酒類販売免許の変更

酒類販売業免許は相続できる?要件・手続き・必要書類を解説

2025年8月23日

酒類販売業免許って相続できるの?

お酒の販売を継続するにはどうすればいい?

といった不安や疑問を持っている方も多いと思います。

そこで、この記事では酒類販売業免許は相続できるのかや、どのような要件、手続き、必要書類を提出しなければいけないのかについて分かりやすく解説します。

この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。酒類免許専門の行政書士。酒類許可に関するメディアサイト「酒類許可ナビ」を運営しており、酒類免許の相談実績1000件以上。酒類許可の取得率100%。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]

酒類販売免許は相続できる?

先に結論をいうと、酒類販売免許は、相続によって引き継ぐことができます。

というもも、酒類販売業者が亡くなった場合でも、相続人が法律上の要件を満たしていれば、相続することができると定められているからです(酒税法第19条)。

ただし、何もしなくても自動的に免許が引き継がれるわけではなく、相続人が税務署へ届出をする必要があります。

たとえば、長年酒屋を営んでいた方が亡くなり、その子どもが跡を継ぐ場合、相続人が要件を満たしていれば、税務署に届出をすることで、従来の免許を引き継ぎ、これまで通り酒屋の営業を続けることができます。

酒類販売業免許が相続できる要件とは?

酒類販売免許を相続するためには、相続人が酒類販売免許の要件を満たさなければなりません。

具体的に、以下の欠格事由に該当しない必要があります。

相続できない欠格事由

  • 過去に免許を取り消された人
    ⇒酒類販売免許や酒類製造免許を取り消されてから3年以内の人
  • 免許を取り消された法人の役員だった人
    ⇒法人が免許取消処分を受けた場合、その取消の原因があった時から1年以内に役員で、処分から3年間以内の人
  • 未成年で、代理人が欠格者の場合
    ⇒未成年者が申請者で、その法定代理人が欠格事由にあたる場合
  • 税金を滞納した人
    ⇒過去2年以内に、国税や地方税で滞納処分を受けた人
  • 酒税や税金などで罰金や通告処分を受けた人
    ⇒酒税や税法違反などで罰金を受けたり、通告処分を受けてから3年以内の人
  • 特定の法律違反で罰金刑を受けた人
    ⇒20歳未満飲酒禁止法、風営法の酒類提供違反、暴力団対策法、刑法の傷害・暴行・脅迫・背任などで罰金刑を受けてから3年以内の人
  • 懲役刑以上の刑を受けた人
    ⇒懲役や禁錮などの刑を受け、その執行終了(または免除)から3年以内の人

上記のどれか1つでも該当した場合、仮に相続の権利があったとしても、被相続人の酒類販売濠免許を引き継ぐことはできません。

また、この要件あわせて、相続前の販売場と同じ場所を販売場とする必要があります。(国税庁Ι法令解釈通達-第19条1項関)

ちなみに、あくまでも相続の手続きをする時点で販売場が同じであれば良く、相続後に販売場を移転することは問題ありません。

酒類販売免許の相続手続きの流れ

酒類販売免許を相続する場合は、以下のようなステップで手続きを進めていきます。

酒類販売免許の相続手続の流れ

  • STEP1:相続の発生
    酒類販売業者が亡くなると免許が相続の対象となります。
  • STEP2:相続の意思確認と欠格事由の確認
    相続人が酒類販売業を引き継ぐかどうかを決め、欠格事由に当たらないことを確認します。
  • STEP3:税務署への届出
    相続人は「酒類販売業免許の相続申告書」を作成し、販売場の所在地を管轄する税務署長に提出します。
  • STEP4:免許の相続完了
    税務署による要件確認の結果、問題がなければ相続人は被相続人の免許を引き継いだものと扱われ、事業を継続できます。

ちなみに、酒類販売業免許の相続手続きの時期については「相続等のあった後遅滞なく」とされています。

「遅滞なく」とは、「可能な範囲でできるだけ早く」という意味で、正当な理由がある場合には、手続きまでにある程度時間がかかっても差し支えないことを意味します。

そのため、相続があったときには、無理に慌てる必要はありませんが、葬儀などの事情が一段落してから、できるだけ早めに税務署へ届出をするようにしましょう。

酒類販売免許の相続手続きに必要な書類

酒類販売免許を相続する際には、税務署への届出とあわせて、必要な書類を提出しなければなりません。

これらの書類は、相続人であることを証明するため、また免許を承継できる要件を満たしていることを示すために提出します。

必要書類

  • 戸籍謄本、戸籍抄本などの被相続人との関係が分かる公的書類
  • 酒類販売業免許の免許要件誓約書
  • 他の相続人の意思表示がわかる書類

また、上記の他、必要に応じて税務署から書類を求められる可能性があるので、事前にどのような書類が必要か税務署に相談しておくことをおすすめします。

酒類販売免許の相続と名義変更・事業継承の違い

酒類販売免許について、相続と名義変更、そして事業承継の違いがイマイチ分かりにくいと感じる方も多いと思います。

特に酒類販売免許は「名義を書き換えれば済むのでは?」と誤解されがちですが、実際にはそう単純ではありません

というのも、免許はあくまで“その事業者本人”に与えられるもので、原則「名義変更」は認められていないからです。

ただし、例外的に認められているのが「相続」と「事業承継」です。

相続は、免許を持っていた人が亡くなったときに、相続人が要件を満たせば免許を引き継げる仕組みです。

これに対して事業承継は、免許者が生存している場合でも、家族や3年以上勤務している従業員などに事業を譲り渡せる制度で、必ずしも親族に限られるわけではありません。

つまり、酒類販売免許では「名義変更」は認められていないけど、免許を持つ本人が事業を続けられなくなった場合でも、事業が途切れないようにするための救済的な手段として例外的に「相続」「事業継承」が認められているというわけです。

酒類販売免許の相続に困った場合は専門家に相談

酒類販売免許の相続手続きは、法律上の要件や確認事項が多く、一般の方にとって分かりにくい部分が少なくありません。

特に「誰が相続できるのかや」「相続人の中に免許を引き継がない人がいる場合の対応」「複数人で相続する場合にはどうすれば良いのか」など、判断に迷うケースはよくあります。

そんな時は、税務署に直接確認する方法もありますが、専門的な知識を持つ行政書士に相談することで、スムーズに手続きを進められます。

酒類許可ナビ代行では、相続人が欠格事由に該当しないかの確認から必要書類の準備、届出書類の作成・取得後の法律相談サポートまで幅広く対応できるため、手続きミスによるトラブルを防ぎ、相続後も酒類販売事業を安心して続けられます。

「何から手をつけていいかわからない…」

「相続後も酒類販売に関するサポートをお願いしたい…」

という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

\まずはお気軽にご相談下さい/

酒販免許代行の料金・サービスを見る

酒類許可ナビ代行のサポート詳細ページに遷移します。

まとめ

この記事のまとめ

  • 酒類販売免許は相続が可能
  • 酒類販売免許を相続するには税務署に相続申告書を提出
  • 相続人が欠格事由に該当する場合には相続できない
  • 酒類販売業免許は複数人で相続することも可能