
エアコンを回収したいけれど、「産業廃棄物収集運搬業許可があれば家庭のエアコンも運べるのか」と疑問に思う方も多いです。
不用品回収業者や引越業者、便利屋にとっても、無許可営業にならないか気になるところです。
エアコンの回収に必要な許可は、中古品か廃棄物か、家庭と事業所のどちらから排出されるかによって異なります。
この記事では、エアコン回収に必要な許可の違いや、産業廃棄物収集運搬業許可で家庭のエアコンを運搬できる特例について解説します。
許可品目や運搬地域、家電リサイクル法などの注意点も紹介するので、エアコン回収事業を行う際の参考にしてください。
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この記事を書いた人
NAGASHIMA行政書士代表。日本行政書士連合会 第20260604号。産廃業に強い行政書士。産廃業の許可に関するメディアサイト「産廃業許可ナビ」を運営しており、産廃業許可の取得率100%。詳しいプロフィールはこちら → [運営者情報]
エアコンの回収に産業廃棄物収集運搬業許可は必要?
エアコンの回収に必要な許可は、中古品か廃棄物か、家庭と事業所のどちらから排出されるかによって異なります。
具体的には、次のとおりです。
| 排出元 | 回収するケース | 必要な許可 |
|---|---|---|
| 事業所(会社・店舗など) | 廃棄するエアコンを回収 | 原則として産業廃棄物収集運搬業許可 |
| 一般家庭 | 廃棄するエアコンを回収 | 原則として一般廃棄物収集運搬業許可 |
| 家庭・事業所 | 中古品として買い取る | 原則として古物商許可 |
| 家庭・事業所 | 中古品として無償で譲り受ける | 原則として許可不要 |
事業所からの廃エアコン回収には産業廃棄物収集運搬業許可が必要
会社や店舗から廃棄されるエアコンを回収・運搬するには、原則として産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。
事業所から排出される廃エアコンは、産業廃棄物に該当するためです。
たとえば、事務所の移転や店舗の閉鎖に伴い、不要になったエアコンを回収する場合が該当します。
なお、家庭用として販売されたエアコンでも、事業所から廃棄される場合は、原則として産業廃棄物に該当します。
家庭からの廃エアコン回収には一般廃棄物収集運搬業許可が必要
一般家庭から廃棄物に該当するエアコンを回収・運搬するには、一般廃棄物収集運搬業許可が必要です。
家庭から排出される廃エアコンは、一般廃棄物に該当するためです。
そのため、不用品回収業者や便利屋が、産業廃棄物収集運搬業許可や古物商許可を持っていたとしても回収・運搬できない点は注意が必要です。
ただし、家電リサイクル法では、家電小売業者による回収などについて許可の特例が設けられています。
中古エアコンの買取りには原則として古物商許可が必要
中古エアコンを買い取って再販売する場合は、原則として古物商許可が必要です。
再使用を目的として適正に買い取るエアコンは、廃棄物に該当しないため、廃棄物収集運搬業許可は必要ありません。
ただし、買取りという名目であっても、必ずしも中古品として扱われるわけではありません。
環境省の通知「使用済家電製品の廃棄物該当性の判断について」では、年式が古い、故障しているなど、中古品としての市場価値がないエアコンは、廃棄物と判断して差し支えないとされています。
また、買取代金よりも回収費用や運賃が高く、売主が実質的に費用を負担する場合も、廃棄物に該当する可能性があります。
廃棄物に該当する場合は、古物商許可だけでは回収できず、必要な廃棄物収集運搬業許可なしに運搬すると、無許可運搬に該当するおそれがあります。
中古エアコンを無償で譲り受ける場合は原則として許可不要
中古エアコンを再使用する目的で無償で譲り受ける場合は、原則として古物商許可や廃棄物収集運搬業許可は不要です。
無償で譲り受ける行為は買取りではないので古物商許可の対象とならず、廃棄物に該当しない中古品であれば、廃棄物収集運搬業許可も必要ないためです。
ただし、無料で引き取ったエアコンが必ず中古品として扱われるわけではありません。
環境省の通知では、次のような場合は廃棄物と判断して差し支えないとされています。
| 判断材料 | 具体例 |
|---|---|
| 中古品としての市場価値がない | 年式が古い、通電しない、破損している、リコール対象 |
| 再使用に適さない回収方法 | 雨天時に幌のないトラックで運搬する |
| 再使用に適さない保管方法 | 屋外で雨ざらしにする、乱雑に積み上げる |
| 不適切な解体・処分 | 必要な措置を講じずに分解・破壊する |
廃棄物に該当するかは、エアコンの状態や市場価値、回収後の取扱いなどを総合的に判断します。
産業廃棄物収集運搬業許可で家庭のエアコンを運搬できる特例
家電リサイクル法では、家電小売業者が自らエアコンを回収する場合や、小売業者から委託を受けた許可業者が運搬する場合に特例が設けられています。
そのため、一定の条件を満たせば、産業廃棄物収集運搬業許可で家庭から排出されたエアコンを運搬することも可能です。
家電小売業者が自ら回収する場合は許可不要
家電小売業者が家電リサイクル法に基づいてエアコンを自ら回収・運搬する場合は、一般廃棄物収集運搬業許可や産業廃棄物収集運搬業許可は不要です。
家電リサイクル法では、家電小売業者は次の場合に、原則として廃エアコンを引き取る義務があります。
- 過去に自社で販売したエアコンの引取りを求められた場合
