酒販免許の疑問

イベントでのお酒の販売に許可は必要?具体例・罰則・注意点を解説

2025年8月11日

イベントでお酒を販売するのに許可って必要?

イベントでお酒を無許可で販売した場合に罰則はある?

この記事を読んでいる方の中には、上記のように思っている方も多いのではないでしょうか?

結論を先にいうと、イベントでお酒を販売する場合、酒類販売業許可が必要なケースと不要なケースがあります。

そして、この点をしっかりと理解せずに無許可で販売した場合には、法律違反として罰則を受けてしまう可能性もあるので注意が必要です。

そこで、この記事ではどんな場合に酒類販売免許が必要なのかや、申請手順、注意点について解説します。

この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。酒類免許専門の行政書士。酒類許可に関するメディアサイト「酒類許可ナビ」を運営しており、酒類免許の相談実績1000件以上。酒類許可の取得率100%。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]

イベントでお酒を販売する場合に許可は必要?

イベントでお酒を販売するには、酒類販売業免許が必要なケースと不要なケースがあります。

具体的には、以下のお酒の提供・販売方法によって許可が必要かどうかが変わります。

お酒の販売に許可が必要な場合と不要な場合

  • 酒類販売免許は不要・・・コップにお酒を注いで提供する場合
  • 酒類販売免許が必要・・・未開封の缶や瓶のお酒を販売する場合

酒類販売免許が不要な場合

コップにお酒を注いで提供する場合、酒類販売免許の許可は不要です。

なぜなら、コップにお酒を注いで提供する場合、お酒の「販売」ではなく「提供」とみなされるので、飲食店と同じよう取扱いとなるからです。

そのため、飲食業許可を取得していれば、コップやグラスにお酒を注いで提供することは可能です。

例えば、イベント会場でカクテルを作って提供したり、コップにビールを注いで販売する場合に酒類販売免許の取得は不要です。

また、イベント会場で試飲のためにコップやグラス、おちょこなどにお酒を注いで提供する場合も不要です。

ただ、イベントの種類やお酒の提供方法によっては飲食業許可や、臨時出店許可が必要なケースや、許可が不要なケースもあります。

この点については、イベントの種類や自治体の判断によって若干対応が異なるケースもあるので、詳しくはイベントが行われる自治体の保健所にご確認ください。

酒類販売免許が必要な場合

未開封の缶や瓶のお酒を販売する場合は、酒類販売業免許が必要です。

これは、未開封の状態で販売する行為が「提供」ではなく「小売」にあたり、飲食業ではなく酒類販売業として扱われるためです。

例えば、コンビニやドラッグストア、スーパーなどでお酒を販売する場合には、この免許を取得しなければなりません。

一方、缶チューハイや缶ビール、瓶ビールなどを開封し、コップと一緒に提供する場合は、飲食業の許可が必要になります。

つまり、未開封のお酒は「酒類販売業」とみなされるため酒類小売業免許が必要で、開封して提供する場合は「飲食業」として飲食業許可が必要というわけです。

イベントでお酒を販売するのに必要な期限付小売業免許とは?

酒類販売免許には様々な種類の免許があるのですが、その中でもイベントで未開封の缶や瓶のお酒を販売する場合には、「期限付酒類小売業免許」が必要です。

期限付酒類小売業免許とは、地域の祭りや音楽フェス、スポーツ大会などの期間限定イベントで、臨時的に酒類を販売するために設けられた特例的な免許です。

通常の酒類販売業免許と異なり、販売できる期間があらかじめ限定されており、免許の有効期限を過ぎるとお酒を販売はできなくなるという特徴があります。

期限付酒類小売業免許についての詳細や取得方法については「期限付酒類小売業免許とは?」をご確認ください。

お酒の販売免許を持っていないと期限付免許は取れない

期限付酒類小売業免許は、誰でも申請できるわけではありません。

申請できるのは、すでに酒類販売業免許(一般酒類小売業免許や通信販売酒類小売業免許など)を持っている酒類販売業者に限られます。

つまり、普段からお酒を販売していない個人や事業者が、この免許だけを新たに取得することはできません。

また、中には、この免許だけ取得できないのであれば、既に酒類販売業免許を持つ事業者と契約し、その事業者名義で販売を行いたいと考える方もいるかもしれません。

しかし、それらの行為は「名義貸し」や「無許可販売」に該当し、法律で禁止されています。

そのため、どうしても販売したい場合は、未開封ではなく缶や瓶を開封し、コップなどに移して提供する形を取る必要があります。

期限付酒類小売業免許が必要なケースの具体例

期限付酒類小売業免許は、普段の営業場所とは異なる場所で、一定期間だけ酒類を販売する場合に必要となります。

具体的には、次のような場合に期限付酒類小売業免許を取得してお酒を販売するケースが多いです。

期限付酒類小売業免許の具体例

  • 酒販免許を持っている飲食店が夏祭り会場に臨時ブースを出してビールや日本酒を販売する場合
  • 地域物産展で自社のお酒を数日間だけ販売する場合
  • スポーツイベント会場で、期間限定のアルコール販売を行う場合
  • 野外フェスなどでお酒を販売する場合
  • ワインフェスなど特定のテーマイベントで、会場内のみで販売する場合
  • 通常の営業場所とは別の会場で、期間や販売酒類が明確に決まっている場合

