酒販免許の基礎知識

お酒のテイクアウトに必要な許可とは?飲食店で酒類販売免許は取れる?

2025年5月18日

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お酒をテイクアウト販売したいけど、飲食店営業許可だけでいいのか迷っていませんか?

実は、飲食店営業許可と酒類販売業免許は、扱えるお酒の範囲や販売方法が法律上まったく異なります。

特に、テイクアウトやデリバリーでお酒を販売する場合には、飲食店だけでなく酒類小売業免許が必要となるため注意が必要です。

この記事では、飲食店がテイクアウトでお酒を販売するために必要な許可や免許の違いから、取得方法、店舗のレイアウト事例まで、初心者にもわかりやすく解説します。

最後まで読むことで、無駄な手戻りやトラブルを防ぎ、スムーズに許可を取得するためのポイントがしっかり理解できます。

この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。酒類免許専門の行政書士。酒類許可に関するメディアサイト「酒類許可ナビ」を運営しており、酒類免許の相談実績1000件以上。酒類許可の取得率100%。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]

お酒の売るのに飲食店営業許可だけでは足りない?

飲食業許可があれば、店内で飲むお酒を売ることはできますが、テイクアウトやデリバリーでお酒を売るには足りません。

これは、店内で飲むお酒を売る場合には「お酒の提供」、持ち帰り用や配達用にお酒を売る場合には「酒類の販売」と扱われ、法律上の扱いが異なるからです。

そのため、お酒をテイクアウトやデリバリーする場合には「酒類小売業免許」が必要となります。

お酒を提供する場合は「飲食店営業許可」

店内で食事と一緒にお酒を提供する場合には、飲食業許可が必要です。

ここでいう、「お酒の提供」とは、店員がその場でお酒の栓を開け、グラスに注ぎ、お客さまがその場で飲む形で出すことをいいます。

逆に、未開封のワインやビール缶などをそのままお客様に出すことは飲食業許可ではできません。

恐らく、これまでいった飲食店でお酒を注文した際に、ほとんどの場合で栓を開けた状態やグラスに注がれた状態でお酒を提供されたのではないでしょうか?

これは、飲食店営業許可では未開封のお酒を販売できない決まりがあるためです。

お酒を販売する場合は「酒類販売業免許」

一方で、飲食店が店外で飲む用としてお酒を販売する場合には、酒類販売免許が必要です。

ここでいう、「お酒の販売」とは、未開封のお酒をボトルや缶のまま、お客さまに持ち帰ってもらうために渡すことを指します。

例えば、飲食店の未開封のワインを家で楽しむためにボトルのまま持ち帰るような場合には、お酒の販売に該当するため飲食業許可だけでは足りません。

飲食店は原則、酒類販売業免許が取れないって本当?

上記でも解説した通り、飲食店でお酒をテイクアウトやデリバリーで販売する場合、酒類販売免許を取得しなければなりません。

そのため、弊所にも「テイクアウトでお酒を販売したい」「デリバリーでもお酒を届けたい」といった相談がよくあります。

ただし、ここで気をつけたいのが、飲食店と同じ場所では、原則として酒類販売業免許を取得できないという点です。

というのも、飲食店(酒場、料理店など接客業)と同一の場所は酒類販売免許の取得にふさわしくないとされているからです。(国税庁|法令解釈-第10条 製造免許等の要件)

なぜ飲食店で酒類販売免許は取れない?

