酒類販売免許の取り方

酒類販売免許の要件とは?初心者向けに4つの条件をわかりやすく解説

\申請代行109,800円~/

酒類許可の取得代行はこちら

※スマホで簡単申込・全国対応可能!

お酒を販売するためには「酒類販売免許」を取得する必要があります。

しかし、酒税法(第10条)で定められた4つの要件をすべて満たさなければ、免許を取得することはできません。

また、免許の種類によって要件が異なる部分もあるため、自社に必要な免許がどれなのかを正しく理解することが重要です。

この記事では、酒類販売免許の取得に必要な4つの要件を初心者にもわかりやすく解説します。

この記事を書いた人

長島 雄太

NAGASHIMA行政書士事務所

NAGASHIMA行政書士代表。酒類免許専門の行政書士。酒類許可に関するメディアサイト「酒類許可ナビ」を運営しており、酒類免許の相談実績1000件以上。酒類許可の取得率100%。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]

酒類販売免許の要件4つ

酒類販売免許を取得するには、以下の4つの要件を全て満たす必要があります。

酒類販売免許の4つの要件

  • 人的要件(免許を取れる人の条件)
  • 場所的要件(お酒を売る場所の条件)
  • 経営基礎要件(安定した経営ができるか)
  • 需給調整要件(市場のバランスを崩さないか)

そして、これらの要件を1つでも満たさない場合には、酒類販売免許の取得はできません。

そのため、免許の申請をする前に必ず確認するようにしましょう。

免許の種類によって要件が異なる部分がある

酒類販売免許には、一般酒類小売業免許や通信販売免許など複数の種類があり、要件が共通する部分と異なる部分があります。

例えば、人的要件や場所的要件に関しては基本的にどの免許にも共通していますが、経営基礎要件や需給調整要件に関しては免許の種類によって異なる要件が設けられています。

そのため、自社が取得する酒類販売免許の種類をしっかりと把握し、その免許にあった要件を確認しなければなりません。

どの免許を取得すればいいのかわからない方は「酒類販売免許の種類や特徴をわかりやすく解説!どの免許を取るべき?」の記事をご確認ください。

酒類販売免許の人的要件とは?

人的要件とは、わかりやすくいうと酒類販売免許を取得できる人や会社の条件の事です。

具体的には以下の人的要件に該当する場合には、酒類販売免許を取得できません。

人的要件

  • 過去に酒類販売やアルコール事業の免許を取り消されたことがある人
  • 2年以内に税金の滞納処分を受けたことがある人
  • 過去3年以内に税金や酒類販売に関する法律違反で罰金を受けた人
  • 20歳未満にお酒を提供したり、暴力行為で罰金を受けた人
  • 過去3年以内に禁錮以上の刑を受けた人