ちなみに、よく誤解されるため改めて補足しますが、上記のようなケースであっても、お酒を開封して提供する場合には、期限付酒類小売業免許は必要ありません。

必要となるのは、あくまでも未開封の缶や瓶のお酒をそのまま販売する場合に限られます。

イベントでお酒販売する場合の流れ

イベントでお酒を販売する場合の具体てな流れは以下のようになります。

イベントでお酒を販売する流れ

  • 免許の必要性・要件を確認
    まずは、自分のケースが期限付酒類小売業免許の取得が必要かを確認します。また、必要な場合でも要件を満たさなければ免許は取得できない為、事前に期限付酒類小売業免許の取得要件を確認しておきましょう。
  • 店舗を管轄する税務署へ相談
    免許が必要で取得要件を満たしている場合には税務署に相談にきます。というのも、手続きには「届出」と「申請」の2種類あり、販売期間や販売方法、販売するお酒の品目によってどちの手続きをすればいいかが異なるからです。そのため、事前に税務署に相談してどちらの手続きが必要かを確認しましょう。
  • 酒類販売管理研修を受講
    期限付酒類小売業免許でお酒を販売する場合でも、通常の免許と同様に販売場に酒類販売管理者を設置しなければなりません。そして、酒類販売管理者になるには酒類販売管理研修の受講が必須となるので、できるだけ早めに受講しておくようにしましょう。
  • 必要書類収集・申請書の作成
    「届出」と「申請」で必要書類や作成書類が異なります。そのため、税務署に相談に行った際に説明された内容の忠実に守って必要書類の収集・申請書の作成をして下さい。もし、間違った手続をした場合、期限付酒類小売業免許を取得できませんので注意が必要です。
  • 申請書類を税務署に提出
    書類が整ったら、期限内に管轄税務署へ提出します。「届出」は販売開始10日前まで、「申請」は販売開始2週間前までに税務署に提出する必要があります。不備があると受理されない場合があるため、提出前は必ず確認してください。
  • 許可証を受け取る(申請の場合)
    「届出」の場合は書類に不備がなく、税務署に受理されたらイベントでお酒を販売することが可能になります。一方で、「申請」の場合は受理後に審査が行われ、審査完了後に許可・不許可の連絡があります。

ちなみに、「期限付酒類小売業免許の取り方と注意点」の記事では期限付酒類小売業免許の必要書類や、取得方法などに詳しく解説しているので、もっと詳しく知りたいという方は合わせて読んでみてください。

イベントでお酒を無許可で販売した場合の罰則

期限付酒類小売業免許が必要なのに手続きをせず販売すると、他の酒販免許を持っていても無許可販売となります。

そして、無許可販売が発覚した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

さらに、すでに持っている酒類販売免許が取り消され、その後2年間は新たに免許を取得できなくなるなど、営業に大きな影響が出ます。

こうしたリスクを回避するためにも、必要な場合は必ず期限付酒類小売業免許を取得するようにしましょう。

イベントでお酒を販売するなら行政書士に相談

イベントでお酒を販売する際は、どのような場合に期限付酒類販売免許が必要で、どのような場合には不要かの判断は意外にややこしいです。

特に期限付酒類小売業免許は、販売するお酒の種類や販売形態によって「届出」か「申請」かが異なり、必要書類も変わるため、初めて手続きを行う方にとっては複雑に感じることも少なくありません。

そのため、イベントでお酒を販売するなら行政書士に相談するのがおすすめです。

行政書士に相談すれば、事前の要件確認から税務署との調整、申請書類の作成までサポートが受けられ、スムーズかつ確実に手続きを進められます。

特に、イベント日程が迫っている場合や不備によるやり直しを避けたい場合は、専門家のサポートを活用することで安心してイベントでお酒を販売できます。

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まとめ

この記事のまとめ

  • イベントでお酒を販売するには許可が必要な場合と不要な場合がある
  • コップにお酒を注いで販売する場合には酒類販売許可は不要
  • 未開封の缶や瓶のお酒を販売する場合に期限付酒類小売業免許が必要
  • 期限付酒類小売業免許は酒類免許を持っている人しか取れない