飲食店が原則的に、酒類販売免許の取得を認められているな理由は、飲食店間に不公平が生じる恐れがあるからです。

お酒は、製造業者→卸売業者→小売業者(酒屋)→一般消費者という流れで届きます。

そして、飲食店はこの中で、酒屋からお酒を購入する「一般消費者」の立場です。

これが、もし飲食店が酒類販売免許を取得すると、立場が酒屋と同じ「酒類小売業者」になります。

その結果、飲食店は卸売業者から安くお酒を仕入れることができるようになります。

これを店内料飲用のお酒として提供すれば、周辺の飲食店よりも安くお酒を出せるようになってしまい、公平な競争が保てなくなります。

そうした価格競争による周辺飲食店への悪影響を避けるため、飲食店での酒類販売免許の取得を原則認めていないのです。

ただし例外として取れる場合もある

飲食店と同じ場所では、原則、酒類販売業免許を取得することはできませんが、実は例外もあります。

一定の条件を満たすことで、飲食店でも酒類販売免許を取得できるケースがあるのです。

この条件については細かく説明する必要があるので、後程詳しく解説します。

お酒のテイクアウトに必要な酒類販売業免許の種類と選び方

テイクアウトやデリバリーでお酒を販売する場合、必要になるのは「酒類小売業免許」です。

この免許には主に2種類あり、販売方法に合わせて選ぶ必要があります。

店舗でのテイクアウトやデリバリーのように、対面で販売する場合は「一般酒類小売業免許」が必要です。

一方、ネットショップなど通信販売を行う場合には「通信販売酒類小売業免許」を取得することになります。

どちらか1つの免許を選択して取得することも可能ですし、両方一緒に取得することも可能です。

テイクアウト・デリバリーだけなら「一般酒類小売業免許」

お酒をテイクアウトやデリバリーで販売する場合には、「一般酒類小売業免許」が必要です。

この免許を取得すれば、店舗でお客さまに直接お酒を販売したり、デリバリーサービスを使って届けたりすることが可能になります。

ただし、この免許では、ネット通販などの通信販売はできません。

あくまで、店頭販売や配達など、対面取引が前提となっている点に注意しましょう。

詳しくは「一般酒類小売業免許とは?|難易度や条件~取り方や費用まで解説」の記事で解説しています。

ネット通販もするなら「通信販売酒類小売業免許」が必要

お酒をネットショップや電話注文などで販売し、全国のお客さまに届ける場合には、「通信販売酒類小売業免許」が必要です。

この免許は、インターネットなどを通じた非対面販売専が前提の取引で、店頭販売やデリバリーには使えません。

また、この免許では、販売できるお酒の種類にも制限があります。

そのため、自社で取扱いたいお酒を販売できるかどうかを事前に確認しておくようにしましょう。

詳しくは「通信販売酒類小売業免許とは?|難易度や条件~取り方や費用まで解説」の記事で解説しています。

飲食店が酒類販売業免許を取得するための要件

原則、酒類販売免許を取得することができない飲食店では、通常の酒類販売免許の要件に加え、以下の要件を満たす必要があります。

飲食店の免許取得要件

  • 帳簿を分ける
  • 会計システムを分ける
  • 保管場所を分ける
  • 仕入先を分ける
  • エリアを分ける

①帳簿を分ける

飲食店が酒類販売業免許を取得する場合、まず求められるのが、飲食用のお酒と販売用のお酒の帳簿を別々に管理することです。

これは、飲食業として提供するお酒と、持ち帰り用に販売するお酒の取引を明確に分け、税務署から見ても両方の事業が混ざらないようにするためです。

たとえば、飲食スペースで提供するお酒は「飲食業の帳簿」、テイクアウトやデリバリーで販売するお酒は「酒類販売業の帳簿」と、それぞれ独立した記録が必要になります。

②会計システムを分ける

酒類販売業免許を取得するには、飲食代と酒類販売代の会計を明確に分けることも求められます。

同じ会計システムで飲食代と販売用を区別なく精算することは認められていません。

例えば、飲食スペースでは飲食代のみを会計し、テイクアウト用のお酒を購入した場合は、別のレジや会計場所を設けて、分けて精算する必要があります。

これにより、飲食業の売上と酒類販売業の売上が混ざらないよう管理することができ、税務署からも適切な管理ができているか判断されます。

③保管場所を分ける

