
レンタルオフィスで酒類販売免許って取れるの?
バーチャルオフィスだと免許は取れないってホント?
そんな疑問を持っている方も多いです。
結論から言うと、レンタルオフィスでも酒類販売免許の取得は可能です。
ただし、一般的な賃貸事務所に比べて審査のハードルが高く、物件選びや契約内容に注意が必要になります。
また、バーチャルオフィスについては、そもそも酒類販売免許を取得することができません。
この記事では、レンタルオフィスで免許を取得するための具体的な条件やレンタルオフィスの種類、契約書のチェックポイントについてわかりやすく解説します。
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酒類販売免許はレンタルオフィスでも取得可能

結論から言うと、レンタルオフィスであっても酒類販売業免許の取得は可能です。
ただし、一般的な賃貸物件の事務所に比べて審査のハードルは高くなる傾向があります。
酒類販売免許では「賃貸か所有か」という契約形態はあまり関係なく、販売場の要件を満たしていれば問題ありません。
むしろ、レンタルオフィスで重要なのは以下の2点です。
- 他と区切られた独立したスペースであるか
- 貸主や所有者から酒類販売の承諾を得ているか
実際に、弊所にご相談いただいた依頼者の中にも、レンタルオフィスで取得された方はたくさんいます。
とはいえ、どんなレンタルオフィスでも良いわけではないのでその点は注意が必要です。
バーチャルオフィスでの取得は原則不可能
バーチャルオフィスを販売場として、酒類販売業免許を取得するのは原則できません。
酒類販売免許の販売場は、酒類の受注や帳簿等の保管、取引先との連絡・商談などの業務を実際に行える場所であることが求められるためです。
バーチャルオフィスのように、住所だけを借りる契約や郵便物の受領・転送が中心のサービスでは、販売場としての実体がないため、販売場の要件を満たしません。
また、「住所だけ借りて、実際の作業は自宅で行う」というケースでは、自宅を営業所として申請する必要があります。
本社のみがバーチャルオフィスの場合は取得が可能

一方で、本社の住所だけがバーチャルオフィスで、販売場は別の場所に設ける場合は、問題なく免許を取得できます。
酒類販売免許の審査で重視されるのは「販売場」の要件であり、本社や本店の住所がどこにあるかは直接的な審査対象ではないからです。
販売場さえ独立したスペースで、物理的な実体があれば、本社がバーチャルオフィスであっても問題ありません。
たとえば、本社登記はコストを抑えるためバーチャルオフィスにしておき、実際の酒類販売業務は賃貸オフィスや店舗で行うといったケースでは、許可取得は可能です。
酒類販売免許取得に必要なレンタルオフィスの4つの条件

レンタルオフィスで酒類販売免許を取得するには、物件選びが非常に重要です。
酒販免許は場所の要件以外にもいろいろな要件がありますが、場所の要件を満たさなければそもそも申請が通りません。
そのため、これからレンタルオフィスで酒類販売免許の申請を検討している方は必ず以下の4つを事前に確認するようにしてください。
個室であること
他の利用者のスペースや共有通路と明確に区分され、完全な個室でなければなりません。
販売場には独立性が求められるためです。
他のスペースと自由に行き来できる状態や、内部が外から丸見えになる状態では、独立した販売場とは認められず、要件を満たさないと判断されやすいです。
たとえば、天井まで壁がない「欄間(ランマ)」は、管轄の税務署によっては認められる可能性もありますが、パーテーションで仕切られただけのブースは、独立性が不十分として認められない可能性が高いです。
扉と鍵があること
部屋に扉があり、施錠できる必要があります。
理由は、第三者が勝手に立ち入れない構造でなければ、その場所を「専有している」とは認められにくいからです。
また、お酒という商品や顧客情報を記録した帳簿を管理する上で、セキュリティの確保も不可欠とされています。
たとえば、入り口がカーテンやアコーディオンカーテンだけの部屋は認められません。
適切な使用権原があること
申請者は、その場所を適切に使用できる権限を持っている必要があります。
ここでいう「適切な使用権限」とは、所有者や貸主から正式に場所を借りており、酒類販売業を継続して行える状態にあることを指します。
酒類販売業免許は「特定の販売場」に対して付与されるため、申請者がその販売場を正当に使用できることが前提になるからです。
そのため、原則として契約書の名義は申請者本人(個人)または申請法人名になっている必要があります。
また、注意点としては、レンタルオフィスでは運営会社が物件を転貸しているケースが多く、運営会社との契約だけでは、適切な使用権限を証明できないケースも多いです。
この場合、申請にあたっては、運営会社に加えて物件の所有者や元の貸主からも酒類販売の使用承諾書が求められます。
酒類販売業務ができるスペースがあること
事務作業を行い、必要な設備を設置するには、十分な広さのスペースが必要です。
販売場では、酒類の受発注に使う通信機器や、帳簿類を保管するキャビネットなどを設置する必要があり、業務が滞りなく行える環境を整えなければなりません。
また、販売方法によっては在庫を置くスペースも必要になります。
そのため、電話ボックスのように極端に狭いスペースでは、販売場として不適切と判断される可能性があります。
ただし、「〇畳以上」といった明確な広さの基準はないので、1人用の狭いレンタルオフィスでも許可の取得はできるので諦める必要はありません。
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レンタルオフィス形態別の酒販免許取得の可否

