酒販免許の基礎知識

酒類販売免許の取得費用は?|個人・法人別や行政書士の代行料金の平均相場

2025年2月19日

「酒類販売免許を取りたいけど、費用がいくらかかるのか心配…」と、悩んでいませんか?

酒類販売免許は、法人と個人で必要書類が異なるほか、登録免許税や公的書類の発行費用などのコストもかかるため、正確な金額を判断するのは難しいかもしれません。

そこで、今記事では酒類販売免許の取得を検討されている方向けに、個人・法人別の費用や専門家に依頼する代行料金の相場について解説します。

行政書士
行政書士

この記事は次のような人におすすめ!
酒類販売免許の取得を検討している人
酒類販売免許の取得費用が知りたい人
代行で酒類販売免許の取得を検討している人

この記事を読めば、酒類販売免許の取得にどれぐらいの費用が掛かるのかがわかります。

この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。酒類免許専門の行政書士。酒類許可に関するメディアサイト「酒類許可ナビ」を運営しており、酒類免許の相談実績1000件以上。酒類許可の取得率100%。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]

法人の酒販免許の取得に掛かる費用と内訳

酒類販売免許は取得する免許の種類によって掛かる費用が大きく異なります。

法人申請の内訳酒類小売業免許酒類卸売業免許
登録免許税30,000円90,000円
公的書類取得費用約5,000円約5,000円
酒類販売管理者研修約5,000円
(事業目的・定款変更)3~5万円(変更が必要な場合)3~5万円(変更が必要な場合)
合計約40,000円約95,000円

酒類小売業免許と酒類卸売業免許の違いについては、酒類販売免許の種類の記事で詳しく解説しています。

登録免許税

酒類販売免許の許可がおりると、登録免許税を納付する必要があります。

登録免許税とは、酒類販売業者としての登録をするにあたり国に納める税金の事です。

そして、この登録免許税は取得する免許の種類によって金額が異なります。

酒類小売業免許・・・3万円
一般酒類小売業免許通信酒類小売業免許、特殊酒類小売業免許

酒類卸売業免許・・・9万円
全酒類卸売業免許、ビール卸売業免許、洋酒卸売業免許輸出酒類卸売業免許輸入酒類卸売業免許、店頭販売酒類卸売業免許、協同組合員間酒類卸売業免許、自己商標酒類卸売業、免許特殊酒類卸売業免許

酒類小売業免許を取得するなら3万円、酒類卸売業免許を取得するなら登録免許税が9万円必要です。

ただ、登録免許税は一か所についき最大9万円となっているので、仮に同じ場所で酒類小売業免許と酒類卸売業免許を取得しても登録免許税は12万円にはならず、最大の9万円を納めれば大丈夫です。

一方で、A市で小売業免許を取得し、B市で卸売業免許をを取得する場合には、同じ場所で酒類販売免許を取得しているわけではないので、それぞれの免許取得時に3万円と9万円の登録免許税を納めなければなりません。

公的書類の取得費用

法人で酒類販売免許を申請する場合に、以下の公的書類を取得する必要があります。

書類名費用
法人の履歴事項全部証明書(登記簿)600円
建物の全部事項証明書600円
土地の全部事項証明書600円(地番が複数ある場合は地番数×600円)
都道府県納税証明書400~800円
市区町村納税証明書400~800円
合計2500円~5000円

土地の全部事項証明書で複数ある場合とは、以下のような場合です。

具体例

A市1丁目1番地の1という家屋番号の建物の全部事項証明書を取得したら、所在地の欄に「A市1丁目1番地の1」、「A市1丁目1番地の2」、「A市1丁目1番地の3」と書いてあった。

この場合、A市1丁目1番地の1の土地の全部事項証明書だけではなく、「A市1丁目1番地の2」、「A市1丁目1番地の3」の全部事項証明書も取得する必要があります。

つまり、600×3=1800円が必要になります。

酒類販売管理者研修

酒類販売小売業免許を取得する場合には、必ず営業所に酒類販売管理者を置かなければなりません。

酒類販売管理者とは、酒類の販売業務を適切に管理するための責任者のことで、酒類販売管理者になるには酒類販売管理者研修を受講しなければなりません。

酒類販売管理者研修の概要

  • 受講料・・・約5,000円
  • 所要時間・・・1日(約3時間程度)
  • 実施場所・・・各都道府県で開催
  • 更新・・・酒類販売管理者は3年ごとにこの講習を再受講する必要があります。

