
クラフトビールを販売したいけど、どんな免許が必要?
クラフトビールの販売免許っ誰でもできるの?
クラフトビールを販売するには、販売方法に応じた免許や許可が必要です。
自社で醸造するのか、OEM製造なのか、仕入れて売るのか、飲食店で提供するのかによって、取得すべき免許は異なります。
さらに、免許ごとに取得条件や費用、審査期間も違うため、「結局どの免許を取ればいいの?」と迷う方も多いのです。
そこでこの記事では、4つの販売方法別に必要な免許の種類から、要件、費用、取得までの流れまでをわかりやすく解説します。
\酒類販売許可の情報収集はこれで終了/
▶申請の手順から許可後の義務まで、この1記事ですべて網羅しています。
この記事を書いた人
クラフトビールを販売する4つの方法と必要な免許

クラフトビールを販売するには、販売形態に応じた免許や許可が必要です。
自分で醸造して売るのか、仕入れたビールを店舗やネットで売るのか、飲食店で提供するのかによって、取得すべき免許は異なります。
具体的には、以下の4つに分けられます。
- 酒類醸造免許・・・自社で醸造して直接販売する
- 自己商標卸売業免許・・・OEMで作り酒販店へ卸売する
- 酒類小売業免許・・・他社から仕入れて消費者に売る
- 飲食業許可・・・飲食店内でグラス提供する
以下では、クラフトビールの販売方法ごとに必要な免許について解説します。
自社で醸造して直接販売する「酒類製造免許」
自社でクラフトビールを造って販売する場合、酒類製造免許の取得が必要です。
酒類製造免許はお酒の種類ごとに分かれており、クラフトビールを造る場合は「ビール製造免許」または「発泡酒製造免許」のいずれかを取得する必要があります。
どちらの免許が必要になるかは、使用する原料や製法によって決まるため注意が必要です。
OEMで作り酒販店へ卸売する「自己商標卸売業免許」
自社ブランドのクラフトビールを他社に製造してもらい、酒販店や飲食店へ卸売したい場合は、自己商標卸売業免許が必要です。
自己商標卸売業免許とは、自社の商標をつけたお酒だけを卸売できる免許で、自分で醸造しなくても業者向けに販売できるようになります。
醸造設備を持たずにオリジナルブランドを展開したい方におすすめの免許です。
ちなみに、卸売業免許で販売できるのは、酒屋などお酒の販売業者に限られます。飲食店に販売したい場合は、小売業免許の取得が必要です。
メーカーや酒類卸売業者から仕入れて消費者に売る「酒類小売業免許」
クラフトビールメーカーや酒類卸売業者からクラフトビールを仕入れて、一般の人や飲食店に販売するには酒類小売業免許が必要です。
酒税法では、販売の相手が酒類販売業者でない場合は「小売り」とされます。
そのため、一般消費者向けだけでなく、飲食店向けに販売する場合も小売りに該当します。
酒類小売業免許には主に次の二つがあり、どのように販売するかによって取得すべき免許が異なります。
飲食店内でグラス提供するための「飲食店営業許可」
店内でグラスに注いで、クラフトビールを提供するには飲食店営業許可が必要です。
酒税法では、「酒場や飲食店などで、料理と一緒にお酒を提供する場合」は、酒類販売業の免許は必要ないとされています。
つまり、ボトルや樽を開けてグラスで提供する形であれば、酒類販売免許は不要です。
ただし、未開栓の缶やボトルをそのままテイクアウト用に販売する場合は、小売業に該当するため、酒類小売業免許が必要です。
全ての酒類免許に共通する4つの審査要件

