酒類販売免許の種類

自己商標酒類卸売業免許とは?|難易度や条件~取り方や費用まで解説

2025年2月7日

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「自社ブランドのお酒を作って販売したい!」

そんな時に必要となるのが自己商標酒類卸売業免許です。

しかし、自己商標酒類卸売業免許を取得しようと思っても、

どんや条件があるのか?
未経験や個人でも取得できるのか?

費用や手続きにはどれぐらい掛かるのか?

など、疑問や不安が多く、何から始めればいいのか分からない…という方も多いのではないでしょうか?

そこで、この記事では、自己商標酒類卸売業免許の特徴や取得条件、必要書類や取り方までは分かりやすく解説します。

「スムーズに免許を取得したい!」という方は、ぜひ最後までご覧ください!

この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。酒類免許専門の行政書士。酒類許可に関するメディアサイト「酒類許可ナビ」を運営しており、酒類免許の相談実績1000件以上。酒類許可の取得率100%。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]

自己商標酒類卸売業免許とは?

自己商標卸売業免許とは、自分が開発したブランドや銘柄のお酒を酒類販売業者に卸することができる免許のことです。

例えば、OMEで製造したお酒を販売したい場合や、委託生産でお酒を製造して販売したい場合に自己商標卸売業免許を取得します。

また、自己商標卸売業免許は一度取得すると、その後、自分が開発したブランドや銘柄のお酒であれば、別の商標でも販売することができます。

ただし、自己商標卸売業の注意点としては、あくまでも「卸売業免許」ですので、酒類販売業者にしか卸すことができず、一般の消費者には販売できない点です。

酒類小売業免許と酒類卸売業免許の違い

酒類販売免許は大きく分けると、「酒類小売業免許」と「酒類卸売業免許」に分けられます。

  • 酒類小売業免許・・・飲食店や一般消費者にお酒を販売する免許
  • 酒類卸売業免許・・・酒類小売店や酒類卸売店にお酒を販売する免許

そして、酒類小売店や酒類卸売店などに販売する場合には「酒類卸売業免許」の取得が必要となります。

一方で、飲食店や一般消費者にお酒を販売したい場合には「酒類小売業免許」を取得しなければなりません。

そのため、自己商標卸売業免許では自社ブランドのお酒であっての一般消費者に販売することができないというわけです。

自己商標酒類卸売業免許で販売可能なお酒の種類や販売方法

販売できるお酒自己商標のお酒
販売できる相手酒類販売業者に限る
輸出の可否輸出も可能

販売できるお酒は自己商標に限る

免許の名前の通り、自己商標卸売り業免許で販売できるお酒は自己商標のお酒に限ります。

ただし、自己の商標のお酒であれば、ビール、日本酒、焼酎、ワインなど、自己商標であればどんな種類のお酒でも販売が可能です。

特に、ビールや日本酒、焼酎などは、全酒類卸売業免許やビール卸売業免許といった取得難易度が最も高い免許でなければ卸売ができないため、ビールや日本酒、焼酎を卸売したい場合におすすめの免許と言えます。

販売できる相手は酒類販売業者に限られる

免許の種類自己商標のお酒の販売可否酒類販売業者への販売一般消費者への販売
自己商標卸売業免許可能可能不可
一般酒類小売業免許可能不可店頭小売のみ可能
通信販売酒類小売業免許可能不可通販のみ可能

お酒を販売できる相手は酒類販売業者に限られます。

これは「酒類小売業免許と酒類卸売業免許の違い」の部分でも少し解説しましたが、卸売業免許は酒類小売店や酒類卸売店などに販売するための免許だからです。

一方で、自己商標のお酒を一般消費者や飲食店に対してだけ販売したい場合に、自己商標酒類卸売業免許ではなく一般酒類小売業免許や通信販売酒類小売業免許を取得すれば大丈夫です。