一方で、酒類卸売業免許を取得する場合、基本的には酒類販売管理者研修を受ける必要はありません。

ただし、酒類卸売業免許の取得要件では、酒類販売経験や事業経験が求められるため、これらの経験がない人は酒類販売管理者講習を受講することで一定の要件を満たすと判断されることもあります。

そのため、酒類卸売業免許を取得する方でも酒類販売管理者研修を受講する方は多いです。

事業目的・定款変更

法人で酒類販売免許を申請する際には、事業目的に酒類販売に関する項目が含まれている必要があります。

すでに事業目的に酒類販売が含まれている場合、事業目的の追加や定款の変更は不要です。

一方、事業目的に酒類販売が含まれていない場合は、法人の登記簿謄本に事業目的を追加し、併せて定款の変更も行う必要があります。

事業目的・定款変更の費用

  • 登録免許税・・・約3万円
  • 司法書士の報酬・・・3~5万円

個人の酒販免許の取得に掛かる費用と内訳

個人で酒類販売免許を取得する場合、免許の種類によって掛かる費用が大きく異なります。

個人申請の内訳酒類小売業免許酒類卸売業免許
登録免許税30,000円90,000円
公的書類取得費用約5,000円約5,000円
酒類販売管理者研修約5,000円
合計約40,000円約95,000円

酒類小売業免許と酒類卸売業免許の違いについては、酒類販売免許の種類の記事で詳しく解説しています。

登録免許税

酒類販売免許が許可されると、登録免許税の納付が必要になります。

登録免許税とは、酒類販売業者として登録する際に国へ納める税金です。

その金額は、取得する免許の種類によって異なります。

酒類小売業免許・・・3万円
一般酒類小売業免許通信酒類小売業免許、特殊酒類小売業免許

酒類卸売業免許・・・9万円
全酒類卸売業免許、ビール卸売業免許、洋酒卸売業免許輸出酒類卸売業免許輸入酒類卸売業免許、店頭販売酒類卸売業免許、協同組合員間酒類卸売業免許、自己商標酒類卸売業、免許特殊酒類卸売業免許

酒類小売業免許の取得には3万円、酒類卸売業免許の取得には9万円の登録免許税がかかります。

ただし、登録免許税は一か所につき最大9万円と定められているため、同じ場所で酒類小売業免許と酒類卸売業免許の両方を取得しても、合計12万円ではなく、最大9万円の納付で済みます。

一方、A市で小売業免許を取得し、B市で卸売業免許を取得する場合は、それぞれ別の場所での申請となるため、小売業免許に3万円、卸売業免許に9万円の登録免許税を納める必要があります。

公的書類の取得費用

個人で酒類販売業免許を申請する場合、以下の公的書類を取得する必要があります。

書類名費用
建物の全部事項証明書600円
土地の全部事項証明書600円(地番が複数ある場合は地番数×600円)
都道府県納税証明書400~800円
市区町村納税証明書400~800円
合計2500円~5000円

土地の全部事項証明書で複数ある場合とは、以下のような場合です。

具体例

A市1丁目1番地の1という家屋番号の建物の全部事項証明書を取得したら、所在地の欄に「A市1丁目1番地の1」、「A市1丁目1番地の2」、「A市1丁目1番地の3」と書いてあった。

この場合、A市1丁目1番地の1の土地の全部事項証明書だけではなく、「A市1丁目1番地の2」、「A市1丁目1番地の3」の全部事項証明書も取得する必要があります。

つまり、600×3=1800円が必要になります。

酒類販売管理者研修

酒類小売業免許を取得する場合、営業所に必ず酒類販売管理者を置く必要があります。

そして、この管理者は申請者自身がなることも可能です。

酒類販売管理者とは、酒類の販売業務を適切に管理する責任者のことで、酒類販売管理者になるためには管理者研修の受講が必要です。

酒類販売管理者研修の概要

  • 受講料・・・約5,000円
  • 所要時間・・・1日(約3時間程度)
  • 実施場所・・・各都道府県で開催
  • 更新・・・酒類販売管理者は3年ごとにこの講習を再受講する必要があります。