酒類販売免許を取得するには「人・場所・経営・需給」の4つの要件をすべて満たさなければなりません(酒税法(第10条)。
以下、それぞれの要件について詳しく解説します。
申請者の経歴や欠格事由を審査する「人的要件」
人的要件とは、申請者が法律を守り、適切に事業を行える人物かどうかを確認するための要件です。
法人の場合は、代表者だけでなく役員全員が審査の対象となります。
酒類には酒税という重要な税金が関わっており、過去に税金のトラブルや法律違反がある人に免許を与えると、税金の未納や不正につながるおそれがあります。
こうしたリスクを防ぐため、人物面についても厳しくチェックされます。
具体的には、以下に該当する場合は要件を満たしません。
販売場や製造場の設備・位置を問う「場所的要件」
場所的要件とは、酒類を製造又は販売する場所として適切な場所かを判断する要件です。
他の事業者や生活空間と混同せず、お酒を適切に製造・販売・管理できる環境が求められます。
また、以下のようなケースでも許可されない可能性があるので注意が必要です。
酒類製造免許や酒類販売免許は場所に対して与えられるため、物件選びの段階から慎重に検討しておく必要があります。
経営の安定性や資金力を審査する「経営基礎要件」
経営基礎要件とは、事業を継続できるだけの資金力と、酒類ビジネスの経験・知識があるかを審査する要件です。
財務状況が不安定な事業者にお酒の製造や販売を任せると、事業が途中で破綻し、税金を徴収できなくなるおそれがあります。
こうしたリスクを防ぐため、経営面についても厳しく確認されます。
具体的には、以下のような項目がチェックされます。
健全な財務状況と一定の業界経験が求められるため、事前に自社の状況を確認しておきましょう。
なお、必要とされる業界経験は取得する免許の種類によって異なります。
酒類の需給バランスを考慮する「需給調整要件」
需給調整要件とは、免許を付与することで酒類の需要と供給のバランスを著しく乱さないかを審査する要件です。
申請する地域における酒類の需要や、既存の酒類販売業者の状況などを考慮して判断されます。
自己商標酒類卸売業免許や一般酒類小売業免許、通信販売酒類小売業免許については、他の要件を満たしていれば比較的取得しやすい傾向にあります。
\酒類販売許可の情報収集はこれで終了/
▶申請の手順から許可後の義務まで、この1記事ですべて網羅しています。
各免許・許可を取得する際に必ず押さえるべき注意点

クラフトビール事業を始めるにあたり、免許や許可の種類ごとに知っておくべき注意点があります。
申請前に把握していないと、審査で却下されたり、知らないうちに違法行為を犯してしまうリスクがあります
ここでは、酒類製造免許・自己商標卸売業免許・酒類小売業免許・飲食店営業許可それぞれについて、事前に必ず押さえておくべきポイントを解説します。
酒類製造免許:ビールと発泡酒で異なる最低製造数量の基準
小規模でクラフトビール事業を始めるなら、ビールではなく発泡酒の免許を選ぶのが現実的です。
酒類製造免許には、1年間に最低限これだけは製造しなければならないという基準が設けられています。
ビール製造免許は年間60キロリットル、発泡酒製造免許は年間6キロリットルで、10倍もの差があります。
この基準を下回ると免許が取り消される可能性があるため、確実に達成できる品目を選ばなければなりません。
330ml瓶に換算すると、ビールは年間約18万本、発泡酒は年間約1万8,000本が最低ラインとなります。
小規模な醸造所で年間18万本を製造・販売するのは相当ハードルが高いです。
自己商標卸売業免許:自己の商標に限られる
自己商標酒類卸売業免許で販売できるのは、申請者自身が企画・開発した商標や銘柄を使用したお酒に限られます。
他社が作ったブランドを借りて販売することは認められません。
自己商標に該当するかどうかは、そのオリジナルの商標や銘柄を生み出したのは誰かで判断します。
たとえば、自社の店名をラベルに使用したオリジナルビールや、自分で考えたブランド名を銘柄にしたクラフトビールは自己商標に該当します。
一方、有名キャラクターのライセンスを借りてラベルに使用する場合は、自己商標とは認められません。
なお、商標登録は必須ではありませんが、他者と権利が重複しないよう、事前に商標登録を済ませておくと安心です。
酒類小売業免許:店頭販売とネット通販では免許の種類が異なる
「店舗で売る」のと「ネットで売る」のでは、必要な免許が異なります。
店頭販売には「一般酒類小売業免許」、2都道府県以上の消費者を対象とするネット通販には「通信販売酒類小売業免許」が必要です。
そのため、店頭販売も通信販売も両方したい場合には、2種類の免許を取得しなければなりません。
注意点として、通信販売酒類小売業免許では国内大手メーカーのクラフトビールは取り扱えません。
具体的には、課税移出数量が3,000キロリットル未満のメーカーが製造した国産酒類又は輸入酒に限られます。
飲食店営業許可:ビールのテイクアウト販売には別途免許が必要
飲食店の許可だけでは、クラフトビールのテイクアウトやデリバリーはできません。
飲食店営業許可は「その場での消費」が前提であり、容器に入れて持ち帰らせる行為は酒税法上「酒類の販売」とみなされます。
これを知らずに販売すると、無免許販売として処罰の対象になります。
テイクアウト需要やデリバリー需要を見込んでいるなら、必ず酒類小売業免許も取得するようにしましょう。
免許・許可別の取得にかかる費用の目安