- 新しいエアコンの販売に伴い古いエアコンの引取りを求められた場合
また、引取義務のないエアコンについても、小売業者が自主的に引き取ることは認められています。
ただし、引き取った廃エアコンは、原則としてメーカーの指定引取場所へ引渡す必要があります。
なお、単にエアコンの取外し工事を請け負っているだけでは、家電小売業者に認められた特例は適用されません。
小売業者から委託された場合は産業廃棄物収集運搬業許可で運搬できる場合がある
家電小売業者から事業所の廃エアコンの収集運搬を委託されている産業廃棄物収集運搬業者は、同じ小売業者から家庭の廃エアコンの運搬も委託された場合、一般廃棄物収集運搬業許可がなくても運搬できます。
これは、家電リサイクル法第50条第1項に定められた特例です(環境省「特定家庭用機器再商品化法の施行について」)。
産業廃棄物収集運搬業許可だけで運搬できるエアコンを、委託内容ごとに整理すると次のとおりです。
| 委託・依頼の内容 | 運搬できる廃エアコン |
|---|---|
| 同じ小売業者から事業所と家庭の両方の運搬を委託される | 事業所・家庭の両方可 |
| 小売業者から事業所の運搬だけを委託される | 事業所のみ可 |
| 小売業者から家庭の運搬だけを委託される | 運搬不可 |
| 家庭から直接回収を依頼される | 運搬不可 |
(※上記は産業廃棄物収集運搬業許可のみを保有している場合の取扱いです。許可品目や許可地域などの条件を満たしていることが前提となります。)
また、特例によって家庭の廃エアコンを運搬する場合は、一般廃棄物処理基準に従わなければなりません。
エアコンを産業廃棄物として運搬する際の注意点
エアコンを産業廃棄物として運搬する場合は、許可品目や収集運搬できる地域を確認する必要があります。
また、家庭用エアコンには家電リサイクル法、冷媒にフロン類を使用する業務用エアコンにはフロン排出抑制法に基づく廃棄時の規制が適用されます。
エアコンの運搬に必要な産業廃棄物の許可品目
エアコンを産業廃棄物として運搬するには、構成材料に応じた産業廃棄物の品目が必要です。
主に次の3品目が該当します。
- 廃プラスチック類
- 金属くず
- ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず
産業廃棄物収集運搬業許可を取得していても、必要な品目が許可証に含まれていなければ運搬できません。
必要な品目が許可に含まれていない場合は、変更許可申請によって追加する必要があるので注意してください。
エアコンを収集運搬できる地域
エアコンを産業廃棄物として運搬するには、原則として積込み地と荷下ろし地の両方で許可が必要です。
たとえば、大阪府で回収したエアコンを兵庫県の処理施設へ運搬する場合は、大阪府と兵庫県の産業廃棄物収集運搬業許可が必要になります。
ただし、運搬中に通過するだけの都道府県では、原則として許可は不要です。
なお、回収したエアコンを運搬途中で一時的に保管したり、別の車両に積み替えたりする場合は、積替え・保管を含む産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。
家庭用エアコンの運搬では引渡し先を確認する
事業所から排出された家庭用エアコンを産業廃棄物として回収し、家電リサイクル法に基づいて処理する場合は、家電メーカーの指定引取場所へ運搬します。
家庭用として製造・販売されたエアコンは、会社や店舗で使用されていた場合でも、家電リサイクル法の対象となるためです。
指定引取場所へ運搬する場合は、排出事業者からリサイクル料金の支払いを済ませた家電リサイクル券をエアコンと一緒に受け取り、指定引取場所へ持ち込みます。
また、産業廃棄物収集運搬業者が運搬を受託する場合は、書面による委託契約が必要です。指定引取場所までの運搬については、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付を受け、適切に取り扱わなければなりません。
業務用エアコンはフロンの回収状況を確認する
業務用エアコンを収集運搬する場合は、フロンが回収されているか、運搬先の処理施設が引き取れる状態かを確認しておくことをおすすめします。
フロン類を使用する業務用エアコンは、フロン排出抑制法の対象となり、処理施設がフロン未回収のエアコンを引き取ることは原則として禁止されているためです。
ただし、処理施設自身が登録を受けた業者としてフロンを回収する場合は「回収依頼書」、専門業者へのフロンの引渡しを委託されている場合は「委託確認書」を排出事業者から受け取ることで、回収前でも引取りが認められます。
フロンが未回収の場合は、処理施設が引き取れるか事前に確認し、引き取れない場合は排出事業者にフロン回収を手配してもらいます。
まとめ
エアコンの回収に必要な許可は、家庭と事業所のどちらから排出されるか、廃棄物か中古品かによって異なります。
事業所の廃エアコンには原則として産業廃棄物収集運搬業許可、家庭の廃エアコンには一般廃棄物収集運搬業許可が必要ですが、家電リサイクル法による特例もあります。
また、産業廃棄物として運搬する際は、許可品目や許可地域、引渡し先などにも注意が必要です。
必要な許可を誤ると無許可運搬につながるおそれがあるため、事業を始める前に行政書士へ相談することをおすすめします。
産業廃棄物収集運搬業許可の取得や申請手続きでお困りの方は、産廃業許可ナビまでお気軽にご相談ください。
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長島 雄太
NAGASHIMA行政書士事務所