飲食店が酒類販売業免許を取得する場合、飲食用の酒類小売用のお酒を物理的に別々の場所に保管する必要があります。

同じ棚や冷蔵庫でまとめて保管することは認められず、明確に区分されたスペースを確保しなければなりません。

例えば、飲食用のお酒は店内のキッチンや冷蔵庫、販売用のお酒は商品棚や倉庫に置く、といった工夫が必要です。

誰が見ても一目で区別できる状態を維持することで、販売用のお酒を飲食用として勝手に提供するリスクを防ぐことができます。

この管理が曖昧だと、免許の審査や営業後のチェックで指摘を受ける原因になるため、注意してください。

④仕入先を分ける

飲食店が酒類販売業免許を取得する場合、飲食用のお酒と販売用のお酒では仕入先も分ける必要があります。

これは、飲食店で使用するお酒は酒類小売店から仕入れるのに対し、小売用のお酒は酒店として仕入れることになるので、酒類卸売業者から仕入れる必要があります。

因みに、酒類小売業免許を取得した場合、酒類小売業者から仕入れることができない点は注意が必要です。

また、酒類小売業免許と酒類卸売業免許の両方を持っている酒類販売業者のような、同じ仕入先から飲食用のお酒と小売用のお酒を仕入れる場合にはそれぞれ別の伝票・発注で管理しなければなりません。

⑤エリアを分ける

飲食店が酒類販売業免許を取得するには、飲食スペースと酒類販売スペースを物理的に分けることです。

具体的には、誰が見ても明確に飲食スペースと酒類小売スペースが分かれている必要があります。

そして、この区分が曖昧だと、飲食業としての営業と販売業としての営業が混在してしまい、免許取得時の審査で不許可となる可能性もあります。

どのようにエリアを分けるのかの具体例については、次のレイアウト事例で詳しく解説します。

飲食店で酒類販売免許を取得したレイアウト事例

飲食店で酒類販売免許を取得する際には、飲食スペースと酒類販売スペースをしっかり区切ることが求められます。

ただし、どの程度の区分が必要かは、管轄の税務署によって判断が異なることもあるため、事前に税務署や専門の行政書士に相談することをおすすめします。

ここでは、すでに飲食店営業許可を取得している店舗が、実際に酒類販売免許を取得したレイアウト事例をご紹介します。

具体的な分け方や工夫のポイントなどをぜひ参考にしてください。

①壁で仕切るパターン

飲食スペースと酒類販売スペースを明確に分ける方法として、最も多く使われるのが「壁で仕切った個室」を設ける方法です。

単なるパーテーションや棚では認められないケースも多いため、四方を壁で囲んだ独立した空間が理想です。

例えば、すでに店内に個室がある場合は、その個室を酒類販売専用スペースに転用するケースも多く見られます。

また、店舗の改装時にあわせて、飲食スペースとは別に壁で仕切った小売専用スペースを新たに設ける方法もあります。

具体的なレイアウト基準や求められる構造は、管轄の税務署によって若干異なることもあるため、事前に相談してから進めるようにしましょう。

②フロアが分かれてるパターン

店舗が複数階に分かれている場合は、階ごとに用途を分けることで、飲食スペースと酒類販売スペースを明確に区切る方法があります。

たとえば、1階を飲食店として営業し、2階部分を酒類販売専用のスペースとするケースです。

実際には、これまで事務所や倉庫として使用していた2階部分を酒類販売スペースに転用するという例がよくあります。

この場合、2階は飲食営業とは完全に独立した小売専用エリアとなり、要件を満たしやすいです。

ただし、1階の飲食エリアでは販売用のお酒を展示・販売することはできませんので、陳列や在庫の管理場所もすべて2階に限定する必要があります。

③イートインパターン

こちらは、テイクアウト専門店にイートインスペースを併設するパターンです。

最近では、テイクアウトがメインの店舗でも、店内で軽く飲食ができる小さなイートインスペースを設けるケースが増えており、この場合、たとえ主な営業がテイクアウトでも「飲食店営業許可」が必要になるケースがほとんどです。

イートインスペースを設ける場合でも、酒類のテイクアウト販売を行う場合には、基本的に酒類販売免許が必要になります。

ただし、飲食スペースと酒類販売スペースについては、壁などで明確に区切る必要はなく、コンビニのように、店内で購入したお酒をイートインスペースで開封して飲むようなスタイルが一般的です。