免許や許可を取得するには、登録免許税や申請手数料といった法定費用に加え、行政書士に依頼する場合は報酬も必要になります。
費用の内訳として、酒類販売免許では登録免許税が、飲食店営業許可では申請手数料がかかります。
登録免許税や申請手数料は免許・許可の種類ごとに法律で定められています。
一方、行政書士報酬は手続きの難易度によって異なるため、依頼前に見積もりをもらっておくと安心です。
主な免許・許可の取得費用の目安は以下の通りです。
| 免許・許可 | 名称 | 登録免許税・申請手数料 | 行政書士報酬 |
|---|---|---|---|
| 酒類製造免許 | ビール・発泡酒製造 | 15万円 | 50万~100万円 |
| 酒類卸売免許 | 自己商標卸売 | 9万円 | 15万円前後 |
| 酒類小売免許 | 一般小売・通販小売 | 3万円 | 15万円前後 |
| 飲食店営業許可 | 飲食店営業 | 約1.5〜2万円 | 5万円前後 |
なお、免許や許可の申請は自分で行うことも可能です。
ただし、書類の準備や要件の確認に手間は時間ががかかるため、行政書士に依頼するケースが多いです。
\酒類販売許可の情報収集はこれで終了/
▶申請の手順から許可後の義務まで、この1記事ですべて網羅しています。
免許・許可別の取得方法と申請から交付までの期間

免許や許可は、種類によって申請先や審査の流れ、交付までにかかる期間が大きく異なります。
酒類製造免許のように4ヶ月以上かかるものもあれば、飲食店営業許可のように1〜2週間で取得できるものもあります。
事業のスケジュールを立てるうえで、それぞれの取得に掛かる期間を把握しておきましょう。
酒類製造免許の取得フローと標準的な審査期間
酒類製造免許の審査には、約4ヶ月の期間がかかります。
加えて、事前準備や申請書の作成、必要書類の収集なども含めると、全体では7〜12ヶ月程度かかるのが一般的です。
申請に進む前に、税務署の酒類指導官への事前相談が必須です。
相談をせずに製造場を契約してしまうと、場所の基準を満たしていなかった場合に、家賃や敷金が無駄になるおそれがあります。
たとえ場所の条件を満たしていたとしても、酒類製造免許では多くの厳しい要件が定められており、事前相談を通じて一つひとつ確認していくことが重要です。
注意
お酒をつくって販売するには、税務署の「酒類製造免許」だけでなく、保健所の「酒類製造業の営業許可」も必要です。そのため、保健所へも許可の申請をしなければなりません。詳しくは、酒類製造業免許とは?|難易度や要件~取得方法・費用まで徹底解説の記事をご確認ください。
自己商標卸売業免許の取得フローと標準的な審査期間
自己商標卸売業免許の審査期間は2ヶ月です。
ただし、OEMメーカーとの打ち合わせや申請書の作成、必要書類の収集などを含めると、3〜6ヶ月程度かかります。
酒類に貼るラベルには、表示すべき内容や記載方法について細かい規定があります。
デザインを作成する前に、税務署へ確認をとっておくと、後から修正が発生するリスクを減らせます。
商標登録証や委託製造契約書の写しがすでにある場合は、申請時に提出しておくことで、審査がよりスムーズに進みやすくなります。
酒類小売業免許の取得フローと標準的な審査期間
酒類小売業免許の審査期間は原則2ヶ月で、準備期間も含めると3~4カ月程度で取得可能です。
酒類製造免許や自己商標卸売業免許と比べると取得しやすい免許といえます。
ただし、自分で申請する場合は決して簡単ではありません。
申請書類の作成や要件の確認など、専門的な知識が求められる場面も多いため、事前に税務署へ相談に行くことをおすすめします。
飲食店営業許可の取得フローと標準的な審査期間
飲食店営業許可は、申請から交付まで1〜2週間程度で取得できます。
酒類製造免許や酒類販売免許のような長期間の審査はなく、自分で申請することも十分可能です。
保健所による現地検査が行われ、設備などが基準を満たしていれば、数日以内に許可が下ります。
ただし、設備要件を満たしていない場合は追加の工事が必要となり、取得までにかなり時間がかかることもあります。
事前に図面を持参して管轄の保健所へ相談に行き、要件を満たしているか確認しておくと安心です。
\酒類販売許可の情報収集はこれで終了/
▶申請の手順から許可後の義務まで、この1記事ですべて網羅しています。
酒類販売免許を取得するなら酒類許可ナビ代行

できるだけ早く免許を取得したい…
不安なことを色々相談しながら申請を進めたい…
そんな方は、酒類販売免許の専門家が事前相談から免許取得まで徹底的にサポートいたします。
\無料診断・無料相談はこちら/
※初回無料相談・全国対応。受付時間9:00~18:00(土日祝日も対応可!)
\1分でかんたん入力/
※初回相談無料・全国対応・土日OK!
まとめ
この記事のまとめ
- クラフトビールを販売する方法は4種類
- クラフトビールを製造・販売するなら酒類製造免許が必要
- 自社ブランドのクラフトビールを卸売りするなら自己商標卸売業免許が必要
- クラフトビールを店頭や通販で販売するなら酒類小売業免許が必要
- クラフトビールを飲食店で食事と一緒に提供するなら飲食業許可が必要
長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所