一方、個人で酒類卸売業免許を取得する際は、基本的に酒類販売管理者研修の受講は求められません。


ただし、免許の取得要件として酒類販売経験や事業経験が必要とされるため、これらの経験がない場合、酒類販売管理者研修を受講することで一定の要件を満たすと判断されるケースもあります。

そのため、酒類卸売業免許を取得する方でも、研修を受講するケースは少なくありません。

行政書士の酒類販売免許代行費用の相場は136,591円

酒類小売業免許酒類卸売業免許
登録免許税30,000円90,000円
公的書類の取得費用約5,000円約5,000円
酒類販売管理者研修約5,000円
事業目的・定款変更(法人の場合)3~5万円(変更が必要な場合)3~5万円(変更が必要な場合)
行政書士の代行費用136,591円136,591円
合計約176,591円約231,591円

酒類販売免許を行政書士に依頼する場合、平均的な報酬額は136,591円です。

この金額は、日本行政書士会が5年に一度実施する報酬統計調査(令和2年度実施)に基づいて公開されています。

そのため、許可取得にかかる総費用は、酒類小売業免許で約176,591円、酒類卸売業免許で約231,591円となります。

ちなみに、弊所では酒類販売免許の代行費用を109,800円(税込120,780円)と、平均よりも大幅に低い料金で提供しています。

行政書士に代行を依頼するメリット

酒類販売免許の申請を行政書士に依頼するには費用がかかりますが、多くの方が行政書士を利用しています。

その理由は、以下のようなメリットがあるからです。

依頼するメリット

  • 手間と時間の削減
  • スムーズな許可取得
  • 要件に不安がある場合のアドバイス
  • 税務署とのやり取り不要
  • 免許取得後の相談が可能

酒類販売免許には複数の種類があり、それぞれ要件や必要書類が異なります。

また、申請手続きは一度きりですが、事前に調べるべきことや準備する書類が多く、想像以上に時間と手間がかかります。

そのため、行政書士に依頼すれば、こうした負担を大幅に軽減できるため、確実に許可を取得したい方にとっては大きなメリットとなります。

酒類販売免許の更新料や維持コストは?

酒類販売免許の取得を検討されている方にとっては、酒類販売免許取得後の更新費用や維持コストについても気になるのではないでしょうか?

結論を先に言うと、酒類販売業免許には更新という制度はありません。

つまり、酒類販売免許を1度取得すると、更新費用は一切かからずに使い続けることが可能です。

ただし、酒類販売管理者に関しては3年に1度、管理者研修を受講しなければならないため、3年に1度は受講料5,000円が必要になります。

酒類販売免許の変更費用は0円

酒類販売免許の申請内容に以下のような変更があった場合でも、変更手数料はかかりません。

変更内容の例

  • 住所又は所在地が変更になった場合
  • 法人の名称を変更した場合
  • 法人の役員が変わった場合

これはの変更は比較的簡単に書類を作成できるので自分で作成して税務署に提出すれば、0円で変更が可能です。

変更内容によっては代行費用や登録免許税が必要

一方で、以下の内容に変更があった場合には、行政書士への代行費用や登録免許税が必要になることがあります。

酒類の販売場所が変更
・自分で変更申請を行えば手数料は0円ですが、手続きが複雑なため5~7万円前後の代行費用がかかる可能性があります。

酒類を販売する方法を追加する
・別の免許を取得する必要があるため、5~7万円前後の代行費用がかかる可能性がある。
・酒類小売業免許を所持+酒類卸売業免許を取得→登録免許税が6万円必要。
・酒類卸売業免許を所持+酒類小売業免許を取得→登録免許税が3万円必要。

そのため、新規申請の段階で将来的な変更ができる限り発生しないように免許を取得することが、維持費を抑えるポイントです。

まとめ

この記事のまとめ

  • 酒類小売業免許の取得費用は約40,000円
  • 酒類卸売業免許の取得費用は約95,000円
  • 行政書士の代行費用の相場は136,591円
  • 酒類販売免許の更新費用は0円
  • 酒類販売管理者研修の受講費5000円が3年に1度必要