過去に酒類販売やアルコール事業の免許を取り消されたことがある人

過去に酒類販売免許を取り消された人は、取消日から3年間は新しい免許を取得できません。

また、その会社の役員だった人も、同じく3年間は免許の取得はできません。

なぜなら、違反をして免許を取り消されたのに、すぐに再取得できるのでは意味がないからです。

そのため、一定期間のペナルティを設け、適正な事業運営ができるかを見極める仕組みになっています。

因みに、会社の役員も対象になるのは、経営に関与していた責任があるからです。

2年以内に税金の滞納処分を受けたことがある人

過去2年以内に税金(国税や地方税)を滞納し、強制的に徴収された人は、酒類販売免許を取得できません。

なぜなら、酒類販売には酒税が関係し、税金を滞納し、強制徴収された人が免許を取れると、また未納を繰り返すリスクがあるからです。

ただし、あくまでも滞納処分を受けた場合であり、滞納したことがあってもその後に支払っているのであれば問題ありません。

過去3年以内に税金や酒類販売に関する法律違反で罰金を受けた人

過去3年以内に税金や酒類販売に関する法律違反で罰金を受けた人は、酒類販売免許を取得できません。

なぜなら、税金の不正や酒類販売のルール違反をした人が、すぐに免許を取得できると、再び違反を繰り返すリスクがあるからです。

そのため、一定期間(3年間)は免許の申請ができないルールになっています。

20歳未満にお酒を提供したり、暴力行為で罰金を受けた人

過去3年以内に「20歳未満にお酒を提供した」「暴力行為で罰金を受けた」人は、酒類販売免許を取得できません。

なぜなら、未成年への酒類提供は、法律で厳しく禁止されており、社会的責任が問われる行為だからです。

また、暴力行為(傷害・暴行・脅迫など)で罰金を受けた人が酒類を販売すると、トラブルにつながる可能性があるため、3年間は免許を取得できません。

過去3年以内に禁錮以上の刑を受けた人

過去3年以内に禁錮以上の刑(禁錮・懲役)を受けた人は、酒類販売免許を取得できません。

なぜなら、お酒を売る仕事は法律やルールを守り、社会に悪い影響を与えないように正しく運営しなければならない仕事だからです。

もし、過去に犯罪をして刑務所に入った人がすぐに免許を取れると、またルールを破ってしまうかもしれません。

そうなると、お酒の販売がいい加減になり、社会に悪い影響を与える可能性があるため、免許の取得に制限が設けられています。

禁錮以上の刑とは、単なる罰金刑より重い刑罰であり、重大な違反を犯した証拠でもあります。

そのため、刑の執行が終わった日から3年間は免許の申請ができません。

酒類販売免許の場所的要件とは?

場所的要件とは、わかりやすくいうとお酒を売る場所の条件のことです。

お酒を販売するためには、適切な場所で営業しなければなりません。

もし、不適切な場所で販売すると、お酒の管理ができなくなったり、税金の取り締まりが難しくなったりするため、国がルールを決めています。

具体的には、以下のような場所ではお酒を販売する場所として免許の申請はできません。

場所的要件

  • 他の酒類販売店や飲食店と同じ場所
  • 他の店舗と明確に区切られていない場所

そのため、例えば、すでに酒屋やバー・レストランとして営業している場所や、コンビニや飲食店の一角を借りて、棚を置いてお酒を販売しようとしても、明確に区切られていない場合は免許が取れません。

因みに、お酒を販売する場所のことを「販売場」というのですが、販売場の詳しい要件については「酒類販売免許の販売場とは?営業所・事務所の要件をわかりやすく解説」の記事で詳しく解説しています。

酒類販売免許の経営基礎要件とは?

経営基礎要件とは、お酒を販売するために「安定した経営ができるか」を判断する条件のことです。

もし、経営が不安定な状態で免許を与えると、すぐに倒産したり、税金を払えなくなったりする可能性があるため、国がルールを定めています。

具体的には、以下のような場合に酒類販売免許を取得できません。

経営基礎要件

  • 破産していて、まだ復権していない場合
    ⇒過去に破産手続きをし、裁判所から復権を得ていない人は免許を取得できません。
  • 現在、税金を滞納している場合
    ⇒国税や地方税を滞納している人は、免許を取得できません。
  • 過去1年以内に銀行取引停止処分を受けている場合
    ⇒銀行との取引が停止されていると、経営の信用がないと判断され、免許を取得できません。
  • 経営状態が悪化している場合
    ⇒3期連続資本金の20%以上の赤字がある場合や債務超過の場合には、免許を取得できません。詳しくは「酒類販売免許は赤字や債務超過でも取れる?取れない場合の対策も解説!」の記事をご確認ください。
  • 酒税法などの法律違反で罰を受け、処分が完了していない場合
    ⇒酒税法違反などで通告処分を受け、まだ処分を終えていない人や、告発されている人は免許を取得できません。
  • お店の場所が法律や条例に違反している場合
    ⇒販売場の設置が建築基準法、都市計画法、農地法などの法律や条例に違反しており、移転や取り壊しを命じられている場合は免許を取得できません。
  • 酒類の販売知識や経営能力が十分にない場合
    ⇒お酒の販売に関する知識やお酒の事業を経営する能力が十分にないと判断された場合には免許を取得できません。
  • お酒を販売するための資金や設備、販売能力が不足している場合
    ⇒お酒を継続して販売するための資金や設備、販売能力がない場合は免許を取得できません。ただし、現時点で設備がなくても、免許取得までに確実に準備できると認められれば申請は可能です。