このような形であれば、飲食業としての営業と酒類小売業としての販売が併存でき、角打ちのような運用も可能になります。

ただし、角打ちについては注意点も多いので角打ちを想定する場合には「角打ちに必要な免許とは?営業形態ごとの許可要件と注意点を徹底解説」記事を参考にしてください。

④試飲スペースパターン

こちらは、酒類販売店内に試飲スペースを設けるパターンです。酒類小売業免許を取得しているお店が、購入前にお酒を試してもらえるように設けるもので、近年、ワインショップや地酒専門店などでも見かけるスタイルです。

試飲スペースはあくまで「販売促進」のためのもので、店内で本格的に飲食を提供する場合とは異なり、飲食店営業許可までは不要とされるケースが多いです。

ただし、提供の仕方や運営の形によっては、飲食業に該当すると判断されることもあるため注意が必要です。

試飲スペースを設ける場合でも、酒類の提供はあくまで販売を目的としたサービスであることを明確にし、必要に応じて税務署と事前に相談しておくと安心です。

また、スペースの分け方も、販売エリアとの区分けが曖昧にならないよう工夫しましょう。

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酒類販売免許の申請から取得までの流れ

飲食店が酒類販売免許を取得する場合には、以下のような流れで進めます。

酒類販売免許取得の流れ

  • 酒類販売免許の要件を確認する
  • 営業所を管轄する税務署に相談に行く
  • 酒類販売管理研修を受講する
  • 酒類販売免許の必要書類を収集する
  • 酒類販売免許の申請書を作成する
  • 申請書を税務署に提出する
  • 登録免許税を納める
  • 酒類販売免許の許可証を受取る

まず、酒類販売免許を取得する際にやるべきことは、酒類販売免許の要件確認と、税務署への相談です。

酒類販売免許は誰でも簡単に取得できるわけではなく、一定の要件を満たさなければなりません。

そのため、店舗のレイアウトや管理体制が免許取得に適しているか事前に確認する必要があります。

次は、必要書類の収集や作成、酒類販売管理研修の受講を行います。

申請手続きについては、申請者や販売場所の状況、管轄地域によって異なるため、税務署に相談するタイミングでしっかりと確認しておくようにしましょう。

最後は、許可の連絡が入り、登録免許税を納めたら酒類販売免許の取得が完了です。

特に税務署への事前の相談が重要

飲食店で酒類販売免許の申請をスムーズに進めるためには、最初に税務署への事前相談を行うことがとても重要です。

特に飲食店が申請する場合、店舗の構造や管理体制が免許基準に適合しているかは、管轄の税務署によって判断が異なるからです。

そのため、いきなり申請書を提出するのではなく、まずは税務署に相談し、レイアウトや管理方法について確認を受けることで、後の手戻りや審査時の指摘を防ぐことができます。

また、事前相談では、必要書類や注意点についても詳しく教えてもらえるため、申請の準備をスムーズに進めやすくなります。

飲食店が酒類販免許を取得するなら行政書士がおすすめ

飲食店が酒類販売免許を取得するなら行政書士がおすすめ

特に飲食店が酒類販売免許を取得する場合、通常の小売店に比べて注意すべき点が多く、審査も厳しくなる傾向があります。

帳簿や会計、保管場所の管理方法に加え、店内レイアウトの区分など、細かい部分で税務署からの指摘が入りやすいため、専門知識のないまま進めると、何度もやり直しになるケースも少なくありません。

そのため、最初から酒類販売免許に詳しい行政書士に相談し、申請準備から税務署とのやり取りまでサポートを受けることで、無駄な手間や時間を省くことができます。

特に、飲食店特有の免許取得ポイントを熟知している行政書士であれば、店舗ごとの状況に合わせた実践的なアドバイスも期待できるでしょう。

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まとめ

この記事のまとめ

  • お酒の提供は飲食業許可でできる
  • お酒の販売は飲食業の許可ではできない
  • 飲食店では原則酒類販売免許は取れない
  • 例外的に飲食店でも酒類販売免許を取れる