また、酒類販売業者と一般消費者の両方に販売したい場合には、自己商標卸売業免許と併せて酒類小売業免許を取得する必要があります。

他の卸売業免許との違い

免許の種類販売できるお酒の種類日本国内への卸売海外への卸売
自己商標卸売業免許全種類(自己商標に限る)
洋酒卸売業免許洋酒に限る
輸出卸売業免許全種類

酒類卸売業免許には、販売できるお酒の種類や販売地域(国内・海外)によってさまざまな種類があります。

中でも 自己商標卸売業免許 は、洋酒卸売業免許 や 輸出卸売業免許 と販売できる酒類や販売先が似ているため、混同しやすい免許の一つです。

しかし、表を見ると分かるように、「販売できるお酒の種類」「日本国内での販売」「海外への販売」のいずれかが必ず異なります。

そのため、自分のビジネス計画を明確にし、どの酒類をどこに販売するのか を整理した上で、最適な免許を取得しましょう。

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自己商標酒類卸売業免許の取得条件は4つ

自己商標卸売業免許を取得するには以下の4つの要件を満たさなければなりません。

  • 法律違反や税金の未納滞納はないか?
  • 適切な場所で酒類販売を行うか?
  • 酒類販売経験や経営経験があるか?
  • お酒の流通バランスを崩さないか?

酒類販売免許の要件については「酒類販売免許の要件」の記事で詳しく解説しているので、以下ではそれぞれについて簡潔に説明します。

法律違反や税金の未納滞納はないか?

自己商標酒類卸売業免許の申請では、申請者が「お酒の販売に関する法律を守れるか」や、「税金をちゃんと納めているか」など、以下のような項目が審査されます。

上記に該当する場合には、自己商標酒類卸売業免許の要件を満たしていないため免許の取得ができません。

適切な場所で酒類販売を行うか?

自己商標卸売業免許の申請場所は、免許を取得する場所として適正な場所でなければなりません。

具体的には、以下のような要件を満たしている必要があります。

審査項目

  • 営業所の所有者から営業所を使用する許可をもらっている
  • 独立したスペースであること

自己商標卸売業免許の申請場所は、営業所の所有者から酒類販売に使用することが認められている場所でなければなりません。

そのため、住居用として借りている物件や、又貸しされている物件を営業所とする場合、営業所の所有者に使用承諾書にサインを貰う必要があります。

また、自己商標卸売業免許の営業所は、第三者が借りているスペースの一部を間借りした場所などで取得することはできません。

詳しくは「酒類販売免許の販売場の要件」をご確認ください。

酒類販売経験や経営経験があるか?

自己商標卸売業免許の申請者には、適正に酒類の卸売業を経営するのに十分な知識や経験が求められます。

具体的には、酒類の販売経験や事業経験がそれぞれ3年以上あることが望ましいです。

お酒の流通バランスを崩さないか?

酒税をしっかり確保しつつ、お酒の供給が不足したり余ったりしないように市場へのお酒の供給量はバランスが調整されています。

そのため、このバランスを崩すしような酒類販売を行う事はできません。

具体的には、居酒屋やレストラン、BARなどの飲食店で、テイクアウト用のお酒を小売りするような場合です。

この場合、飲食用のお酒と小売業のお酒では税金のルールが異なり、同じ場所で飲食と小売りを行うと、正しく税金が管理できない可能性があるため、基本的には認められません。

自己商標酒類卸売業免許の取得難易度は4.5点/5点

自己商標卸売業免許難易度(5点満点)
酒類販売の経験(4/5点)
貿易・事業経営の経験(4/5点)
仕入・販売先の確保(5/5点)
書類の作成(5/5点)
総合評価(4.5/5点)

酒類販売免許の取得難易度の中でも、自己商標卸売業免許の取得難易度は5点満点中4.5点と、難易度が高いです。

取得難易度が高い一番の理由は仕入れ先と販売先の確保にあります。

まず、自己商標卸売業免許を申請する際には、通常の申請書の他に、「商品の企画書」や「商標登録証」、「ラベル案」や「製造委託契約書」などが求められます。

つまり、免許の取得前から、製造先と打ち合わせを重ね、販売する商品について大半は決まっている必要があるわけです。

また、仕入先だけではなく、作ったお酒をどこに販売するのかも事前に話を通しておく必要があり、販売先からも取引予定があることについて同意書にサインをもらう必要があります。

そのため、自己商標卸売業免許は申請前から計画的に進めていく必要があるため、免許の取得難易度が高いと言えます。

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自己商標酒類卸売業免許は個人や未経験者でも取れる?