免許の種類によって異なる要件

上記の「⑦酒類の販売経験や経営経験などの十分な知識がない場合」と「⑧お酒を販売するための資金や設備が不足している場合」については、取得する免許によって要件が異なります。

それぞれの、免許別に満たさなければならない知識や経験は国税庁の法令解釈通達(酒税法第10条10号関係)によると以下となります。

免許の種類経験・能力の要件
一般酒類小売業免許経歴や経営能力等
①お酒の製造もしくは販売について3年以上の経営経験または従事経験
②調味食品(醤油やソース等)の販売について3年以上の経営経験または従事経験
③その他の業での経営経験+「酒類販売管理研修」の受講
資金や設備、販売能力等
①お酒を継続的に販売できる十分な資金と販売施設・設備を持っている
通信販売酒類小売業免許経歴や経営能力等
①適正に酒類の通信販売を行うため十分な知識
資金や設備、販売能力等
①お酒を継続的に販売できる十分な資金と販売施設・設備を持っている
②「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準」を満たしている
③酒類を購入する人が20歳未満でないことを確認するための方法を準備していること
全酒類卸売業免許経歴や経営能力等
①お酒の製造もしくは販売について5年以上の経営経験または10年以上の従事経験
②調味食品(醤油やソース等)の販売について10年以上のの経営経験または従事経験
資金や設備、販売能力等
①年平均販売見込数量は100キロリットル以上であること
②全酒類卸売業を経営するに十分な資金と販売施設・設備を持っていること
ビール卸売業免許経歴や経営能力等
①お酒の製造もしくは販売について5年以上の経営経験または10年以上の従事経験
②調味食品(醤油やソース等)の販売について10年以上のの経営経験または従事経験
資金や設備、販売能力等
①年平均販売見込数量は500キロリットル以上であること
②ビール卸売業を経営するに十分な資金と販売施設・設備を持っていること
輸出酒類卸売業免許経歴や経営能力等
①貿易事業の経営経験や輸出入業の従事経験
資金や設備、販売能力等
①お酒を継続的に輸入できる十分な資金と販売施設・設備を持っていること
②契約等により酒類を輸出することが確実と認められる。
輸入酒類卸売業免許経歴や経営能力等
①貿易事業の経営経験や輸出入業の従事経験
資金や設備、販売能力等
①お酒を継続的に輸入できる十分な資金と販売施設・設備を持っていること
②契約等により酒類を輸入することが確実と認められる。
洋酒卸売業免許経歴や経営能力等
①お酒の製造もしくは販売について3年以上の経営経験または従事経験
②調味食品(醤油やソース等)の販売について3年以上の経営経験または従事経験
③その他の業での経営経験+「酒類販売管理研修」の受講
〇資金や設備、販売能力等
①お酒を継続的に販売できる十分な資金と販売施設・設備を持っていること
自己商標卸売業免許経歴や経営能力等
①お酒の製造もしくは販売について3年以上の経営経験または従事経験
②調味食品(醤油やソース等)の販売について3年以上の経営経験または従事経験
③その他の業での経営経験+「酒類販売管理研修」の受講
〇資金や設備、販売能力等
①お酒を継続的に販売できる十分な資金と販売施設・設備を持っていること

因みに、「経歴及び経営能力等」についてはどれか1つ満たせば問題ありません。

例えば、一般酒類小売業免許を取得する場合、①や②の経験がなくても、これまでの事業経営経験と酒類販売管理や研修を受講することで「経験・能力の要件」をクリアすることができます。

また、上記で記載している「お酒の製造もしくは販売について3年以上の経営経験」とは、スーパーやドラッグストア、コンビニなどでのアルバイト経験も含まれます。

実務メモ

経験・能力の要件を求められるのは、個人の場合は申請者、法人の場合には役員です。また、役員の中の誰か1人でも経験・能力の要件を満たしていれば問題ありません。

もし、経験・能力の要件を満たせない場合には、経験がある人を役員に追加するか、要件のハードルが低い免許を先に取得し、酒類販売の経験を積んでから免許を申請するケースが一般的です。

酒類販売免許の需給調整要件とは?

