酒類販売業を廃業するには、取消申請書などを作成して廃業手続きをしなければなりません。
そこで、この記事では酒類販売業の廃業手続きについて、流れや取消申請書の書き方について分かりやすく解説します。
この記事を書いた人
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酒類販売免許の廃業手続き前に知っておくべきこと
酒類販売業をやめる場合、ただ営業を停止すれば良いわけではなく、酒類販売免許の取消申請をしなければなりません(酒税法第17条2項)
というのも、酒類販売業免許には有効期限がないので、廃業手続きをしない限りは効力を持ち続けるからです。
例えば、営業していないのに廃業手続きをしなかった場合、酒類販売業者としての義務も発生し続けるため、酒類販売数量等報告書などを提出し続けなければなりません。
そして、もし、報告書の提出を怠った場合には、一年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処される可能性があります。(酒税法第58条10項)
つまり、廃業手続きをせずに放置すると不要な義務や罰則リスクだけが残るため、営業をやめると決めたら必ず取消申請をするようにしましょう。
酒類販売業免許の廃業手続きが必要なケース
酒類販売業免許の廃業手続きが必要は具体例として、以下のようなケースがあります。
廃業手続きが必要な具体例
- 酒類販売業を自ら廃業する場合
- 酒類販売業免許を取得した個人が死亡した場合
- 酒類販売業免許を取得した法人が消滅した場合
- 酒類販売業で個人から法人成する場合
- 酒類販売業で法人から個人成する場合
ちなみに、酒類販売業免許を取得した個人が死亡し、相続人が引き続き酒類販売業免許を行おうとする場合、相続申告手続きを行う事で酒類販売業を継続して行う事が可能です。
酒類販売業免許の廃業届の提出先と期限
酒類販売業免許の廃業届の提出先は、酒類販売場を管轄する税務署です。
例えば、法人の場合で、本社と酒類販売場が異なる場合には、本社ではなく酒類販売場を管轄する税務署に提出しなければならない点は注意が必要です。
提出方法は、税務署への持ち込み、郵送による提出、e-Taxによるオンライン手続きが可能です。
また、取消申請書の提出期限は廃業する前までとなっています。
酒類販売業免許の廃業手続きに掛かる費用
酒類販売業免許の廃業手続きに掛かる費用は無料です。
ただし、手続きを行政書士などの専門家に依頼した場合には数万円程度の報酬が発生します。
酒類販売業を廃業する際の流れ
酒類販売業を廃業する場合には以下のような流れて手続きを進めます。
廃業までの流れ
- 管轄の税務署に相談する
まずは、販売場を管轄する税務署に廃業予定を伝え、必要な手続きや書類の確認を行います。
- 酒類販売業免許の取消申請書を作成する
税務署から入手した様式に沿って取消申請書を作成します。取消申請書の書き方については次の段落で詳しく解説します。
- 必要書類を準備する
申請書に加えて必要書類も添付しなければなりません。法人と個人で必要書類がことなるため、間違えないようにしましょう。
- 酒類販売業免許の取消申請書を提出する
すべての書類を準備できたら、管轄の税務署に提出します。受理後に正式に免許が取消され、酒類販売業としての義務は終了します。
酒類販売業免許の取消申請書の書き方と必要書類
酒類販売業免許取消申請書の書き方

書き方と注意点
- 免許の種類を選択
⇒一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許・洋酒卸売業免許・輸出入卸売業免許・自己商標卸売業免許などは酒類販売業免許にチェック
- 申請書の提出日と提出先の税務署を記入
⇒申請書の提出日と提出先となる税務署名を記入します。提出先となる税務署は酒類販売場を管轄する税務署となる点は注意が必要です。記入例でいうと本社がある千代田区ではなく、販売場がある港区管轄の税務署が提出先となります。