レンタルオフィスのタイプによって、免許を取得できるかどうかが大きく異なります。
具体的には、酒類販売免許の取得ができるレンタルオフィスの形態は以下となります。
| レンタルオフィスの種類 | 取得可否 | 特徴 |
|---|---|---|
| 個室(中長期契約) | 〇 | 長期で利用できる専用の完全個室 |
| 個室(短期契約) | ✖ | 1日だけ利用できる専用の個室 |
| 半個室(中長期契約) | ✖ | パーテーション等で区切られた長期間利用できる専用音ブース |
| 半個室(短期契約) | ✖ | 1日だけ利用できる専用のブース |
| コワーキングスペース | ✖ | 広い空間を不特定多数で共有できるスペース |
個室(中長期契約)
個室タイプで1年以上の契約をするレンタルオフィスが、最も酒類販売免許を取得しやすいです。
壁でしっかり仕切られ、鍵をかけられる個室で、かつ契約期間が1年以上あれば、通常の賃貸事務所と同じように扱われるためです。
具体的には、四方が壁で囲まれた専用スペースがあり、自分だけが出入りできる環境であれば、「独立した販売場所」として認められます。
個室(短期契約)
個室という物理的な条件は満たしていても、契約期間が短い場合は免許が取得できません。
契約期間が短いと、その場所で安定して継続的にお酒の販売ができないと判断されるためです。
具体的には、「1ヶ月ごとの更新」「時間単位での貸し出し」「契約は長期でも使える個室が日によって変わる」といった契約形態では、免許はおりません。
目安としては、契約書に記載されている契約期間が1年以上(自動更新含む)であることが望ましいです。
残りの契約期間が1〜2ヶ月でも、自動更新があれば問題ありません。
半個室(中長期契約)
中長期で固定のブースを契約している場合でも、半個室では免許を取得できません。
営業所として認められるには「完全に独立した空間」でなければならないからです。
たとえば、パーテーションで区切られただけのスペースや、壁が途中までしかないブースなどは、半個室とみなされて認められません。
ただし例外として、天井付近が空いている欄間タイプ(壁は天井付近まであるが、上部に隙間がある造り)の個室であれば、営業所として認められる可能性が高いです。
半個室(短期契約)
短期契約の半個室では免許を取得できません。
「完全に独立した空間であること」と「継続して使えること」の両方を満たしていないからです。
たとえば、月単位で契約できる半個室ブースは、パーテーションで仕切られているだけで独立性がなく、契約期間も短いため認められません。
コワーキングスペース
席が固定されていないコワーキングスペースでは免許を取得できません。
酒類販売の免許は「特定の場所」に対して与えられるものであり、毎回違う席を使うスタイルだと「ここが自社の販売場所です」と明確に示すことができないからです。
たとえば、カフェのような共有スペースで、その日の空いている席を自由に使うフリーアドレス形式のプランなどが該当します。
レンタルオフィスの契約書で確認すべき3つの注意点