需給調整要件とは、新しい酒類の製造免許や販売免許を与えることで、市場のバランスが崩れ、酒類業界の経営が不安定になり、最終的に酒税の確保に影響を与えないかを判断する条件のことです。

国税庁の法令解釈通達(酒税法第10条11号関係)によると、具体的には、以下のような場合には需給調整要件を満たしていないと判断され、酒類販売免許の取得ができません。

需給調整要件

  • 販売先が原則としてその構成員に特定されている法人や団体
  • 酒場、旅館、料理店等の酒類を取り扱う接客業者

販売先が原則としてその構成員に特定されている法人や団体とは、例えば、会社が従業員向けにお酒を販売するために免許を取得しようとするケースです。

これを認めてしまうと、一般の消費者と不公平な取引環境が生まれたり、酒税の管理が難しくなる可能性があるため、原則として認められていません。

また、居酒屋やレストラン、旅館などの酒類を提供している接客業者が申請する場合にも、原則として酒類販売免許の取得は認められていません。

なぜなら、飲食店や旅館が「酒類小売業免許」を取得すると、お店で提供するお酒(飲食用)と、小売販売するお酒(持ち帰り用)の区別があいまいになる可能性があるからです。

例えば、飲食店等で小売免許の取得を認めると、本来なら店内で提供するべきお酒を、小売扱いとして販売し、税負担を軽減するような不正行為が起こる恐れがあります。

そのため、基本的には飲食店等のお店で酒類小売業免許の取得は認められていません。

ただし、例外的に飲食店等でも免許を取得できるケースもあるので、免許を取得したい場合には税務署や行政書士に相談しましょう。

行政書士
行政書士

免許の種類によって異なる要件

上記で紹介した需給調整要件以外に、以下の免許については別途要件が設けられています。

免許の種類特有の需給調整要件
通信販売酒類小売業免許〇販売しようとするお酒が①か②に該当する場合のみ認められる
①国産酒類のうち、次のいずれかに該当するお酒
・小規模な酒類メーカー(年間3,000キロリットル未満の生産量)が製造・販売する酒類
・地方特産品を原料とし、他のメーカーに委託して製造された酒類(ただし、委託者ごとの年間生産量が3,000キロリットル未満のもの)
②輸入酒類
全酒類卸売業免許①毎年度の免許枠内で公開抽選により審査の順番を決定し、順番に免許要件を審査した上で、免許拒否要件に該当しない場合
ビール卸売業免許①毎年度の免許枠内で公開抽選により審査の順番を決定し、順番に免許要件を審査した上で、免許拒否要件に該当しない場合

通信販売酒類小売業免許は、需給調整要件により国内の大手メーカーの酒類が販売できません。

なぜなら、大手メーカーの酒類販売を無制限に認めると、資本力のある大企業が市場を独占し、小規模な生産者や地域の特産酒を扱う事業者が不利になり、市場のバランスが崩れてしまう可能性があるからです。

また、全酒類卸売業免許やビール卸売業免許の発行を無制限にすると、酒類市場の競争が過熱し、既存の卸売業者の経営が不安定になり、市場が混乱する可能性があります。

そのため、需給調整要件によって全酒類卸売業免許やビール卸売業免許は枠が設けられており、毎年度の枠内で抽選方式が採用されています。

まとめ

この記事のまとめ

  • 人的・場所的・経営基礎・需給調整を全て満たす必要がある
  • 免許取消歴や税金滞納、法律違反の罰則があると一定期間取得できない
  • 他の酒類販売店や飲食店と区別されていない場所では取得不可
  • 酒類販売経験がなくても免許を取得できる可能性はある
  • 通信販売免許では大手メーカーのお酒は販売できない