません。
だからこそ、できるだけ早く違法な状態を解消することが重要です。
まずやるべきは、いったん販売をストップすること。
無許可で売っている状態では、警察署も古物商の許可を出しにくくなってしまいます。
まずは販売をやめて、許可を取る準備を始めましょう。
ただ、、、
警察に何か言われたらどうしよう…
今までの取引について聞かれたら不安…

という心配な場合には、行政書士などの専門家に相談してみるのも選択肢の1つです。

当事務所でも、これまでに無許可状態から申請された方をたくさんサポートしてきましたが、注意を受けたことはあっても、罰則や逮捕されたケースはありません。
なるべくスムーズに、安心して古物商の許可を取りたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
古物商のグレーゾーンに関するよくある質問

「逮捕されないから大丈夫」は本当?
記事中でも解説したようにいきなり逮捕されたり罰則を受ける可能性は低いです。しかし、過去には逮捕された事例もあるので無許可でも大丈夫と考えないようにしましょう。詳しくは「古物商の法律違反したらどうなる?」の記事をご確認ください。
新品のみの場合はグレーゾーンだから大丈夫?
大手小売店やメーカーから直接購入した新品を購入して転売する場合には古物商の許可は不要です。しかし、それ以外から仕入れた新品は古物に該当するので古物商の許可が必要です。詳しくは「新品の転売に古物商は必要?」の記事をご確認ください。
ヤフオクやメルカリで売るなら古物商は不要?
ヤフオクやメルカリでも営利目的で中古品を売買するなら古物商の許可は必要です。これはショップを運営する場合だけではなく、個人アカウントで売買する場合も同じです。詳しくは「メルカリに古物商はなぜいらない?」の記事をご確認ください。
後から古物商の申請をして逮捕された例はある?
当事務所がサポートしたお客様の中で、罰則や逮捕された方はこれまでいません。但し、これまでの取引実績や状況によって対応が異なる点は注意が必要です。もし、後から申請するのが不安だという方は以下のボタンより弊所にご依頼・ご相談下さい。
まとめ
この記事のまとめ
- 古物商にグレーゾーンはほぼない
- グレーゾーンと言われている取引は無許可違法営業がほとんど
- 古物商の無許可営業は3年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 無許可営業後に古物商を申請しても罰則を受けないケースが多い