- 住所を記入
⇒法人の場合は本店所在地の住所を登記簿謄本通りに記載します。一方で、個人の場合には自宅住所を住民票通りに記載します。
- 電話番号を記入
⇒電話番号を記載します。電話番号は固定電話と携帯電話のどちらを記入しても大丈夫です。
- 氏名及び名称を記入
⇒法人の場合には法人名と代表取締役の名前を、個人の場合には申請者の名前を記入します。ふりがなも忘れずに記入しましょう。
- 免許の種類を選択
⇒①と同じ免許の種類を選択します。
- 販売場の所在地及び名称
⇒免許を受けてお酒を販売していた所在地の地番(住所とは異なる)を記載します。販売場の地番がわからない場合には酒類販売免許通知書に記載されている「令和〇年〇月〇日付で申請のあった〇〇県〇〇市〇〇町一丁目2番3 家屋番号2番3」の部分の記載すれば大丈夫です。
- 販売場の電話番号
⇒お酒を販売しているお店の電話番号を記入します。
- 免許年月日
⇒酒類販売免許を取得した年月日を正式に記載します。正式な日付が分からない場合には酒類販売免許通知書に記載があるので確認してください。
- 免許の条件及び期限
⇒酒類販売免許に条件や期限が付いている場合には、その内容を記載します。免許の条件及び期限についても酒類販売免許通知書に記載があります。
- 免許の種類
⇒取消する免許の種類を選択又は記入します。複数種類の免許を保有している場合には、免許の一部のみ取り消すことも可能です。
- 販売酒類の品目等
⇒取消す予定の免許で認められているお酒の品目を選択又は記載します。品目についても酒類販売免許通知書に記載があるので、分からない場合には確認してください。
- 申請の理由
⇒取消申請の利用を選択肢、廃業の予定日を記入します。
- 現に所持する酒類の数量及びその処分方法
⇒現在、在庫として所有しているお酒の数量と、それらの在庫をどのように処分するかを選択します。因みに、法人成りをする場合には「その他」を選択し、(法人成り後の法人が引き継ぐ)と記載します。
現に所持する酒類の数量及びその処分方法の書き方
書き方と注意点
- 現に所持する酒類の数量及びその処分方法
⇒在庫として保有しているお酒の種類とそれぞれの処分方法の詳細を記載します。また、在庫がない場合には「所持する酒類は全て売り切った為、所持数量は0となりました。」と記載すれば大丈夫です。一方、法人成りや個人成りする場合には、それぞれぼ品目に「法人(個人)が引き継ぐ」と記載します。
酒類販売業免許取消申請の必要書類
酒類販売免許の取消申請で必要となる書類は法人と個人で異なります。
必要書類
- 法人の場合・・・法人番号通知書の写し又は印鑑証明書
- 個人の場合・・・運転免許証等の本人であることを確認するに足りるものの写し又は印鑑証明書
ちなみに、e-Taxを利用して申請する場合、e-Taxのログイン時に本人確認を行うため、上記の添付書類は不要となります。
酒類販売業免許の廃業手続き代行を希望の方へ
廃業手続きは一見シンプルに見えても、実際には免許の種類や営業形態によって記載内容が変わり、税務署とのやり取りも発生します。
書類不備や情報不足で申請が差し戻されると、廃業時期がずれ込みむ可能性もあります。
酒類許可ナビでは、こうした面倒な廃業手続きを22,000円(税込)で代行しています。
免許の確認から取消申請書の作成、必要書類の整備、税務署への提出まで一括サポートするため、手続きに不慣れな方や事業整理に時間を割けない方でも安心です。
全国対応可能なので、面倒な手続きを全て専門家に任せたいという方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
この記事のまとめ
- 酒類販売業を廃業する場合には届出が必要
- 酒類販売業免許取消申請の期限は廃業する前まで
- 酒類販売業免許取消申請の申請手数料は無料
- 酒類販売業免許取消申請の提出先は販売場の管轄税務署
長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所