酒類販売免許の変更

酒類販売免許は名義変更できる?ケース別の必要な手続きを解説

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酒類販売免許の名義変更ってできるの?

そう考えている方は多いのではないでしょうか。

例えば、会社の代表が交代したり、事業を譲渡・売却したりする場合、免許の名義を変更すれば簡単に引き継げると思うかもしれません。

しかし、酒類販売免許は基本的に名義変更ができません。

では、代表者変更・M&A・法人成り・相続などの場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか?

この記事では、酒類販売免許の名義変更ができない理由と、状況別に必要な手続きをわかりやすく解説します。

この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。酒類免許専門の行政書士。酒類許可に関するメディアサイト「酒類許可ナビ」を運営しており、酒類免許の相談実績1000件以上。酒類許可の取得率100%。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]

酒類販売免許の名義変更はできない?

結論から言うと、酒類販売免許の「名義変更」はできません。

なぜなら、酒類販売免許は、「事業者本人」に対して与えられる免許であり、他の個人や法人へ譲渡・名義変更することは法律上認められていないからです。

例えば、普通自動車の運転免許を持っているAさんが車を売って運転する機会がなくなったから、車を持っているBさんの名義に変更することができないのと同じイメージです。

つまり、酒類販売免許は特定の能力や条件を満たした人に対して特別に与えられている免許であり、名義を変えて別の人が簡単につけるものではないというわけです。

名義が変わったケース別の必要な手続き

上記でも解説した通り、酒類販売免許の名義変更はできません。

しかし、代表者変更・事業譲渡・法人成り・相続など、名義変更が必要となるケースも考えられます。

ここでは、以下のような名義変更が必要となるケースに対して、それぞれどのような手続きを行えばいいのかについて解説します。

  • 法人の代表者が変わった場合
  • 個人から法人化(法人成り)した場合
  • 酒類販売事業の譲渡を行った場合
  • 酒類販売免許を持つ会社を買収した場合
  • 相続により酒類販売免許事業を引き継いだ場合

法人の代表者が変わった場合

必要な手続き

  • 税務署への移動申告書の提出

法人の代表取締役が変わった場合、名義変更は不要です。

なぜなら、あくまでも酒類販売免許の名義人は法人名だからです。

ただし、名義変更は不要ですが代表取締役の変更について「異動申告書」を提出しなけければなりません。

代表取締役の変更については「酒類販売免許の代表者変更手続き」の記事に詳しく解説しているのでご確認ください。

個人から法人化(法人成り)した場合

必要な手続き

  • 法人での新規免許取得
  • 個人の酒類販売免許の取消申請

個人事業主が法人化(法人成り)した場合、酒類販売免許をそのまま引き継ぐことはできません。

これは、酒類販売免許は「免許を受けた特定の者にのみ効力を持つ」ため、個人事業から法人へ自動的に継承されることはないからです。

そのため、法人として引き続き酒類販売業を行う場合は、新たに法人名義で免許を取得する必要があります。

また、法人成り後に法人が免許を受けずに酒類販売を行うと、無免許営業として処罰の対象となるため注意が必要です。(参照:国税庁 酒類販売業免許の手続きに関するQ&A)

さらに、酒類販売免許は同じ場所で複数の免許の申請ができないため、法人成りの際には個人の酒類販売免許の取消申請も合わせて行う必要があります。

ポイント

個人の酒類販売免許を法人名義に変更することは原則できません。但し、国税庁の法令解釈通達(酒税法第9条1項関係)によると例外的に一定の要件を引き継ぐことが認められています。ただし、これは名義変更ではなく、免許の引き継ぎが認められる特例的な対応である点に注意が必要です。

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酒類販売事業の譲渡・売却を行った場合

必要な手続き

  • 法人での新規免許取得(譲受法人)
  • 免許の取消申請(譲渡法人)

酒類販売免許は事業者ごとに付与されるため、事業を譲渡・売却しても免許をそのまま引き継ぐことはできません。

つまり、事業の買い手が引き続き酒類販売を行う場合は、新たに酒類販売免許を取得する必要があります。

もし、酒類販売業免許を取得せずにお酒を販売した場合には、無免許販売となるので注意が必要です。

因みに、買い手側企業が既に酒類販売業免許を持っている状態で譲渡・売却があった場合には、保有している酒類販売業免許を引き続き使う事ができるので、新規免許の申請は不要です。

相続により酒類販売免許事業を引き継いだ場合

必要な手続き

  • 相続の申告手続き(個人の場合)
  • 異動申告書で代表取締役や役員の変更(法人の場合)

酒類販売免許は、「事業者本人」に対して与えられる免許でなので、他の個人や法人へ譲渡・名義変更することは基本的には認められていません。

しかし、個人が持っていた酒類販売業免許については、相続という形式で例外的に認められているといえます。(参照:国税庁 酒類販売業免許の相続手続きに関するQ&A)

そのため、相続の申告手続きを行なうことで、被相続人が取得していた酒類販売業免許を継続して使用することが可能です。

相続の申告手続きについて詳しくは「国税庁|酒類等製造業又は酒類販売業の相続の申告手続き」をご確認ください。

一方で、法人が酒類販売業免許を持っていて、その法人の株式を相続した場合には、名義変更は不要ですが代表取締役の変更について「異動申告書」を提出しなけければなりません。

異動申告書を提出し、代表取締役や役員変更を行うことで酒類販売業免許を継続して使うことができます。

代表取締役の変更については「酒類販売免許の代表者変更手続き」の記事に詳しく解説しているのでご確認ください。

まとめ

この記事のまとめ

  • 酒類販売免許は名義変更や譲渡はできない
  • 法人の代表が変わった場合には異動申告書を提出
  • 法人成りする場合には新規で免許取得
  • 酒類販売事業を買い取っても酒類販売免許はついてこない
  • 例外的に個人の相続の場合は免許を引き継ぐことができる

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