物件自体が良くても、契約内容が原因で取得できないケースも多いです。
そのため、契約締結前に必ず以下の3点を確認してください。
使用場所が明確に記載されている
契約書に「レンタルオフィスのどの場所を使うのか」が明確に記載されている必要があります。
税務署が契約書の内容を細かく確認する際、使用場所が曖昧だと「本当にその場所を事業で使っているのか」を証明できないからです。
たとえば、契約書に「301号室」や「3階A室」といった具体的な部屋番号が記載されていれば、使用場所がはっきりしているため問題ありません。
一方、「施設内」といった曖昧な書き方では不十分とされる可能性があります。
そのため、契約前に必ず場所を特定できる記載があるか確認しましょう。
使用目的と禁止事項
契約書の使用目的欄に「酒類販売」が含まれているか、または「物品の販売」や「在庫の保管」が禁止されていないかを必ず確認してください。
多くのレンタルオフィスは、人の出入りや荷物の搬入を嫌うため、規約で「事務作業以外の用途」を禁止しているからです。
たとえば、契約書の禁止事項に「物販目的の使用は不可」「在庫保管禁止」などと書かれている場合、そのままでは免許を取得できません。
このような場合は、貸主から「酒類販売業に使用することを承諾します」という内容の使用承諾書を取得する必要があります。
なお、レンタルオフィスでは人の出入りや在庫の保管がほとんど認められないため、取得できるのは基本的に通信販売酒類小売業免許や、業者間取引の卸売業免許に限られます。
使用承諾書の発行可否
酒類販売の免許を取るには、レンタルオフィスの運営会社だけでなく、土地や建物のすべての所有者から「使用承諾書」をもらう必要があります。
これは、レンタルオフィスの仕組みが「転貸」になっているためです。
つまり、運営会社が物件を借り、それをさらに利用者に貸すしているので、契約書だけでは「本当の所有者」が酒類販売に同意しているかどうか、税務署では判断できないのです。
特に注意が必要なのは、大規模なオフィスビル内にあるレンタルオフィスを利用するケースです。
というのも、ビルの土地や建物の所有者が大企業や行政機関である場合が多く、個人で使用承諾書を取り付けるのは現実的に難しいからです。
とはいえ、承諾書がどうしてももらえない場合でも、免許が絶対に取れないというわけではありません。
なぜもらえないのか、その理由を整理したうえで、事前に管轄の税務署に相談すれば、代替案を示してくれる可能性があります。
レンタルオフィスで酒類販売免許を申請するなら事前相談は必須

レンタルオフィスで酒類販売免許を取得する場合、一般的な事務所に比べて場所の要件を満たしているかの判断が難しいです。
場所の構造や承諾書の取得など、満たすべき条件が複雑で、契約後に「許可できない」と言われてしまう可能性もあります。
こういったリスクを避けるためにも、契約前に必ず税務署や専門家へ相談しましょう。
管轄税務署への事前相談
レンタルオフィスの所在地を管轄する税務署の「酒類指導官」に、図面を持参して相談に行きましょう。
酒類販売免許の申請先はレンタルオフィスの管轄税務署であり、実際に審査の担当者から、場所の要件を満たしているかどうか事前にアドバイスをもらえる可能性があるからです。
たとえば、レンタルオフィスの図面や写真を見せることで、「この構造なら問題ない」「ここは改善が必要」といった具体的な指摘を受けられる場合があります。
ただし、税務署はあくまでも申請を審査する立場なので、「この場所なら必ず免許を取得できます」といった確約の回答はもらえない点に注意が必要です。
酒類販売免許に詳しい行政書士に事前相談
レンタルオフィスで免許を取得できるのかや、何から始めればいいのかわからない場合は、酒類販売免許に詳しい行政書士に相談するのがおすすめです。
なぜなら、税務署は形式的な要件しか教えてくれませんが、行政書士は「どうすれば審査に通るか」という実務的なノウハウや、免許が取りやすい物件の傾向までアドバイスしてくれるからです。
たとえば、行政書士に申請代行を依頼すれば、税務署とのやり取り、必要書類の収集、申請書の作成まですべて任せられるため、免許取得をスムーズに進められます。
特に、初めて申請する方や忙しい方にとっては、大きな負担軽減になります。
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まとめ
この記事のまとめ
- 酒類販売免許はレンタルオフィスで取得可能
- レンタルオフィスの種類によっては酒類販売免許はとれない
- バーチャルオフィスで酒類販売免許は取れない
- 土地と建物の所有者から使用承諾書を取得するのが難しいケースがある
- レンタルオフィスで酒類販売免許を申請するなら事前相談が必須
長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所