
酒類販売管理者の変更の手続きってどうするの?


管理者の氏名や住所が変わった場合も変更届は必要?
このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
こうした疑問を解決するために、本記事では酒類販売管理者の変更届の必要性、届出の手順、注意点までわかりやすく解説 します。
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酒類販売管理者の変更届が必要な場合と不要な場合

酒類販売管理者に変更があった場合には、管轄の税務署に変更届を提出しなければなりません。
ただし、全ての変更に対して変更届が必要というわけではなく、不要のケースもあります。
そこで、以下では酒類販売管理者の変更届の提出が必要な場合と不要な場合について解説します。
酒類販売管理者の変更届が必要な場合
酒類販売管理者の変更届が必要な場合は、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律によると以下の2点です。
- 新しく酒類販売管理者を選任した場合
- 酒類販売管理者を解任した場合
酒類販売管理者の変更届が不要な場合
一方で、以下のような場合には酒類販売管理者の変更届は不要です。
- 酒類販売管理者の氏名が変わった場合
- 酒類販売管理者の住所が変わった場合
酒類販売管理者変更届の書き方と提出方法
酒類販売管理者を変更する場合には、新しい酒類販売管理者の選任届と旧酒類販売管理者の解任届を提出しなければなりません。
しかし、酒類販売管理者の選任及び解任を同日付で行った場合には、酒類販売管理者選任(解任)届出書を1枚提出すれば大丈夫です。
酒類販売管理者の変更届の書式に関しては、国税庁の「酒類販売管理者選任(解任)届出書」をご活用ください。
酒類販売管理者選任(解任)届出書の書き方
以下では、酒類販売管理者の選任と解任を同日付で行った場合の酒類販売管理者選任(解任)届出書の書き方について解説します。
なお、選任と解任を別の日に行った場合に、選任届と解任届を別々に作成して提出しなければいけませんので注意してください。

届出者の住所・氏名
個人の場合には個人の住所と名前、法人の場合には法人の本店所在地と法人名を記載します。
①販売場の名称及び所在地
酒類販売免許で申請している販売場の地番を記載します。住所ではない点に注意しましょう。
もし、申請した販売場の地番がわからない場合には酒類販売許可証に記載されているので確認してください。
②酒類販売管理者の氏名、住所及び生年月日
新しく酒類販売管理者になる方と、管理者を退任する方の住所氏名生年月日を記載します。
もし、管理者の選任だけの場合には、「解任した酒類販売管理者」の記載は不要です。
一方で、管理者の解任だけの場合には、「選任した酒類販売管理者」不要です。
③酒類販売管理者の役職名等
選任した酒類販売管理者と解任した酒類販売管理者の役職を記載します。
具体的には、代表取締役や役員、店長、社員などを記載すれば問題ありません。
④酒類販売管理者の選任(解任)年月日
選任と解任を同日付で行う場合には両方にチェックを入れ、選任及び解任日を記載します。
選任と解任の日が別の場合には、どちらを選択して日付けを記入してください。
⑤酒類販売管理研修の受講年月日及び研修実施団体の名称
新しく選任する酒類販売管理者が研修を受講した日付と研修実施団体の名称を記載します。
解任届のみの場合にはこの欄の記載は不要です。
⑥雇用期間
新しく選任する酒類販売管理者の雇用期間を記載します。
雇用期間の定めがない場合には期間の末日の記載は不要です。
解任届のみの場合にはこの欄の記載は不要です。
⑦従事させる業務内容
新しく選任する酒類販売管理者に従事される業務内容を記載します。
基本的には「店舗の運営・管理・従業員への指導」などと記載すれば問題ありません。
解任届のみの場合にはこの欄の記載は不要です。
⑧解任の理由
旧酒類販売管理者の解任理由を記載します。
「酒類販売管理者が退職するため」や「人事異動に伴い、酒類販売管理者の業務を継続できなくなったため」などを記載すれば大丈夫です。
また、選任届のみの場合にはこの欄の記載は不要です。
酒類販売管理者変更届の提出方法
- 提出期限:選任(解任)したときから2週間以内
- 提出先:販売場管轄の税務署
- 提出方法:e-Tax、持参、送付
- 添付書類:酒類販売管理研修の修了証のコピー
酒類販売管理者の変更は届の提出は、直接税務署に持参しても、郵送で送っても問題ありません。
また、e-Taxで届出書を提出することも可能です。(詳しくはe-Taxホームページの「e-Taxソフトについて」をご確認ください。)
一方で、注意点としては酒類販売管者研修を受講しなければ、酒類販売管理者にはなれない点です。
そのため、酒類販売管理者変更届と合わせて、新任の酒類販売管理者の研修の修了証のコピーを提出する必要があります。
酒類販売管理者の変更届に関する重要ポイント

酒類販売管理者を変更する際は、単に届出を提出するだけではなく、いくつかの重要な注意点を押さえておく必要があります。
例えば、選任できる人の条件、届出の期限、罰則のリスク など、事前に知っておくべきポイントがあります。
ここでは、酒類販売管理者の変更届を提出する際に確認すべき5つの重要ポイント を解説します。
未成年者や酒税法違反歴がある人は管理者になれない
酒類販売管理者になれるのは、法律で定められた一定の条件を満たす人のみです。
以下のいずれかに該当する場合、酒類販売管理者として選任することはできません。
- 未成年者(20歳未満)
- 酒税法違反の経歴がある人
- 心身の故障により職務を適正に行えないとされる人
そのため、新たに酒類販売管理者になる人が上記に該当しないかと事前に確認するようにしましょう。
届出を怠ると罰則を受ける可能性がある
酒類販売管理者の変更については、2週間以内に変更届を提出しなければならないと法律で定められたいます。
そして、もし、変更届出を怠った場合には10万円以下の過料に処される可能性があります。(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律 第101条12項)
そのため、もし酒類販売管理者の変更があった場合には、必ず変更届を提出するようにしましょう。
酒類販売管理研修には有効期限がある
管理者としての職務を継続するためには、3年ごとに研修を受ける必要があります。
もし、受講期限を過ぎても研修を受けていない場合、注意や行政指導を受ける可能性があります。
そのため、前回受講から3年が経過する前に、酒類販売管理者講習を受講するようにしましょう。
酒類販売管理者はパートやアルバイトでもなれる
酒類販売管理者は、引き続き6か月以上継続して雇用される予定の従業員の中から選任することが定められています。
そのため、正社員に限らず、パート、アルバイト、契約社員でも管理者になることが可能 です。
詳しくは、国税庁「酒類販売管理者制度に関するQ&A」(PDF)の 問10 をご参照ください。
まとめ
この記事のまとめ
- 酒類販売管理者の選任・解任は変更届が必要
- 酒類販売管理者の氏名や住所変更は届出不要
- 変更届の提出期限は2週間以内
- 変更届の提出を怠ると10万円以下の過料に処される可能性
長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所