最近では個人でビジネスをはじめる方や、既存事業とは別に複業をはじめる方も多いです。

このような個人の場合や、これまでに酒類販売経験がない場合でも自己商標卸売業免許を取得してお酒を販売できるのでしょうか。

自己商標卸売業免許は個人でも取得可能

自己商標卸売業免許は個人でも取得が可能で、個人だから免許の取得が難しいというわけでもありません。

ただし、求められる要件は法人と同じなので、例えば、「商品の企画書」や「商標登録証」、「ラベル案」や「製造委託契約書」などが同じように求められます。

そして、これらは免許がない状態で酒造メーカーと打ち合わせを行わなければならず、免許を持っていない個人が相手にしてもらえない可能性もあります。

その点で言えば、法人よりも少し免許の取得難易度が高いと言えるかもしれません。

自己商標卸売業免許は未経験でも取れる可能性はある

免許の取得要件の部分でも解説しましたが、自己商標卸売業免許を取得するには、酒類の卸売業や経営に関してそれぞれ3年程度の経験が求められています。

しかし、それぞれのについて3年以上の経験がない場合でも、自己商標卸売業免許を取得できる可能性はあります。

なぜなら、仮に酒類販売経験や事業経営経験がない場合でも、他の仕事での経営経験や酒類販売管理者研修の受講の有無、記帳の方法などの知識を総合的に判断されるからです。

つまり、酒類の卸売業や経営経験が3年なくても、これまでの経験や研修などの受講により、酒類の卸売業を経営するのに十分な知識や能力があると判断された場合には、自己商標卸売業免許の取得が可能となります。

自己商標酒類卸売業免許の取得にかかる費用は10万円

自己商標卸売業免許の取得にかかる費用は10万円程度です。

個人法人
登録免許税90,000円90,000円
公的書類の取得費用4,000円前後5,000円前後
合計約94,000円約95,000円

法人で申請する場合、取得する公的書類が少し増えるので若干費用は高くなりますが、基本的にはほとんど費用は変わりません。

行政書士に申請代行を依頼した場合の費用は15万円前後

行政書士事務所
の平均相場
NAGASHIMA
行政書士事務所
登録免許税90,000円90,000円
公的書類の取得費用4,500円前後4,500円前後
行政書士の費用150,000前後110,000前後
合計約245,000円約205,000円

自己商標卸売業免許を申請する場合、専門の行政書士に依頼するのが一般的です。

というのも、ここまででも解説してきた通り、自己商標卸売業免許を取得する難易度は高く、どのような書類が必要などを自分で判断するのは難しいからです。

そして、自己商標卸売業免許の行政書士の代行費用の相場や15万円前後と高額です。

これは、他の酒類販売免許と比べて、自己商標卸売業免許の場合には、酒造メーカーとの製造契約など段階からサポートが必要となるケースが多いからです。

しかし、「酒類許可ナビ」を運営するNAGASHIMA行政書士事務所では、約11万円で製造契約など段階から許可の取得までをサポートいたしますので、自己商標卸売業免許の取得を検討されている方は是非ご相談下さい。

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自己商標酒類卸売業免許の取得にかかる期間は5~10カ月

自分で自己商標卸売業免許を申請した場合と、行政書士に依頼して申請した場合では取得までにかかる期間が異なります。

自分で申請した場合だと、6~8カ月程度、行政書士に依頼した場合は4カ月程度で許可の取得が可能です。

自分で申請行政書士に依頼
事前準備2カ月~1~2か月
必要書類の収集1~1.5か月0.5か月
書類の作成1~1.5か月0.5か月
税務署の審査2~3カ月2か月
合計6~8カ月4~6カ月

自己商標卸売業免許の取得で一番大切なのが、製造メーカーとの打合せや契約等です。

特に酒類販売免許を持たない状態で酒造メーカーと契約することはかなりハードルが高く、なかなか思うように進まないことが一般的です。

また、必要書類の収集や作成についても、かなり時間が掛かります。

さらには、税務署での審査期間は2か月なのですが、書類の不備や修正等があった場合には、期間が延長されてしまうため注意が必要です。

自己商標酒類卸売業免許の必要書類一覧(個人・法人別)

自己商標卸売業免許の必要書類は以下となります。

書類の種類個人法人
申請書必要必要
免許要件誓約書必要必要
履歴書必要必要
定款の写し不要必要
法人の登記簿不要
直近3年の財務諸表のコピー3期分の確定申告書必要
地方税の納税証明書(都道府県)必要必要
地方税の納税証明書(市区町村)必要必要
土地の不動産登記簿必要必要
建物の不動産登記簿必要必要
賃貸契約書のコピー
不動産所有者の使用承諾書
販売先の取引承諾書必要必要
商品の企画書
製造委託契約書必要必要
商標登録証
ラベル案必要必要
免許申請書チェック表必要必要

自己商標卸売業免許の必要書類の中でも特に重要なのが、「製造委託契約書」と「ラベル案」です。

まず、製造委託契約書については、必ずしも契約書である必要はなく、双方の同意が確認できれば問題ありません。

なぜなら、そもそも酒類販売免許をもっておらず、許可が取れるかも不確かな状態で、免許課酒類の製造委託に関する契約を結ぶこと自体がかなり難しいからです。

また、商標登録証のコピーに関しても、あれば提出した方が良いですが、ない場合には特に提出しなくても許可の取得は可能です。

自己商標酒類卸売業免許の取り方

自己商標卸売業免許の取り方は以下のようになります。

  • 免許の取得要件や営業所の要件を確認
  • 税務署への事前相談
  • 酒造メーカーを決める
  • 企画書・ラベル案・製造委託契約書を作成
  • 自社ブランのお酒について税務署に詳しく相談
  • 必要書類の取集
  • 申請書の作成
  • 申請書の提出
  • 登録免許税の納付
  • 自己商標卸売業免許の許可証受取

自己商標卸売業免許を取得する方法としては、まず、酒類販売免許の取得の要件や営業所の要件を確認し、免許の取得が可能かどうかを判断します。

要件を確認し、問題がなければ営業所を管轄する税務署に相談に行きましょう。

この際に、要件の確認や必要書類、申請書、ラベルや製造委託契約書について教えてもらえると思います。

自己商標卸売業免許を申請するタイミング

自己商標卸売業免許は、他の酒類販売免許とは異なり、申請前にブランドロゴや契約内容、ラベルや注文ロット等、事前に決めなければならないことがたくさんあります。

そのため、どのタイミングで申請書の作成や税務署の相談に行けばいいのかわからないですよね?

結論からいうと、製造メーカーが決定して、契約書(同意書)とラベル案が完成したら申請が可能です。

というのも、契約書(同意書)とラベル案については申請で提出が必要な書類であり、それさえ準備できれば、後の細かな内容は免許の取得後でも問題ないからです。

ですので、できるだけスムーズに自己商標卸売業免許を取得したい場合には、製造メーカーの決定と契約書(同意書)、ラベル案の作成を最優先に進めるようにしてください。

まとめ

この記事のまとめ

  • 自己商標卸売業免許は自社ブランドのお酒を酒類販売業者に卸すのに必要
  • 自社ブランドのお酒を一般消費者や飲食店に販売する場合には小売業免許でOK
  • 製造委託契約書とラベルに関しては事前に税務署に詳しく確認しておくこと
  • 申請書を提出できるのはラベルや製造委託契約書の作成が完了してから

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